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第2章

第277話 使役するのにキスが必要なの!?

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 僕は叔父さんのマジックバッグの中に、生きたままの魔物たちをしまって貰った。僕のマジックバッグだとさすがに小さいし、時空の海に入れると出すとこ見せられないしね。

「わらわからもそなたに頼み事があるのじゃが、聞いてはもらえぬか?」
「はい、なんでしょうか?」

「わらわはそなたが気に入ったのじゃ。
 そなたのそばにおりたいから、わらわも連れて行ってたもれ。」

「え!?そ、それはちょっと!
 それに僕、追われている身なので、一緒にいたら何があるかわかりませんし……。」

 そう言えばその問題もあるんだよね。占い師に顔と波長を覚えられちゃったから、居場所を特定されやすくなっちゃったんだ。どうにかして身を隠す方法を見つけないとな。

「追われている?ならばなおのことそなたに都合がよい。わらわは身を隠す魔法にたけておるのじゃ!このダンジョンも、わらわが興味を持った相手しか入れぬ仕様なのじゃ!」

「身を隠す魔法?」
「わらわのいるところより、一定の範囲の場所を相手に認識させなくさせる魔法じゃ!」
「認識阻害魔法ですね。上級魔法だ。」

 叔父さんが教えてくれる。上級魔法かあ。僕の家庭教師は基礎的なことしか教えてくれなかったから、特に上級ともなると、どんな魔法があるのかなんてわからないんだよね。

「1度かければ半永久的。このダンジョンすべてを隠すなど、造作もないことよ!」
 と、ミルドレッドさんがドヤる。

「魔法が使われていることを看破するには魔法使いの力が必要だ。それも他属性なら同等以上の。それこそ占い師ごときには無理な話だ。……うん、悪くないかも知れないな。」

「叔父さん!?」

【私もいいと思います。SSランクのダンジョンボスで、元ドラゴンマスターの勇者に使役されていた経験から人との共闘に慣れ、そして高位魔法である認識阻害魔法も使える。

 クリスタルドラゴンは戦力において災厄級とされています。災厄級は下手すると国が消し飛ぶ力。オニイチャンを守るのにじゅうぶんな戦力の1つであると言えるでしょう。】

 キリカまで!?

「ミルドレッドさま、汚くせせこましい我が家ですが、どうかお越しくださいますか?」
「うむ!アレックスと暮らせるのであれば、わらわはどこでもよいぞ!」

「住むったって、どこに住むの?」
「物置にしている部屋があるだろう。マジックバッグの中に物を移してしまえば部屋が1つあく。そこに住んでいただくつもりだ。」

 叔父さんは災厄級のクリスタルドラゴンを本気で家に住まわせるつもりみたいだ。
「未婚の男女が1つ屋根の下って……。」

「ミルドレッドさまは魔物だぞ?亜人ですらない。本人がつがいにすると言ったって、人間と子どもが出来るわけでもないだろう。使役した魔物と暮らすのは普通のことだ。」

 叔父さんはテイムした魔物と同じ発想でミルドレッドさんをとらえてるみたい。確かにそう考えるとそうなんだけど、僕を狙ってる相手と暮らすってことに代わりはないよね?

「なんじゃ、わらわが手を出すと思うておるのか。そこが心配であれば、わらわを使役すればよいであろ。さすればマスターに手出しは出来ぬ。許可をもらわねばな。」

「ミルドレッドさんはそれでいいんですか?
 僕が欲しいと言っていたんじゃ……。」
「なに、許可をもらえば良いだけの話じゃ!
 ならばそなたをその気にさせるまでよ!」

 嬉しそうにそう言うミルドレッドさん。つまり近くにいてチャンスを伺うつもりってことなのか。──少しも安心出来ない!!

「さあ、わらわを使役するがよい。
 ここにほれ、口を付けるだけじゃ。」
 そう言ったミルドレッドさんの首に、契約紋が浮かび上がる。く、口を付けるって!!

「し、使役って、こういうものなの!?
 これは正しいの!?叔父さん!!」
 僕、騙されてないよね!?

「テイマーは強さを認めさせるか、弱らせて捕獲するか、魔物に気に入られるかしなければテイムすることが出来ないが、ドラゴン種は個体ごとにやり方が違うからわからん。」

 と叔父さんが言った。つまりこれは正しいかも知れないし、正しくないかも知れないってことだよね?ミーニャともしてないのに、首とはいえ他の女の子にキスするだなんて!

 キリカぁ!正解を教えて!!

【回答、ドラゴン種は相手を認めた場合のみ使役することがかなう生き物です。

 その際相手を受け入れる印として、ドラゴン種の親愛を示す行動、口を相手の体にコツンと当てる仕草を好む個体が多いようです。

 人型になれる種族であっても、人間のように口と口をくっつけてキスをする習慣のようなものはなく、あくまでも体の一部に口を当てるのであれば、どこでもよいようです。】
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