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第2章
第180話 化粧品の作成依頼
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その足で商人ギルドに行って、商会作成の申請を行う。一応略式の審査とかはあるんだけど、申請すれば誰でも作れるんだって。
本来なら商会の証明書を作るのに7日はかかるんだけど、既に事業を営んでいる人か、貴族の推薦人がいると、なんとそれが短縮されるという決まりがあるらしい。
さっきの王宮勤めの貴族の女性と、ペルトン工房長が、僕の商会の推薦人になってくれていたらしく、その場で商会が出来てしまった。お礼ってことなのかな?嬉しいな。
それから商人ギルドの奥の祭壇で、カーリー嬢と僕の契約書を神におさめる儀式を行った。これは互いの血で契約するんだ。
契約が無事に受付をされて、今度はペルトン工房の場所を聞いて、カーリー嬢とペルトン工房へと向かった。
事前連絡なしのいきなりのだったにも関わらず、ペルトン工房長が直々に、笑顔で僕らを出迎えてくれた。
「よう、さっきのお兄ちゃんか、さっそく良い取引相手が見つかったみてえだな。」
「はい、おかげさまで。」
「それで……、だ。さっき見本で嬢ちゃんから貰った化粧品と髪の毛の溶剤だがな。俺の長年のカンが告げている。これは世界規模で売れるシロモンだとな。」
「ありがとうございます。ペルトン工房長にそう言っていただけると、自信がつきます。
毎月、1か月に千ロットを考えているのですが、お願いすることは可能でしょうか?」
「──いや、そいつは無理だな。」
「え。」
予想外の返事に、二の句が継げない。
僕の商会の推薦人になってくれたくらいだし、すぐに引き受けてもらえると思ったんだけど、やっぱり大手さんだけあって忙しいのかな。新しい仕事が受けられないのかも。
「平民用は10万だ。俺は最低でも、そのくらいは1か月で売れると思ってるんだ。
千程度じゃすぐに次が来て現場が混乱しちまう。10万なら受けてもいい。」
確かに一気に売れたらそうかも知れないけど、売れなかった時の在庫はどうするの?
いきなり借金を抱えることになるよ。僕とカーリー嬢は顔を見せて逡巡していた。
「試しに2ヶ月だけそれでやってみろ。
売れなかったら、原価にはなるがうちが在庫を全部買ってやる。まあ、おそらくはそんなことにはならんだろうがな。」
そこまで言ってくれるのなら、こちらのリスクは少ない。というか、むしろ良過ぎるくらいだよ。わかりました、とお願いするとこにして、商人ギルドで契約をかわした。
とにかく今日1日だけで色々なことがあったなあ。すっごく頭を使って疲れたよ……。
なんか眠くなってきたや。けど、なんとか上手くいってよかったよ。
ペルトン工房は、お弟子さんやペルトン工房長の兄弟たちがやってる工房が、リシャーラ王国内のあちこちにあって、全体で3万人を超える巨大な工房だとその時に知った。
そこで一気に作成して、商品はペルトン工房の付き合いのある商店に話をつけて、そこにおろしてくれることになった。
その契約書も後日交わすことになって、改めて契約書を交わすために、アルムナイの町に来ることになったよ。
原材料は定期的にペルトン工房から、従業員さんがうちに回収に来てくれることになったから、毎回アルムナイの町に行かなくてもいいことになった。
僕はいくらでも水を出せるし、カーリー嬢も余裕だそうだ。まあ10万と言っても、カーリー嬢のほうは、平民用のはかなり虫の成分を薄めるしね。
だから販売は各商店に丸投げに出来るし、僕のやることと言えば、定期的に抽出した水をおさめるというだけの簡単な仕事だった。
販売が開始されると、瞬く間にその性能の良さが知れ渡り、国内のみならず、あちこちから注文が殺到した。
美容成分のある水に、各種香料を加えた化粧水や髪の溶剤は、使えば肌のモチモチ感も段違いになったし、髪の毛も手ぐしの通るサラサラな仕上がり。
一気に大量供給したことは、ペルトン工房長的には、他の思惑もあったみたいだ。消費者の混乱も招かず、製造元を調べて制作者を特定し、独り占めしようとする人もいない。
ただただ普通にブームになり、いつの間にか消費者の生活の一部として溶け込んでいった。よその国からリシャーラ王国に来た旅行客の、人気のお土産の1つにもなったよ。
これは後で知ったことだけど、制作者が僕であることに貴族たちがたどり着かなかったのには、カーリー嬢の影響が大きかった。
なぜなら王家の影が仮の身分でやっている仕事だから。それを探ろうとすることを、王家の影の上の方の人たちも、王家の影を抱えている王家も許すわけがないんだよね。
僕は目立ちたくないと思っていたけど、はからずに結果として、僕がこの仕事に関わっていることも、知られずに済んだのだった。
本来なら商会の証明書を作るのに7日はかかるんだけど、既に事業を営んでいる人か、貴族の推薦人がいると、なんとそれが短縮されるという決まりがあるらしい。
さっきの王宮勤めの貴族の女性と、ペルトン工房長が、僕の商会の推薦人になってくれていたらしく、その場で商会が出来てしまった。お礼ってことなのかな?嬉しいな。
それから商人ギルドの奥の祭壇で、カーリー嬢と僕の契約書を神におさめる儀式を行った。これは互いの血で契約するんだ。
契約が無事に受付をされて、今度はペルトン工房の場所を聞いて、カーリー嬢とペルトン工房へと向かった。
事前連絡なしのいきなりのだったにも関わらず、ペルトン工房長が直々に、笑顔で僕らを出迎えてくれた。
「よう、さっきのお兄ちゃんか、さっそく良い取引相手が見つかったみてえだな。」
「はい、おかげさまで。」
「それで……、だ。さっき見本で嬢ちゃんから貰った化粧品と髪の毛の溶剤だがな。俺の長年のカンが告げている。これは世界規模で売れるシロモンだとな。」
「ありがとうございます。ペルトン工房長にそう言っていただけると、自信がつきます。
毎月、1か月に千ロットを考えているのですが、お願いすることは可能でしょうか?」
「──いや、そいつは無理だな。」
「え。」
予想外の返事に、二の句が継げない。
僕の商会の推薦人になってくれたくらいだし、すぐに引き受けてもらえると思ったんだけど、やっぱり大手さんだけあって忙しいのかな。新しい仕事が受けられないのかも。
「平民用は10万だ。俺は最低でも、そのくらいは1か月で売れると思ってるんだ。
千程度じゃすぐに次が来て現場が混乱しちまう。10万なら受けてもいい。」
確かに一気に売れたらそうかも知れないけど、売れなかった時の在庫はどうするの?
いきなり借金を抱えることになるよ。僕とカーリー嬢は顔を見せて逡巡していた。
「試しに2ヶ月だけそれでやってみろ。
売れなかったら、原価にはなるがうちが在庫を全部買ってやる。まあ、おそらくはそんなことにはならんだろうがな。」
そこまで言ってくれるのなら、こちらのリスクは少ない。というか、むしろ良過ぎるくらいだよ。わかりました、とお願いするとこにして、商人ギルドで契約をかわした。
とにかく今日1日だけで色々なことがあったなあ。すっごく頭を使って疲れたよ……。
なんか眠くなってきたや。けど、なんとか上手くいってよかったよ。
ペルトン工房は、お弟子さんやペルトン工房長の兄弟たちがやってる工房が、リシャーラ王国内のあちこちにあって、全体で3万人を超える巨大な工房だとその時に知った。
そこで一気に作成して、商品はペルトン工房の付き合いのある商店に話をつけて、そこにおろしてくれることになった。
その契約書も後日交わすことになって、改めて契約書を交わすために、アルムナイの町に来ることになったよ。
原材料は定期的にペルトン工房から、従業員さんがうちに回収に来てくれることになったから、毎回アルムナイの町に行かなくてもいいことになった。
僕はいくらでも水を出せるし、カーリー嬢も余裕だそうだ。まあ10万と言っても、カーリー嬢のほうは、平民用のはかなり虫の成分を薄めるしね。
だから販売は各商店に丸投げに出来るし、僕のやることと言えば、定期的に抽出した水をおさめるというだけの簡単な仕事だった。
販売が開始されると、瞬く間にその性能の良さが知れ渡り、国内のみならず、あちこちから注文が殺到した。
美容成分のある水に、各種香料を加えた化粧水や髪の溶剤は、使えば肌のモチモチ感も段違いになったし、髪の毛も手ぐしの通るサラサラな仕上がり。
一気に大量供給したことは、ペルトン工房長的には、他の思惑もあったみたいだ。消費者の混乱も招かず、製造元を調べて制作者を特定し、独り占めしようとする人もいない。
ただただ普通にブームになり、いつの間にか消費者の生活の一部として溶け込んでいった。よその国からリシャーラ王国に来た旅行客の、人気のお土産の1つにもなったよ。
これは後で知ったことだけど、制作者が僕であることに貴族たちがたどり着かなかったのには、カーリー嬢の影響が大きかった。
なぜなら王家の影が仮の身分でやっている仕事だから。それを探ろうとすることを、王家の影の上の方の人たちも、王家の影を抱えている王家も許すわけがないんだよね。
僕は目立ちたくないと思っていたけど、はからずに結果として、僕がこの仕事に関わっていることも、知られずに済んだのだった。
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