224 / 485
第2章
第279話 ダンジョンボスがいないとどうなるの?
しおりを挟む
「ミルドレッドさん、お力は是非ともお借りしたいので、一緒には暮らさせていただきますけど、くれぐれもおかしなことはしないでくださいね?共同生活のルールです。」
「うむうむ!嫌よ嫌よも好きのうち、というやつじゃな?一緒に暮らすのが楽しみじゃ!
美しいわらわが毎晩添い寝してやるでな。
アレックスも楽しみじゃろう?」
「……わかってないですね。」
ほんとにだいじょうぶかな?まあ、使役はしたわけだから、いざという時は強制的に言うことを聞かせられる筈だけど……。
使役した魔物を強制的に従わせる場合は、魔物に痛みが伴うと聞くから、あんまり使いたくはないんだよなあ。
──ハッ!まさかそれを見越して!?
僕の性格を知ってたら、僕がそういうのを嫌がるというのはすぐにわかることだよね。
「人と暮らすのは勇者ぶりじゃ~。
楽しみよのう!」
ピョンピョンとはねて無邪気に喜んでいるように見えるミルドレッドさん。そんなに難しいことを考えてるタイプじゃないかあ。魔物は単純で、ある意味純粋だともいうよね。
好きなことややりたいことに真っ直ぐだから、人を騙して何かをしようというタイプの魔物は少ないんだって。ミルドレッドさんもどちらかと言うと、そういう魔物に見えた。
「──というか、そう言えば、ミルドレッドさんは、ダンジョンボスなのに、ダンジョンの外に出られるんですか?」
よく考えてみたら、本来ダンジョンボスはボスの部屋やフロアにいるもので、他の魔物だって特定のフロアにわくものだよね。
ダンジョンの外の魔物は、縄張りを作ったりして、森だとか、岩場だとか、魔物ごとに好む場所に生息しているものだけど、ダンジョンの魔物は特定のフロアにしかいない。
なぜか、このフロアには、ゴブリン、このフロアには、ゴブリンとスライム、みたいな感じで、決まった魔物しかわかないものだ。
「それは自然発生した魔物であろ。わらわはもともと外から来て、このダンジョンを根城に決めた結果、こうるさいダンジョンボスを倒して、取って代わった存在じゃからの。」
マリーアさんたちが言っていたね。ダンジョンはダンジョンボスを倒した後に、ある程度の強さを持った存在がいると、それを新たなダンジョンボスとして認めると。
過去にそうなった場所がここ、水晶の館なんだって。だけどもともとそこにいたわけじゃないボスは、ダンジョンを自由に出入り出来るなんてことまでは知らなかったよ。
ならマリーアさんも、ダンジョンの外に自由に出入り出来るってことだね。SSランクダンジョンのダンジョンボスが、自由に外に出てウロウロしてるって考えたら怖いけど。
「やっぱり水晶が良かったんですか?」
「そうじゃな!じゃから、そなたの家でも大きな鏡を用意して欲しいぞよ!わらわの美しい姿を、毎日眺められるようにの!」
「それくらいでしたら用意出来ますが、良ければ素敵な鏡を一緒に買いに行きましょう。
女性の好みはよくわかりませんので、直接選んでいただいたほうがいいと思うので。」
「そうじゃの!わらわを映す鏡じゃ。
並大抵のものでは満足出来ぬからな!」
ミルドレッドさんは嬉しそうに、コクコクと大きくうなずきながらそう言った。
「ミルドレッドさま、ひとつ気になるのですが、ダンジョンボスがダンジョンを離れた場合、どの程度までそのボスをダンジョンボスだと認めるものなのでしょうか?」
と叔父さんが質問をする。確かに自由に歩き回れるとは言っても、いなくなったら新しいボスがわいたりしないのかな?
「そうさの。退屈で何年かほったらかしておったことがあったが、戻ってみたら別にそのままじゃったから、わらわが倒されぬ限りはわらわがダンジョンボスなのじゃろうの。」
「そうなのですね!新しい発見です。」
叔父さんが感心してうなずいている。
「それでは我々はいただいた魔物を相手に渡して参りますので、その間お待ち下さい。」
「うむ!はようするのじゃぞ!」
ミルドレッドさんをダンジョンに残して、僕と叔父さんはエザリス王国へと一旦引き返し、冒険者ギルドへと向かった。
冒険者ギルドの職員さんに尋ねると、幸いまだ全員の事情聴取が終わってなくて、魔物を失ったというテイマーの2人は、冒険者ギルドの中に残っているとのことだった。
僕が魔物を駄目にしてしまったことを伝えて、代わりの魔物を用意したので、選んで欲しいのだということを告げると、すぐにテイマーの2人を呼び出してくれることになった。
「あの……。代わりの魔物をいただけると伺って来たのですが……。」
「あれは神の御業ではなく、あなたのスキルだというのは本当ですか?」
「うむうむ!嫌よ嫌よも好きのうち、というやつじゃな?一緒に暮らすのが楽しみじゃ!
美しいわらわが毎晩添い寝してやるでな。
アレックスも楽しみじゃろう?」
「……わかってないですね。」
ほんとにだいじょうぶかな?まあ、使役はしたわけだから、いざという時は強制的に言うことを聞かせられる筈だけど……。
使役した魔物を強制的に従わせる場合は、魔物に痛みが伴うと聞くから、あんまり使いたくはないんだよなあ。
──ハッ!まさかそれを見越して!?
僕の性格を知ってたら、僕がそういうのを嫌がるというのはすぐにわかることだよね。
「人と暮らすのは勇者ぶりじゃ~。
楽しみよのう!」
ピョンピョンとはねて無邪気に喜んでいるように見えるミルドレッドさん。そんなに難しいことを考えてるタイプじゃないかあ。魔物は単純で、ある意味純粋だともいうよね。
好きなことややりたいことに真っ直ぐだから、人を騙して何かをしようというタイプの魔物は少ないんだって。ミルドレッドさんもどちらかと言うと、そういう魔物に見えた。
「──というか、そう言えば、ミルドレッドさんは、ダンジョンボスなのに、ダンジョンの外に出られるんですか?」
よく考えてみたら、本来ダンジョンボスはボスの部屋やフロアにいるもので、他の魔物だって特定のフロアにわくものだよね。
ダンジョンの外の魔物は、縄張りを作ったりして、森だとか、岩場だとか、魔物ごとに好む場所に生息しているものだけど、ダンジョンの魔物は特定のフロアにしかいない。
なぜか、このフロアには、ゴブリン、このフロアには、ゴブリンとスライム、みたいな感じで、決まった魔物しかわかないものだ。
「それは自然発生した魔物であろ。わらわはもともと外から来て、このダンジョンを根城に決めた結果、こうるさいダンジョンボスを倒して、取って代わった存在じゃからの。」
マリーアさんたちが言っていたね。ダンジョンはダンジョンボスを倒した後に、ある程度の強さを持った存在がいると、それを新たなダンジョンボスとして認めると。
過去にそうなった場所がここ、水晶の館なんだって。だけどもともとそこにいたわけじゃないボスは、ダンジョンを自由に出入り出来るなんてことまでは知らなかったよ。
ならマリーアさんも、ダンジョンの外に自由に出入り出来るってことだね。SSランクダンジョンのダンジョンボスが、自由に外に出てウロウロしてるって考えたら怖いけど。
「やっぱり水晶が良かったんですか?」
「そうじゃな!じゃから、そなたの家でも大きな鏡を用意して欲しいぞよ!わらわの美しい姿を、毎日眺められるようにの!」
「それくらいでしたら用意出来ますが、良ければ素敵な鏡を一緒に買いに行きましょう。
女性の好みはよくわかりませんので、直接選んでいただいたほうがいいと思うので。」
「そうじゃの!わらわを映す鏡じゃ。
並大抵のものでは満足出来ぬからな!」
ミルドレッドさんは嬉しそうに、コクコクと大きくうなずきながらそう言った。
「ミルドレッドさま、ひとつ気になるのですが、ダンジョンボスがダンジョンを離れた場合、どの程度までそのボスをダンジョンボスだと認めるものなのでしょうか?」
と叔父さんが質問をする。確かに自由に歩き回れるとは言っても、いなくなったら新しいボスがわいたりしないのかな?
「そうさの。退屈で何年かほったらかしておったことがあったが、戻ってみたら別にそのままじゃったから、わらわが倒されぬ限りはわらわがダンジョンボスなのじゃろうの。」
「そうなのですね!新しい発見です。」
叔父さんが感心してうなずいている。
「それでは我々はいただいた魔物を相手に渡して参りますので、その間お待ち下さい。」
「うむ!はようするのじゃぞ!」
ミルドレッドさんをダンジョンに残して、僕と叔父さんはエザリス王国へと一旦引き返し、冒険者ギルドへと向かった。
冒険者ギルドの職員さんに尋ねると、幸いまだ全員の事情聴取が終わってなくて、魔物を失ったというテイマーの2人は、冒険者ギルドの中に残っているとのことだった。
僕が魔物を駄目にしてしまったことを伝えて、代わりの魔物を用意したので、選んで欲しいのだということを告げると、すぐにテイマーの2人を呼び出してくれることになった。
「あの……。代わりの魔物をいただけると伺って来たのですが……。」
「あれは神の御業ではなく、あなたのスキルだというのは本当ですか?」
401
お気に入りに追加
3,021
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。