上 下
223 / 486
第2章

第278話 使役したドラゴンと同居

しおりを挟む
 そうなんだ?なら、人間にとってのキスは必要ってことなんだね。まあ、キスしない種族だから、ミルドレッドさんにとって、これは別に特別なことじゃあないんだな。

【──ですが特に首は、相手から噛み殺される可能性もある為、よほど信頼している相手でなければ触れさせません。それだけ使役する場合において、強い誓約となるようです。

 ドラゴンがここまでしてくれているのですから、従っておいたほうがよいでしょう。
 頼もしい味方となる筈です。】

 僕は、強い眼差しで微笑みながら僕を見ている、ミルドレッドさんを改めて見た。
 そうか、魔物からすれば、首を差し出すなんて生死に関わることだよね。

 それを僕にさせてまで、従うと言ってくれているんだ。むしろキスするよりも、ドラゴン種にとっては、ずっと特別なことなんだ。

 変なことを考えて、なんか申し訳なかったな。これはミルドレッドさんの信頼の証なんだ。初対面の僕を、首を差し出してもいいくらい、信用してくれるってことなんだ。

 それに僕の意思を尊重してくれるみたいだし、そもそも魔物からしたら、交尾以外のことって、あんまり意味がないのかも。

 よし!決めた!

「わかりました。ミルドレッドさん。
 これから僕の使役する魔物として、よろしくお願いします。」
「うむ!」

 僕はミルドレッドさんに近付いて、その首筋に口付けた。幼い見た目の女の子相手とはいえ、初めてのことだから当然緊張した。

 契約紋が光って次の瞬間スッと消える。これで僕が使役したことになったのかな?
 初めてでよくわからないや。

【なりましたね。新たにドラゴンマスターの称号が加わりました。スキルのドラゴンマスターとは違い、他のドラゴンをも使役しやすくなったり、ドラゴンの能力を特別に引き出すような力はありませんが、オニイチャンのステータスを引き上げてくれます。】

 とキリカが答えてくれた。ド、ドラゴンマスター!?そっか、そういうことになるのかあ。なんか称号だけとはいえこそばゆいな。

「これからよろしく頼むぞよ。
 子どもは何人がいいかの?」
「──!?え?あ、あの、魔物は人間と子どもを作れないんじゃ!?」

「竜人の祖先は、わらわたち、ドラゴン種と人間が子どもを作った結果じゃぞ?
 作れる者もおる!そしてわらわは人間と子どもを作れる種族じゃ!安心せい!」

「お、叔父さぁん!?」
 しまった、という表情で、口元を手で覆いながら、僕から目線をそらす叔父さん。

 確かにそう言われてるけど!
 家庭教師の授業で習ったけど!
 言われてるだけで誰も真実なんか知らないから、僕も作れる筈がないと思ってたけど!

【オニイチャンは、周囲の人たちが危険にさらされるのと、安全になるのと、どっちがいいんですか?私はオニイチャンを守ってくれる人なら、別にいいです。】

 とキリカが言ってくる。
 でも、まあ、それは確かにそうだよね。
 僕と一緒にいることで、特に1番近くにいる叔父さんを危険にさらすことになるんだ。

 だったら、ちょっと女の子に見える魔物と暮らすことくらい、僕が受け入れれば済む話なら、そうしたほうがいいよね。

 正直、確かにミルドレッドさんはとっても綺麗ではあるけど、年齢的にはリアムくらいの年に見えるんだよね。僕がその気になることはないし、ミーニャも許してくれるかも?

 災厄級の魔物を従えていたら、そうそう僕に手出しは出来ないだろうしね。万が一の時には、カナンのシールドだってあるし。

【カナンさんは駄目ですよ。あの精霊は危険ですから。オニイチャンがあの人を好きになったら、いくら半神半人とはいえ、死なないとは限りませんからね?】

 だいじょうぶだよ、そこは安心して。
 別にカナンを好きになったりはしないからさ。僕にはミーニャがいるんだし。

【ミーニャさんと言えば、最近ちょっと強くなったみたいですね。弓使いから、上級弓使いにスキルが変化したみたいです。】

 え!?そうなの?
 けど、前から冒険者のヒルデと違って、ミーニャはまだスキルが判明したばかりだよ?

【ちょっと予想以上のスピードです。
 彼女にも、鱗を渡してもいいと思います。
 もともと英雄候補でしたし。】

 うーん……、僕、ミーニャには危険な目にあって欲しくないなあ……。もともと戦いたいと思ってる人に、渡したいなって思うよ。

【彼女がオニイチャンを守るつもりがあるのなら、ちょっと見直してもいいかなって思ったんですけど、オニイチャンがそういう考えなら、わかりました。】

 うん、ごめんね。
 教えてくれてありがとう。
 それにしてもミーニャ、頑張ったんだな。
 スキルが分かってそれ程経たないのに。

────────────────────

叔父さんにしては珍しく、やってしまった笑  

竜人とリザードマンは、ドラゴンと人の間に出来た子どもが、魔物と人に分かれたものと言われていますが、実際、ドラゴンと子どもをつくる人が現代にいない為、知識としてそう言われてはいるが、半信半疑に思われている、というのが現状です。
叔父さんも知識として知ってはいましたが、信じていなかったんですね。
しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。