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第2章

第195話 82番目の扉。冒険者(売りやすい)。

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 ……いるんだ。
 でも微妙な数字だなあ。レンジアやスカーレット嬢よりかは低いけど、ミーニャやオフィーリア嬢よりかは高いんだよね。

 まあ、他にいなかったらにしよう、うん。
 下手に関わろうとして、外交問題にでも発展したら、ことだもの。そうなったらもう、僕の手にはおえなくなっちゃう。

「いたんだけど、敵国だからね……。ここがどこかはとりあえず分かったし、他のアイテムボックスを探してみたいなって思うよ。」
 僕がそう言うと、

「そうだな、ドッパーナ王国とは、未だに緊張状態がとかれないままだ。今までの国と違って、下手に見つかって不法入国だと騒がれてもことだ。早めに引き上げよう。」

 叔父さんも僕の言葉に同意してくれる。
 僕らは周囲の探索を諦めて、時空の扉からアイテムボックスの中に戻ったのだった。

 その次は82番・冒険者(売りやすい)とメモしたアイテムボックスだ。心の中で時空の扉!と念じて扉を出現させて扉を開けた。

 扉を開けて外に出ると、そこは断崖絶壁だった。遥か先に雲が広がっていて、その上にこの場所があるんだ。光に照らされた流れる雲はとても美しくて幻想的な光景だった。

「ここは……、スウォン皇国か!!」
 叔父さんがその景色を見た途端叫んだ。
「──スウォン皇国?」
 あんまり聞き覚えのない国名だなあ。

「ああ。ここは獣人の皇帝がおさめる国なんだ。人間には山を登るのも暮らすのも、大変な場所なんだが、その分攻め込まれにくく、獣人たちにとっては暮らしやすい国だ。」

 ああ、獣人の国なのかあ。どうりで聞いたことがない筈だよ。王宮近くはまだまだ獣人への偏見が根強いからね。

 家でもその話題を父さまがさけてたから、家庭教師も詳しいことは教えてくれなかったからなあ。どこかにあるらしいってことを、書物で知った程度の知識なんだよね。

 ということは、レンジアと同じで、獣神になれるかも知れない人たちが、たくさんいるかも知れない国ってことだね!

 情報の海さん!候補者がいたら教えて?

【回答、勇者、聖女、賢神、闘神、弓神、獣神、龍神に変化出来うる候補者について。

 現時点で勇者に変化する可能性のある者について。
 ●セオドア・ラウマン。
  勇者に変化する可能性、16.8%。

 現時点で聖女に変化する可能性のある者について。
 ●クローディア・アウフモス。
 聖女に変化する可能性、12.3%。

 現時点で賢神に変化する可能性のある者について。
 半径20リオ以内に該当者がいません。
 
 現時点で闘神に変化する可能性のある者について。
 半径20リオ以内に該当者がいません。

 現時点で弓神に変化する可能性のある者について。
 半径20リオ以内に該当者がいません。

 現時点で獣神に変化する可能性のある者について。
 ●エルシィ・マメオ。
 獣神に変化する可能性、5.4%。
 ●プッカ・ノーベル。
 獣神に変化する可能性、3%。
 ●ヒナ・アッカ。
 獣神に変化する可能性、6.1%。
 ●ルルゥ・シュモス
 獣神に変化する可能性、4.8%。
 ●ポチギ・ギギル。
 獣神に変化する可能性、2.3%。

 現時点で龍神に変化する可能性のある者について。
 半径20リオ以内に該当者がいません。

 以上です。】

 ──やっぱりいた!それも5人も!!
 近距離でこれなら、もっといるはずだね!
 ……というか、初の聖女候補者が見つかったよ!しかも12.3%はかなり高いよ!

「叔父さん!獣神候補者がたくさん見つかったよ!しかも初の聖女候補者までいたんだ!
 それも12.3%だって!クローディア・アウフモスさんて人だよ!」

「……クローディアさまが?
 確かにそうなってもおかしくはないか。」
「知ってるの?叔父さん。」
「ああ、クローディアさまは……。」

「──あんたらダレにゃ?」
 話し込んでいた僕らの後ろから、突然話しかける声がする。慌てて振り返ると、可愛らしい猫の獣人の女の子が立っていた。

 白、黒、茶のまだら模様の獣人さんだ。
「人間にゃね?怪しいにゃ……。この国で人間なんか滅多に見ないにゃ。
 ──この国にいったい何の用にゃ!!」

「え、えと、僕らは、その……。」
「うちの甥っ子が、魚屋を全国展開しようとしていてな、その下見に来たのさ。
 ……久し振りだな、エルシィ。」

「にゃ?アタシを知ってるにゃ?
 アタシはアンタなんか知らないにゃ。」
 叔父さんにエルシィと呼ばれた女の子は、不思議そうに首をかしげた。

「俺の匂いを嗅いでみてくれないか?」
 そう言いつつ、叔父さんがお辞儀するみたいに自分の頭を下げて、頭頂部を突き出しながら、エルシィさんにそう、うながした。
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