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第2章
第215話 獣人の美女と美男の条件
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「さて、そういうことなら、下の層に行く前に、少し英気を養うにゃ。休憩して、武器にも問題がないか確認するにゃりよ。」
エルシィさんの提案で、下のフロアに降りる前に休憩することになった。ご飯は食べたばかりなんだけど、エルシィさんはお菓子を籠に詰めて貰って来たらしい。
「疲れた時には甘いものなのにゃー!」
と、嬉しそうにみんなにも配っては、モリモリとお菓子を頬張っている。
「あ、美味しい……。」
初めて食べるお菓子は、食べさしが黒くなってて、見た目はなんだかグロいけど。
「良かったにゃ!それは餡この入った月餅というお菓子なのにゃ!この国では月は力をくれるとされているにゃ。月を意味するお菓子がたくさんあるにゃりよ?」
へー。月信仰があるんだね。
珍しいかも。うん。……モグモグ。
僕、アンコって結構好きかも。
……モグモグモグモグ……。
「もっと食べるにゃりか?」
──はっ!!
気が付いたら3個も食べてたよ!
夜ご飯は食べてきたのになあ。
お土産に明日買って帰ろうっと。
「今お茶を入れるにゃりからね。」
そう言ってお湯を沸かそうとするエルシィさん。──あ!ちょうどいいや!
「良かったら、僕の水を使って下さい。
今、出すので。肌や髪にいいと評判なんですよ。今度化粧品と髪の溶剤を販売するんですが、それにも使われているんです。」
飲んでも体にいいし、直接体に触れると、すぐに効果を発揮するんですよ、と僕は説明しながら、スキルの開放条件クリアの為に、真水を抽出して容器にそそいだ。
「──髪の溶剤?
それって毛艶にもいいものにゃりか?」
「毛艶……?はい、たぶん。髪の毛にいいものなので、毛艶も出ると思いますよ?」
「なんだって!?」
「本当にですか?アレックスどの!」
それを聞いた、みんなの目の色が変わる。
え?な、な、なに?
「そんなものがあるならぁ、ぜひともぉ、買いたいよねぇ。アレックスが売ってるのぉ?
今すぐ買えるぅ?」
ヒナさんまで?
「私も……、買いたいな……。」
ルルゥさんも!?なんでそんなに?
「あ、ええと、工房で作ってる最中なので、今すぐというわけでは……。」
「工房?アレックスの国の工房で作ってるにゃりか?なら、この国に届くまでには時間がかかるにゃりね……。」
「そうですね。一応全国展開なので、それなりの数は1度に作ってはいますが。」
「この国の工房でも作れないにゃりか?」
「スウォン皇国でですか?リシャーラ王国だと、作れる工房が限定されるみたいなので、加工職人さんがたくさんいる工房が見つかれば、出来ると思いますけど……。」
「なら、うちの一族の工房が協力するよ!
幻狸族は薬師と錬金術師のスキル持ちが大半の一族なんだ。この国の殆どをになっている、最大手なんだよ!」
「本当ですか?それでしたら、この国でも作って売れるかも知れません。
でも、どうしてみなさん、そんなに、髪の毛の溶剤が欲しいんですか?」
「そりゃあ、伊達男といえば、毛艶の良さが命ですからなあ!」
「美人は毛艶で決まるのにゃ!」
と、みんなが教えてくれる。
……なるほど。獣人にとっては、毛艶が美醜の基準になるってことなんだね。
それをキレイにしてくれるものがあるのなら、みんな飛びつくってことか!
工房が見つかるのなら、販売する国の現地で作ったほうが輸送も楽だし、その土地の雇用も生み出せるから、一石二鳥だね!
今度工房長を紹介してくれる?とノーベルさんに聞くと、もちろん!ぜひとも、こちらこそだよ!と言ってくれた。
「ただ、虫の成分を使うから、蟲使いのスキル持ちの人も必要なんだけど……。
心当たりってあるかな?」
とみんなにたずねる。
「それならぁ、うちの一族が協力しますぅ。綿羊族はぁ、衣服を作ってるんですけどぉ、その中には虫が出す成分をぉ、使うものもあってぇ。蟲使いがたくさんいるんですぅ。」
「そうなんだ!ヒナさん、ぜひともよろしくお願いします!凄い!これならすぐにでも作れちゃう気がします!」
「こちらこそですぅ。新しい商売のぉ、可能性が広がってぇ、おまけにそれが需要が確定してるだなんてぇ、むしろ僕が一族のみんなからぁ、感謝されると思いますぅ。」
まさかこんな雑談キッカケで、いきなり化粧品の販路が広がるなんて!この国に来て良かったな!いいことばっかりだよ!
僕の出した真水で入れたお茶は、お茶をまろやかにしてくれたらしく、普段よりもとっても美味しいのにゃ~!とエルシィさんが言って、みんなもそれにうなずいている。
僕らは楽しくお喋りしながら──僕は更にゲッペイを2つも食べながら──下のフロアでの戦いに向けて、英気を養ったのだった。
エルシィさんの提案で、下のフロアに降りる前に休憩することになった。ご飯は食べたばかりなんだけど、エルシィさんはお菓子を籠に詰めて貰って来たらしい。
「疲れた時には甘いものなのにゃー!」
と、嬉しそうにみんなにも配っては、モリモリとお菓子を頬張っている。
「あ、美味しい……。」
初めて食べるお菓子は、食べさしが黒くなってて、見た目はなんだかグロいけど。
「良かったにゃ!それは餡この入った月餅というお菓子なのにゃ!この国では月は力をくれるとされているにゃ。月を意味するお菓子がたくさんあるにゃりよ?」
へー。月信仰があるんだね。
珍しいかも。うん。……モグモグ。
僕、アンコって結構好きかも。
……モグモグモグモグ……。
「もっと食べるにゃりか?」
──はっ!!
気が付いたら3個も食べてたよ!
夜ご飯は食べてきたのになあ。
お土産に明日買って帰ろうっと。
「今お茶を入れるにゃりからね。」
そう言ってお湯を沸かそうとするエルシィさん。──あ!ちょうどいいや!
「良かったら、僕の水を使って下さい。
今、出すので。肌や髪にいいと評判なんですよ。今度化粧品と髪の溶剤を販売するんですが、それにも使われているんです。」
飲んでも体にいいし、直接体に触れると、すぐに効果を発揮するんですよ、と僕は説明しながら、スキルの開放条件クリアの為に、真水を抽出して容器にそそいだ。
「──髪の溶剤?
それって毛艶にもいいものにゃりか?」
「毛艶……?はい、たぶん。髪の毛にいいものなので、毛艶も出ると思いますよ?」
「なんだって!?」
「本当にですか?アレックスどの!」
それを聞いた、みんなの目の色が変わる。
え?な、な、なに?
「そんなものがあるならぁ、ぜひともぉ、買いたいよねぇ。アレックスが売ってるのぉ?
今すぐ買えるぅ?」
ヒナさんまで?
「私も……、買いたいな……。」
ルルゥさんも!?なんでそんなに?
「あ、ええと、工房で作ってる最中なので、今すぐというわけでは……。」
「工房?アレックスの国の工房で作ってるにゃりか?なら、この国に届くまでには時間がかかるにゃりね……。」
「そうですね。一応全国展開なので、それなりの数は1度に作ってはいますが。」
「この国の工房でも作れないにゃりか?」
「スウォン皇国でですか?リシャーラ王国だと、作れる工房が限定されるみたいなので、加工職人さんがたくさんいる工房が見つかれば、出来ると思いますけど……。」
「なら、うちの一族の工房が協力するよ!
幻狸族は薬師と錬金術師のスキル持ちが大半の一族なんだ。この国の殆どをになっている、最大手なんだよ!」
「本当ですか?それでしたら、この国でも作って売れるかも知れません。
でも、どうしてみなさん、そんなに、髪の毛の溶剤が欲しいんですか?」
「そりゃあ、伊達男といえば、毛艶の良さが命ですからなあ!」
「美人は毛艶で決まるのにゃ!」
と、みんなが教えてくれる。
……なるほど。獣人にとっては、毛艶が美醜の基準になるってことなんだね。
それをキレイにしてくれるものがあるのなら、みんな飛びつくってことか!
工房が見つかるのなら、販売する国の現地で作ったほうが輸送も楽だし、その土地の雇用も生み出せるから、一石二鳥だね!
今度工房長を紹介してくれる?とノーベルさんに聞くと、もちろん!ぜひとも、こちらこそだよ!と言ってくれた。
「ただ、虫の成分を使うから、蟲使いのスキル持ちの人も必要なんだけど……。
心当たりってあるかな?」
とみんなにたずねる。
「それならぁ、うちの一族が協力しますぅ。綿羊族はぁ、衣服を作ってるんですけどぉ、その中には虫が出す成分をぉ、使うものもあってぇ。蟲使いがたくさんいるんですぅ。」
「そうなんだ!ヒナさん、ぜひともよろしくお願いします!凄い!これならすぐにでも作れちゃう気がします!」
「こちらこそですぅ。新しい商売のぉ、可能性が広がってぇ、おまけにそれが需要が確定してるだなんてぇ、むしろ僕が一族のみんなからぁ、感謝されると思いますぅ。」
まさかこんな雑談キッカケで、いきなり化粧品の販路が広がるなんて!この国に来て良かったな!いいことばっかりだよ!
僕の出した真水で入れたお茶は、お茶をまろやかにしてくれたらしく、普段よりもとっても美味しいのにゃ~!とエルシィさんが言って、みんなもそれにうなずいている。
僕らは楽しくお喋りしながら──僕は更にゲッペイを2つも食べながら──下のフロアでの戦いに向けて、英気を養ったのだった。
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