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第3章
第382話 魔法の手紙
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「じゃ、今から僕のスキルを見せるね。」
「え?アレックスのスキル?水魔法でしょ?
……あら?それならどうして、ルカリア学園で魔法科に入らなかったの?」
「水魔法じゃないからね。
水は出せるけど、身体強化みたいな、スキル部門に属するんだよ、僕の力は。」
「そうなの?でもそれなら以前見たわよ?」
「あれは能力の一部。
肝心な方を見せるからついてきて。」
「あ、うん。」
僕が立ち上がって、ヒルデにも立つよううながすと、恐る恐るついてくる。叔父さんには待っててもらうことにした。
僕は時空の海にヒルデも出入り出来るように設定を変更し、扉を出した。
突然現れた鉄の扉に、ヒルデが呆然と立ち尽くしている。
「──これが僕の力の一部。時空の海。」
「海?これが海?」
「叔父さん以外で英雄候補に見せるのは初めてだよ。さ、どうぞ。」
ヒルデと一緒に時空の海の中に入ると、磨道昇降に乗って95番目の扉の前に出た。
中に入って、部屋の奥の扉を開けると、
「ほら、レグリオ王国だよ。」
扉の向こうに見える、小高い丘の上から見晴らせる、広大な海。
リシャーラ王国は海がないから、これが1番移動したとわかりやすいからね。
「え!?嘘!?あれって、え!?」
「海は、見たことある?」
「ないわ、あれが海なの!?」
「そうだよ。これが僕の力の一部。扉を通じて他の国に移動することが出来るんだ。」
「海のあるところに移動出来るから、時空の海なの?」
「ううん、なんていうか……、海に関するものではあるんだけど、そこいらへんちょっと曖昧なんだよねえ。」
それ、僕も未だにちょっと、微妙に疑問ではあるんだよね。
「この部屋は何なの?
なんか色々と物が置いてあるけど。」
「時空の海はね、死んだ人のマジックボックスに干渉出来る力なんだ。そしてアイテムボックスの持ち主に関連している場所に、アイテムボックスの出口がつながるんだよ。」
「え?じゃあここって……、誰かのアイテムボックスの中なの!?」
「うん、そうなるね。」
「はあ……、凄いのね……。」
「それだけじゃないよ。この世に存在しないものを生み出すことも出来るんだ。」
「この世に存在しないもの?
それってどんなものでもいいの?」
「既にあるものは生み出せないけどね。」
「はあ~。とことん規格外ね、あんた。」
叔父さんがいないことで、いつものヒルデの口調が戻る。
「ねえ、なんでも作れるんでしょ?ひとつ作ってみて欲しいものがあるんだけど。」
「なに?ものによるけど、いいよ?」
「魔法の手紙を、作ってみてくれない?」
「──魔法の手紙?なんでそんなものを?」
「通信具が生まれたことで、お金持ちはみんなそれを使っているでしょう?でも平民はそんなもの使えないんだもの。」
「まあ、そうだね。高いし。」
僕も買う時びっくりしたしなあ。
「手紙って未だに荷馬車でえっちらおっちら運ぶのよ。だからとても時間がかかるの。」
「そういえばそうだね。早馬でも使わない限り。うちも急ぎの手紙は従者に直接持たせて返事を書いてもらっていたっけなあ。」
通信具は相手がこちらの通信具に指定された番号を知っていて、互いに了承していないとかけられないものだから、知らない相手にいきなり連絡するには向かないんだよね。
「だけどたまに盗賊に襲われて、荷物が盗まれたりして、届かなかったりすることがあるのよ。魔法の手紙なら確実に届くでしょ?
おまけにすぐに届くじゃない。」
「確かに……、魔法で手紙を届けるやり方はあるけど、手紙そのものが魔法っていうのは存在しないかも知れないね。
それが出来たら早いかも。」
「あ、出来たら、手紙を持っただけで、頭に音で内容が伝わるように出来たら嬉しい。
離れて暮らしてる家族が、文字の読める人と読めない人がいるのよ。」
「なるほどね、いいよ。やってみる。」
家族に手紙を出したいのかな?
ヒルデはこっちで一人暮らしだもんね。
僕は創生の海で魔法の手紙を生み出すことにした。手紙を書いた人の声で、直接内容が頭に聞こえるように。そして文字の書けない人でも思ったことが文字になるように。
「う、うわ。」
スタミナが吸われて、体がグラリと倒れて積んであった箱の上に尻もちをついた。
「──ちょっと!だいじょうぶ!?」
「うん、ごめん、ありがとう。
けど、出来たよ、魔法の手紙。」
空中に浮かんでいた四角い紙が、地面にふわりと落ちる。ヒルデがそれを拾って、僕のところに持って来てくれた。
「頭の中で、伝えたいことを考えてみて?
その紙を手に持ったままで。」
「え?え、ええ……。」
ヒルデが手にした紙を見つめながら、頭の中で何やら考え事をしている。
「これって……!!」
手にした紙に文字が浮かびはじめた。
────────────────────
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「え?アレックスのスキル?水魔法でしょ?
……あら?それならどうして、ルカリア学園で魔法科に入らなかったの?」
「水魔法じゃないからね。
水は出せるけど、身体強化みたいな、スキル部門に属するんだよ、僕の力は。」
「そうなの?でもそれなら以前見たわよ?」
「あれは能力の一部。
肝心な方を見せるからついてきて。」
「あ、うん。」
僕が立ち上がって、ヒルデにも立つよううながすと、恐る恐るついてくる。叔父さんには待っててもらうことにした。
僕は時空の海にヒルデも出入り出来るように設定を変更し、扉を出した。
突然現れた鉄の扉に、ヒルデが呆然と立ち尽くしている。
「──これが僕の力の一部。時空の海。」
「海?これが海?」
「叔父さん以外で英雄候補に見せるのは初めてだよ。さ、どうぞ。」
ヒルデと一緒に時空の海の中に入ると、磨道昇降に乗って95番目の扉の前に出た。
中に入って、部屋の奥の扉を開けると、
「ほら、レグリオ王国だよ。」
扉の向こうに見える、小高い丘の上から見晴らせる、広大な海。
リシャーラ王国は海がないから、これが1番移動したとわかりやすいからね。
「え!?嘘!?あれって、え!?」
「海は、見たことある?」
「ないわ、あれが海なの!?」
「そうだよ。これが僕の力の一部。扉を通じて他の国に移動することが出来るんだ。」
「海のあるところに移動出来るから、時空の海なの?」
「ううん、なんていうか……、海に関するものではあるんだけど、そこいらへんちょっと曖昧なんだよねえ。」
それ、僕も未だにちょっと、微妙に疑問ではあるんだよね。
「この部屋は何なの?
なんか色々と物が置いてあるけど。」
「時空の海はね、死んだ人のマジックボックスに干渉出来る力なんだ。そしてアイテムボックスの持ち主に関連している場所に、アイテムボックスの出口がつながるんだよ。」
「え?じゃあここって……、誰かのアイテムボックスの中なの!?」
「うん、そうなるね。」
「はあ……、凄いのね……。」
「それだけじゃないよ。この世に存在しないものを生み出すことも出来るんだ。」
「この世に存在しないもの?
それってどんなものでもいいの?」
「既にあるものは生み出せないけどね。」
「はあ~。とことん規格外ね、あんた。」
叔父さんがいないことで、いつものヒルデの口調が戻る。
「ねえ、なんでも作れるんでしょ?ひとつ作ってみて欲しいものがあるんだけど。」
「なに?ものによるけど、いいよ?」
「魔法の手紙を、作ってみてくれない?」
「──魔法の手紙?なんでそんなものを?」
「通信具が生まれたことで、お金持ちはみんなそれを使っているでしょう?でも平民はそんなもの使えないんだもの。」
「まあ、そうだね。高いし。」
僕も買う時びっくりしたしなあ。
「手紙って未だに荷馬車でえっちらおっちら運ぶのよ。だからとても時間がかかるの。」
「そういえばそうだね。早馬でも使わない限り。うちも急ぎの手紙は従者に直接持たせて返事を書いてもらっていたっけなあ。」
通信具は相手がこちらの通信具に指定された番号を知っていて、互いに了承していないとかけられないものだから、知らない相手にいきなり連絡するには向かないんだよね。
「だけどたまに盗賊に襲われて、荷物が盗まれたりして、届かなかったりすることがあるのよ。魔法の手紙なら確実に届くでしょ?
おまけにすぐに届くじゃない。」
「確かに……、魔法で手紙を届けるやり方はあるけど、手紙そのものが魔法っていうのは存在しないかも知れないね。
それが出来たら早いかも。」
「あ、出来たら、手紙を持っただけで、頭に音で内容が伝わるように出来たら嬉しい。
離れて暮らしてる家族が、文字の読める人と読めない人がいるのよ。」
「なるほどね、いいよ。やってみる。」
家族に手紙を出したいのかな?
ヒルデはこっちで一人暮らしだもんね。
僕は創生の海で魔法の手紙を生み出すことにした。手紙を書いた人の声で、直接内容が頭に聞こえるように。そして文字の書けない人でも思ったことが文字になるように。
「う、うわ。」
スタミナが吸われて、体がグラリと倒れて積んであった箱の上に尻もちをついた。
「──ちょっと!だいじょうぶ!?」
「うん、ごめん、ありがとう。
けど、出来たよ、魔法の手紙。」
空中に浮かんでいた四角い紙が、地面にふわりと落ちる。ヒルデがそれを拾って、僕のところに持って来てくれた。
「頭の中で、伝えたいことを考えてみて?
その紙を手に持ったままで。」
「え?え、ええ……。」
ヒルデが手にした紙を見つめながら、頭の中で何やら考え事をしている。
「これって……!!」
手にした紙に文字が浮かびはじめた。
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