357 / 504
第3章
第357話 神の家庭事情
しおりを挟む
リリーフィア王女の教育係は、新しくウエイトレスとして雇ったニーナさんと、ウエイターとして雇ったライナーさんがかわるがわる担当してくれることになった。
ニーナさんはラナおばさんの次女だ。
ラナおばさんの息子さんである、ルーベンさんとコナーさんは、魚屋のほうで働いてくれているから、家族総出で世話になるね!とラナおばさんに嬉しそうに言われた。
魚屋はルーク君とミアちゃんだけでなく、たくさんの孤児院の子たちが交代で手伝いに来てくれているけど、少し高級路線のこの店には、子どもは入れられないからね。
店もかなり忙しくなって来たし、そりゃ新しく人手は欲しかったとこではあるけど、王女さまを雇いたいなんて思わないからね?
とりあえず、リリーフィア王女の素性は、当然ながら他の従業員には隠すことにした。
日頃はフィアって呼ばれてるそうなので、フィアさんと呼ぶことにした。
万が一フルネームだけでも、知ってる国の人が来てもまずいしね。王族なんてその国の高位貴族でもなきゃ、普通は滅多に会えない存在だから、さすがに気付かれないだろう。
でも彼女の水色の髪はかなり目立つんだよなあ。魚人なんて、この国で見たことがないからね。おまけにとっても美人だから、かなり目立ってしまう。
だけど、お客さんたちは、色んな色をした獣人たちに慣れているせいなのか、彼女の美しい顔以外は、あまり気にならないみたいだった。……ラッキーなのかな?
「お姉さん名前なんて言うの?」
「あんたたちに教える名前なんてないわよ。
でも、そうね。あと1品追加で頼んでくれたら、教えてあげなくもないかもよ?」
人差し指を唇の前に立てて、ウインクして見せるリリーフィア王女。それを見た男の人たちは大興奮。ガバッと席を立つと、
「注文追加だ!同じものをくれ!」
「俺もだ!」
「俺も!」
「はあーい、ありがとうございまーす!」
な、慣れてる……。王女さまだよね?
「うちは居酒屋じゃねえぞ。」
「売上げに貢献してるでしょ、うるさい。」
ザックスさんの文句にツンとソッポを向いて、リリーフィア王女が注文を通す。
だいじょうぶそう、かな?
ちゃんとやれるか、もう少し様子を見ておきたいとこだけど、僕も他の店に納品行かなくちゃいけないし、結構忙しいからね。
僕はザックスさんに店を任せて、自宅に戻って時空の扉を出し、スウォン皇国に向かう為に82番目の扉に入った時だった。
【オニイチャン、面倒くさい人が来てます。
神格が上がったせいで、私を通さずに連絡出来るようになりましたから、うっとおしかったら接続を切ってくださいね。】
面倒くさい人?
【アレックス!リリーフィアと関わっておきながら、私に連絡せぬとはどういうことぞ?
挨拶に来るのが筋であろう!】
突然甲高い女の子の声が頭に響く。
え、誰!?
【私はネプレイース。狩りと鍛冶のガレシアと、大地と豊穣のミボルフィアが娘。
海の神。そしてアレックスの姪だ!!】
え!?ガルシア兄さまとミボルフィア姉さまの子ども!?
え?だ、だって、2人は兄弟だよね!?
【オニイチャン、神にはそういうの関係ありませんよ。複数妻をめとろうが、娘や息子と結婚しようが、問題ありません。
人間が血縁者と結婚しないのは血の問題です。神はその影響を受けませんので。
レスタト兄さまも、自分の娘何人かとも、結婚してますから。】
うわあ……。知らなかったよ。
【だからオニイチャンと私だって、結婚出来るんですよ?】
しないよ!?
【しないんですか?】
普通しないからね!?
僕半分は人間だから!
【私を無視するなあっ!】
あ、ごめんなさい。ネプレイースは、海の神さまなんだよね?
【そうだ!私と同じ海の力を授けられた者が身内にいると知って楽しみにしていたのに、貴様とくれば、挨拶にはこないわ、キリカとばかり楽しそうにしているわ……。
リリーフィアと親しくなるのであれば、リリーフィアの国の守護神である、私に話を通すのが筋であろう!】
そ、そうなのかな……?それはいまいちよくわからないけど、家族に挨拶出来なかったのはごめんなさい。でも、僕も初めてネプレイースのことを知ったからさ。
【わ、私を知らなかった……だと?
私は海の神なんだぞ?
アレックスは海の力を使うくせに……。
家族の中で一番近い存在ぞ!?】
僕は海に関するスキルを人間として与えられているけど、神としては創生神だから、厳密には違うような……?
【そんな……、そんな……。
うっ……。うっ……。
うわあああん!!】
え!?ちょ、ちょっと!?
【子どもの癇癪だから、放っておけばいいですよ。オニイチャンよりだいぶ前に生まれてますけど、見た目が子どもなのに引きずられてか、すーぐ癇癪起こすんです。
私もワガママな子どもの相手は、いつまでもしていられませんので。
早く念話を切ってくださいオニイチャン。
きりないですよ。】
【ウワアアン!!アレックス~!私にも父さまや母さまたちみたいな、体作ってよう!】
人造人間のこと?
作ってどうするの?
【アレックスと遊ぶぅ~!!
神は神としか遊べぬのぞ!
遊び相手が欲しい!
ウワアアン!】
いや、僕もそんなに暇じゃ……!!
【嫌だ嫌だ、遊ぶぅ~!!】
【切りましょう、オニイチャン。】
ええ……。
うちの家族って、どうしてみんなこういう感じなんだろう……。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
ニーナさんはラナおばさんの次女だ。
ラナおばさんの息子さんである、ルーベンさんとコナーさんは、魚屋のほうで働いてくれているから、家族総出で世話になるね!とラナおばさんに嬉しそうに言われた。
魚屋はルーク君とミアちゃんだけでなく、たくさんの孤児院の子たちが交代で手伝いに来てくれているけど、少し高級路線のこの店には、子どもは入れられないからね。
店もかなり忙しくなって来たし、そりゃ新しく人手は欲しかったとこではあるけど、王女さまを雇いたいなんて思わないからね?
とりあえず、リリーフィア王女の素性は、当然ながら他の従業員には隠すことにした。
日頃はフィアって呼ばれてるそうなので、フィアさんと呼ぶことにした。
万が一フルネームだけでも、知ってる国の人が来てもまずいしね。王族なんてその国の高位貴族でもなきゃ、普通は滅多に会えない存在だから、さすがに気付かれないだろう。
でも彼女の水色の髪はかなり目立つんだよなあ。魚人なんて、この国で見たことがないからね。おまけにとっても美人だから、かなり目立ってしまう。
だけど、お客さんたちは、色んな色をした獣人たちに慣れているせいなのか、彼女の美しい顔以外は、あまり気にならないみたいだった。……ラッキーなのかな?
「お姉さん名前なんて言うの?」
「あんたたちに教える名前なんてないわよ。
でも、そうね。あと1品追加で頼んでくれたら、教えてあげなくもないかもよ?」
人差し指を唇の前に立てて、ウインクして見せるリリーフィア王女。それを見た男の人たちは大興奮。ガバッと席を立つと、
「注文追加だ!同じものをくれ!」
「俺もだ!」
「俺も!」
「はあーい、ありがとうございまーす!」
な、慣れてる……。王女さまだよね?
「うちは居酒屋じゃねえぞ。」
「売上げに貢献してるでしょ、うるさい。」
ザックスさんの文句にツンとソッポを向いて、リリーフィア王女が注文を通す。
だいじょうぶそう、かな?
ちゃんとやれるか、もう少し様子を見ておきたいとこだけど、僕も他の店に納品行かなくちゃいけないし、結構忙しいからね。
僕はザックスさんに店を任せて、自宅に戻って時空の扉を出し、スウォン皇国に向かう為に82番目の扉に入った時だった。
【オニイチャン、面倒くさい人が来てます。
神格が上がったせいで、私を通さずに連絡出来るようになりましたから、うっとおしかったら接続を切ってくださいね。】
面倒くさい人?
【アレックス!リリーフィアと関わっておきながら、私に連絡せぬとはどういうことぞ?
挨拶に来るのが筋であろう!】
突然甲高い女の子の声が頭に響く。
え、誰!?
【私はネプレイース。狩りと鍛冶のガレシアと、大地と豊穣のミボルフィアが娘。
海の神。そしてアレックスの姪だ!!】
え!?ガルシア兄さまとミボルフィア姉さまの子ども!?
え?だ、だって、2人は兄弟だよね!?
【オニイチャン、神にはそういうの関係ありませんよ。複数妻をめとろうが、娘や息子と結婚しようが、問題ありません。
人間が血縁者と結婚しないのは血の問題です。神はその影響を受けませんので。
レスタト兄さまも、自分の娘何人かとも、結婚してますから。】
うわあ……。知らなかったよ。
【だからオニイチャンと私だって、結婚出来るんですよ?】
しないよ!?
【しないんですか?】
普通しないからね!?
僕半分は人間だから!
【私を無視するなあっ!】
あ、ごめんなさい。ネプレイースは、海の神さまなんだよね?
【そうだ!私と同じ海の力を授けられた者が身内にいると知って楽しみにしていたのに、貴様とくれば、挨拶にはこないわ、キリカとばかり楽しそうにしているわ……。
リリーフィアと親しくなるのであれば、リリーフィアの国の守護神である、私に話を通すのが筋であろう!】
そ、そうなのかな……?それはいまいちよくわからないけど、家族に挨拶出来なかったのはごめんなさい。でも、僕も初めてネプレイースのことを知ったからさ。
【わ、私を知らなかった……だと?
私は海の神なんだぞ?
アレックスは海の力を使うくせに……。
家族の中で一番近い存在ぞ!?】
僕は海に関するスキルを人間として与えられているけど、神としては創生神だから、厳密には違うような……?
【そんな……、そんな……。
うっ……。うっ……。
うわあああん!!】
え!?ちょ、ちょっと!?
【子どもの癇癪だから、放っておけばいいですよ。オニイチャンよりだいぶ前に生まれてますけど、見た目が子どもなのに引きずられてか、すーぐ癇癪起こすんです。
私もワガママな子どもの相手は、いつまでもしていられませんので。
早く念話を切ってくださいオニイチャン。
きりないですよ。】
【ウワアアン!!アレックス~!私にも父さまや母さまたちみたいな、体作ってよう!】
人造人間のこと?
作ってどうするの?
【アレックスと遊ぶぅ~!!
神は神としか遊べぬのぞ!
遊び相手が欲しい!
ウワアアン!】
いや、僕もそんなに暇じゃ……!!
【嫌だ嫌だ、遊ぶぅ~!!】
【切りましょう、オニイチャン。】
ええ……。
うちの家族って、どうしてみんなこういう感じなんだろう……。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
329
お気に入りに追加
2,084
あなたにおすすめの小説
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。
昼寝部
キャラ文芸
天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。
その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。
すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。
「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」
これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。
※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜
墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。
主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。
異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……?
召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。
明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。
異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~
星天
ファンタジー
幼馴染を庇って死んでしまった翔。でも、それは神様のミスだった!
創造神という女の子から交渉を受ける。そして、二つの【特殊技能】を貰って、異世界に飛び立つ。
『創り出す力』と『奪う力』を持って、異世界で技能を奪って、どんどん強くなっていく
はたして、翔は異世界でうまくやっていけるのだろうか!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる