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第3章

第371話 スタミナステータスの上げ方

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 サイラスが去って行き、ようやくお昼にありつけた。クロエ嬢とヒックスさんと、同じ名がテーブルについて食事をとる。

「アレックス……、そんなんでいいのか?
 腹すかないか?」
 僕の食べるものを見て、ヒックスさんが不思議そうに困惑したように言う。

「そうですわね……。まるで体重を落としたい女性のような食事ですわね?」
 クロエ嬢もそんなことを言ってくる。

「あ、うん、午後の授業の長距離持久走の為にね。備えるのも大切だから。」
 食べるものを選ぶ時に、キリカにアドバイスされたんだよね。

 ……というか、昨日の食事から指定されたんだよなあ。消化に時間のかかる豆や根菜は駄目だし、油も極力使わないように、って。

 朝ご飯も、消化がよくて、かつ消化が早すぎないもの……って、難しいことを言われたっけなあ。そして今日のお昼ご飯は、キリカの指定した果物だけだ。

 消化がよくて栄養が吸収されやすいんだって。……よくわかんないけど。
 午後からお腹がすかないか不安だけど、このほうがいいって言うんだから仕方ない。

 遠くのほうで、サイラスが大量のトレイをテーブルに運んで、モリモリと食べているのが見える。それを見ると、食べているのにちょっとお腹がすいてくる気もするなあ。

 ううん、夕食にはたっぷり食べていいと言われているし、今は我慢だ。
 それにしても、ヒックスさんの料理も、クロエ嬢の料理も、美味しそうだなあ……。

 これからスタミナの基礎ステータス上げの授業の際には、毎回必ずこういう食事をするよう、キリカから言いつけられている。

 スタミナの基礎ステータス上げの授業が午後にある限りは、僕はこの先も学園の食堂の料理を食べることはないんだろうな。残念。

「アレックスさま、最近の姉の様子はいかがですか?アレックスさまとオフィーリア嬢と一緒にクエストに行ったと伺いましたが。」

「あ、はい、グレースさんはお強いですね。
 僕も何度か助けていただきました。」
「まあ、それはようございましたわ。」
 クロエ嬢が楽しげに微笑む。

「それにしても、これから週に2回も長距離持久走かあ……。きっついなあ。」
「でもそれがあるとわかっていらして、ルカリア学園にお入りになられたのでしょう?」

「うん、まあ、文官科でそれがあるのはルカリア学園だけだとわかっていたけど、王宮で働こうと思ったら、ルカリア学園に入るしかなかったからなあ……。」

 初対面のヒックスさんとクロエ嬢が、普通に和やかに会話をしている。
 クロエ嬢は平民に抵抗のない方だからね、ヒックスさんも話しやすいんだろうな。

 スタミナ向上の基礎訓練のやり方は、スタミナが出来る限り尽きるように生徒たちを走らせて、残ったスタミナを、スタミナ吸収石に吸わせて、ステータスを引き上げるんだ。

 MPと同じく、ほぼカラにすれば、回復する段階でステータスが引き上がる仕組みだ。
 だけどMPがカラになると気絶するのと同じで、スタミナがカラになると倒れる。

 気絶まではしないけど、まあ小一時間は起き上がれなくなるね。これは状態異常とは違うから、魔法で回復することは出来ない。

 だから長距離持久走の後は体育館で全員横になって休むんだ。学園の生徒全体が入れる体育館とはいえ、横になるとなるとスペースが足らないから、この授業は1学年ごとだ。

 なんで事前に走らせてスタミナを消費させるのかと言うと、MPを吸う石と比べると、スタミナを吸う石が貴重だからだ。

 貴重と言っても、触れないと吸収出来ないし、スタミナを吸うだけだから、戦いにも使えないし、お値段が高いわけじゃない。
 基礎訓練以外に使い道のない石だ。

 だけど数が取れないから、MPを吸う石みたいに、満タンの状態で使える程用意が出来ない。だから事前にスタミナを消費させておいて、残ったスタミナを吸収するってわけ。

 だから騎士科でもないのに、魔法科も文官科も交えた、学年全体での長距離持久走なんてやっているわけだね。

 騎士科のみんなは、就職後も就職先で訓練の一環で走ることが多いから、普段から走り慣れているし、その分スタミナも多いから、走る距離が当然僕らよりも長い。

 そうしないと残りのスタミナが多過ぎて、用意した分のスタミナ吸収石で、全員のスタミナが吸えなくなるからね。

 スタミナ吸収石は貴重だから、騎士団に所属しているか、騎士科のある学校じゃないと手に入れることが出来ないものなんだ。

 そして文官科や魔法科の分まで用意出来るのは、リシャーラ王国ひろしと言えども、ルカリア学園だけ。だからキリカはルカリア学園に行ったほうがいいと言ったわけだね。

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