312 / 504
第2章
第312話 アイテムボックスの調査・その3
しおりを挟む
紙はまだまだ貴重だし、本なんて平民が持ってることは少ないんだよね。
この部屋の持ち主は貴族か、平民でもかなり格上の薬師なのかも知れないなあ。
さっきまで誰かがいたかのように、テーブルの上に開きかけの本がある。急がないと、すぐに戻って来ちゃうかも。
キリカ、ここはどこ?
【アタラヤ王国、コモノ研究所内です。】
「アタラヤ王国、コモノ研究所内だって。
叔父さん知ってる?」
一度88番目の扉の中に戻って尋ねる。
「アタラヤ王国は聞いたことがないが、コモノは聞いたことがあるな。質の高いポーションは、だいたいコモノ製なんだ。冒険者の間では有名なのさ。あそこで作ってたのか。」
叔父さんも詳しくは知らないんだね。
キリカ!アタラヤ王国はどんな国なの?
【薬師が多く産まれる土地柄で、薬の研究が盛んです。コモノ研究所はアタラヤ王国の代表的な研究所ですが、それ以外にもたくさん研究所が存在します。
薬を専門に作る工房も多数存在する、薬師王国といったところですね。精霊信仰のお国柄で、妖精がたくさんいることにより、祝福された良質の植物が育ちやすいです。
周囲を山々に囲まれた高山地帯ですが、今まで飢饉とは無縁で、いっさい食べ物には困っていません。】
「山に囲まれた土地みたい。
ここも違うね。
次に行こう、叔父さん。」
けど、山に囲まれてるなら、海の魚は珍しい筈だよね。優先的に魚を売る場所の候補の1つとして、ここは覚えとこ。
89番・大工(木材多め)。
お次は大工のアイテムボックスだ。ここは木材ばかりで、あまりたいしたものが入ってなかったから、正直期待が薄いんだよね。
外に出ると、枝が切り落とされたたくさんの木が並んでいる山の中だった。
「ここは、建築に使う木材ばかり育ててるみたいだな。伐採場が近くに見える。」
叔父さんが遠くを見渡してそう言った。
「大工道具みたいのがアイテムボックスにあったんだけど、木材の切り出し場から木を選ぶタイプの大工さんてことかな?」
「そうかも知れんな。」
休憩してるのか、木を四角く細長く切り出す場所の近くに集まって、お茶を飲んでいる男の人たちが見えた。どの人も筋肉隆々だ。
休憩場所のそばの切り出し場から、ちょうど木材を切り出している人がいる。
遠目だと持ち物が小さく見えて分かりにくいけど、あの道具はどうやら斧のようだ。
キリカ!ここはどこ?
【マルテン公国です。木材の輸出に頼った小国で、周囲に小国が集まった地域です。】
「マルテン公国だって。周囲に小国が集まった地域だって言うから、ここも違うね。
なかなか当たらないなあ。」
「ナムチャベト王国に当たらずとも、せめて直通便が出ている、もう少し近い、海のある国に出られたらいいんだがな。」
「そうなんだよね……。」
けど、やっぱり僕が以前思ったみたいに、それぞれ違う国につながってるみたいだ。
僕のお祖父さまと、リシャーラ王国の先代王のアイテムボックスは、同じ国につながってるけど、それ以外は今のところ全部違う。
だから探していけばそのうち、ナムチャベト王国にも当たる筈なんだよね。
90番目・商人(商品大量)。
というわけで、次は90番目の扉だ。
扉を開けた瞬間、たくさんのショーケースが並んだ、まるで王都の家具屋さんのような豪華な店の中に出た。
お客さんもたくさんいて、認識阻害魔法のおかげで、みんなこちらの様子に気が付いてないけど、思わずドキッとする。
というか、王都の家具屋さんよりも、敷地面積がかなり広いかも?夏なのに毛皮を大量に扱ってるみたいだ。
ファッションの先取りってやつかな?
キリカ!ここはどこ?
【ルカフィア王国、王都、マルグリット商会店内です。マルグリット商会はルカフィア王国の中でも、1、2を争う大商会であり、卸商人も営んでいることから、良質の商品を格安で販売している店舗を持っています。】
一度90番目の扉を閉める。
「ルカフィア王国のマルグリット商会の店内だって。ルカフィア王国は僕も知ってるよ。
商業大国で有名だよね。」
「そうだな。うちの国とも鉱石の輸出や毛皮の輸入で取引がある。1番の取引先であるルカンタ王国の経済に影響を受ける国ではあるが、大国と言って差し支えないだろうな。」
「ここはどう?」
「海に面している国ではあるし、直通便は確かある筈だが、ルカンタ王国から行くのとそう変わらないな。むしろ遠い。」
「そっか……。じゃあ次だね。」
91番目・貴族(装飾品など高級品多数)。というわけで次は91番目。
初めて91番目のアイテムボックスに入った叔父さんが目の色を変えた。
「これは……、すべてルビリオの家具か!?
物凄い数だ……。」
そう言えばルビリオの弟子の家具屋さんに行った時に、いつか叔父さんに見せようと思って忘れてたよ。叔父さん好きなんだよね。
この部屋の持ち主は貴族か、平民でもかなり格上の薬師なのかも知れないなあ。
さっきまで誰かがいたかのように、テーブルの上に開きかけの本がある。急がないと、すぐに戻って来ちゃうかも。
キリカ、ここはどこ?
【アタラヤ王国、コモノ研究所内です。】
「アタラヤ王国、コモノ研究所内だって。
叔父さん知ってる?」
一度88番目の扉の中に戻って尋ねる。
「アタラヤ王国は聞いたことがないが、コモノは聞いたことがあるな。質の高いポーションは、だいたいコモノ製なんだ。冒険者の間では有名なのさ。あそこで作ってたのか。」
叔父さんも詳しくは知らないんだね。
キリカ!アタラヤ王国はどんな国なの?
【薬師が多く産まれる土地柄で、薬の研究が盛んです。コモノ研究所はアタラヤ王国の代表的な研究所ですが、それ以外にもたくさん研究所が存在します。
薬を専門に作る工房も多数存在する、薬師王国といったところですね。精霊信仰のお国柄で、妖精がたくさんいることにより、祝福された良質の植物が育ちやすいです。
周囲を山々に囲まれた高山地帯ですが、今まで飢饉とは無縁で、いっさい食べ物には困っていません。】
「山に囲まれた土地みたい。
ここも違うね。
次に行こう、叔父さん。」
けど、山に囲まれてるなら、海の魚は珍しい筈だよね。優先的に魚を売る場所の候補の1つとして、ここは覚えとこ。
89番・大工(木材多め)。
お次は大工のアイテムボックスだ。ここは木材ばかりで、あまりたいしたものが入ってなかったから、正直期待が薄いんだよね。
外に出ると、枝が切り落とされたたくさんの木が並んでいる山の中だった。
「ここは、建築に使う木材ばかり育ててるみたいだな。伐採場が近くに見える。」
叔父さんが遠くを見渡してそう言った。
「大工道具みたいのがアイテムボックスにあったんだけど、木材の切り出し場から木を選ぶタイプの大工さんてことかな?」
「そうかも知れんな。」
休憩してるのか、木を四角く細長く切り出す場所の近くに集まって、お茶を飲んでいる男の人たちが見えた。どの人も筋肉隆々だ。
休憩場所のそばの切り出し場から、ちょうど木材を切り出している人がいる。
遠目だと持ち物が小さく見えて分かりにくいけど、あの道具はどうやら斧のようだ。
キリカ!ここはどこ?
【マルテン公国です。木材の輸出に頼った小国で、周囲に小国が集まった地域です。】
「マルテン公国だって。周囲に小国が集まった地域だって言うから、ここも違うね。
なかなか当たらないなあ。」
「ナムチャベト王国に当たらずとも、せめて直通便が出ている、もう少し近い、海のある国に出られたらいいんだがな。」
「そうなんだよね……。」
けど、やっぱり僕が以前思ったみたいに、それぞれ違う国につながってるみたいだ。
僕のお祖父さまと、リシャーラ王国の先代王のアイテムボックスは、同じ国につながってるけど、それ以外は今のところ全部違う。
だから探していけばそのうち、ナムチャベト王国にも当たる筈なんだよね。
90番目・商人(商品大量)。
というわけで、次は90番目の扉だ。
扉を開けた瞬間、たくさんのショーケースが並んだ、まるで王都の家具屋さんのような豪華な店の中に出た。
お客さんもたくさんいて、認識阻害魔法のおかげで、みんなこちらの様子に気が付いてないけど、思わずドキッとする。
というか、王都の家具屋さんよりも、敷地面積がかなり広いかも?夏なのに毛皮を大量に扱ってるみたいだ。
ファッションの先取りってやつかな?
キリカ!ここはどこ?
【ルカフィア王国、王都、マルグリット商会店内です。マルグリット商会はルカフィア王国の中でも、1、2を争う大商会であり、卸商人も営んでいることから、良質の商品を格安で販売している店舗を持っています。】
一度90番目の扉を閉める。
「ルカフィア王国のマルグリット商会の店内だって。ルカフィア王国は僕も知ってるよ。
商業大国で有名だよね。」
「そうだな。うちの国とも鉱石の輸出や毛皮の輸入で取引がある。1番の取引先であるルカンタ王国の経済に影響を受ける国ではあるが、大国と言って差し支えないだろうな。」
「ここはどう?」
「海に面している国ではあるし、直通便は確かある筈だが、ルカンタ王国から行くのとそう変わらないな。むしろ遠い。」
「そっか……。じゃあ次だね。」
91番目・貴族(装飾品など高級品多数)。というわけで次は91番目。
初めて91番目のアイテムボックスに入った叔父さんが目の色を変えた。
「これは……、すべてルビリオの家具か!?
物凄い数だ……。」
そう言えばルビリオの弟子の家具屋さんに行った時に、いつか叔父さんに見せようと思って忘れてたよ。叔父さん好きなんだよね。
362
お気に入りに追加
2,084
あなたにおすすめの小説
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
異世界召喚されたと思ったら何故か神界にいて神になりました
璃音
ファンタジー
主人公の音無 優はごく普通の高校生だった。ある日を境に優の人生が大きく変わることになる。なんと、優たちのクラスが異世界召喚されたのだ。だが、何故か優だけか違う場所にいた。その場所はなんと神界だった。優は神界で少しの間修行をすることに決めその後にクラスのみんなと合流することにした。
果たして優は地球ではない世界でどのように生きていくのか!?
これは、主人公の優が人間を辞め召喚された世界で出会う人達と問題を解決しつつ自由気ままに生活して行くお話。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる