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第2章

第206話 慰労会という名の歓迎会

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「そ、その……、どっちも……、です。」
「ずっちぃなあ!いいなあ!
 僕が遭遇したかったよ!」
 ノーベルさんって大胆だな……。

「それがし、おなごの裸なぞ、添い遂げる相手だけでじゅうぶんです。
 わかりませんな、そのお気持ち。」
 ギギルさんは逆に堅いんだね。

「ええ~?ポチギくんは、まだ女の人とお風呂に入っても咎められない年齢じゃない!
 ギリギリまで入りたいと思わないの?」
 ノーベルさんが不思議!という顔で言う。

 え?ギギルさんっていくつなの?
 獣人の年齢ってほんとに分からない……。
「なっ。それがしとて、もうすぐ元服の身!
 おなごと風呂になど入りませぬ!」

「ギギルさんは成人前なんだね。ちなみに元服って、この国だと何歳なの?」
「この国の元服年齢は12歳だよ。」
 と、ノーベルさんが教えてくれる。

 てことは、ギギルさんはまだ11歳くらいってこと?あ!だから他のみんなよりも、獣神になれる可能性が低かったんだ!
 当然いろんな経験値が低いだろうからね。

 僕はギギルさんに、ギギルさんくらいの年齢の弟がいるのだと伝えた。ギギルさんにも僕くらいの年齢のお兄さんがいるんだって!

 兄上は本当に立派で、頼りになるのです!と嬉しそうなギギルさん。僕もリアムにそんな風に思って貰える兄でいれているかな?

 その話をしてからギギルさんが可愛らしく見えて、なんだか打ち解けられた気がする。
 ギギルさんもニコニコしてくれていた。

 うーん、確かにその年齢で女性とお風呂は恥ずかしいかも……。うちのリアムだって、メイドに体を洗われるのを嫌がるしなあ。

 僕は婚約者が決まってから、男の従者を雇って貰って、その人にやって貰ってたけど、女の人にやって貰う貴族も多いんだよね。

 父さまも母さまが生きてた頃は、普通にメイドに洗わせていたしなあ。エロイーズさんが嫌がるから、今は男の従者だけど。大人になったらそのうち慣れるものなのかな?

「ちなみに、叔父さんがキャベンディッシュ侯爵家にいた頃は、メイドに洗ってもらってた?僕女の人に洗って貰うのって苦手で。混浴なんてとてもじゃないけど無理だよ。」

「いや、俺は男の従者を雇ってもらった。
 相手が服を着てるのに、こちらは裸というのが、どうにも落ち着かなくてな。」
「そうだね、それもちょっと嫌かなぁ。」

 じゃあ、人によるってことか。
 叔父さんは母さま以外の女性に、触られることすら嫌がりそうだもんね。

 着替えが終わって、貴賓客用の大広間に案内される──と、あれ?さっきの場所だよ?僕が迷子になったのでなければ、お風呂に入る前にクローディアさまと面会した場所だ。

 しかもさっきはタタミの上に絨毯が敷いてあって、靴を履いて上がれたけど、今度はその絨毯がなくなっていて、靴を脱いでお上がり下さい、と言われた。

 ここのお城は殆どが床が板の間になってるんだけど、宴会の時はタタミに直接、座るものなんだって。ええ、痛そう……。

 と思ったら、ザブトンというものが1人1人に用意された、オゼンというテーブルの前に置かれていて、そこにお座り下さいとうながされた。なるほど。これなら痛くないね。

 僕の隣はなぜか空席だった。オゼンはないけどザブトンだけある感じだ。
「おおっ!豪華な舟盛りですぞ!」
「やったにゃー!ごちそうにゃー!」

 みんなが嬉しそうにはしゃいでいる。
 サシミという生魚がたくさん乗った、小さな木の小舟をそう呼ぶんだそうだ。へえ~、小舟を器にするなんて、洒落てるなあ!

「これらはアレックスからの供出品じゃ。
 存分に食らい、楽しむが良いぞ。」
 相変わらずミスの向こう側に座るクローディアさまがそう言って、宴会が始まった。

 みんなはハシという道具を使うけど、僕と叔父さんにはナイフとフォークを出してくれた。あんな木の棒でご飯を食べるの?
 みんな器用にハシを使うなあ!

「アレックスどの!かたじけない!」
「ありがとう!アレックスくん!」
「お刺し身とかぁ、こんなごちそう、ほんとに久しぶりで嬉しいですぅ。」

「山の上にまで届けてくれる、奇特なお魚屋さんなんていないにゃりからねえ。でもこれからは毎日お魚が食べられるにゃ!」

「え?どうしてです?」
「アレックスはにゃんと、ここでお魚屋さんを開く予定なのにゃ!子どもたちにも早く食べさせたいにゃ~。」

「そうなのですか!それは凄い!
 楽しみにしておりますぞ!」
「あ、はい、お店が出来たら、よろしくお願いします。」

 みんなでワイワイご飯を食べていると、空いていた僕の隣に、スッと誰かが座る。
 ──ルルゥさんだ!き、気まずい……。
 僕、どんな顔して食べたらいいの!?
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