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第1章

第168話 僕の出生の秘密・その4

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 あ、そっか、今回は特別なんだっけ。
 でも、いずれスキルが解放されたら、普通に神さまと話が出来るようにもなるんだね。
 ほんとに凄いスキルだよね……。

「2つ、気になってることは、あります。
 1つ目は、勇者の剣についてです。」
【“なんだ?”】

「勇者の剣は、今僕が所持してるんですが、これって僕が所有者になってて、他の人に渡せないってことは、ないですよね?」

【“ないぞ。ただ、持っているだけで、その効果は発動する。人の子にとっては、所有者を固定しない場合のそれは、単なるプレシャスアイテムだが、半神半人たるお前は違う。

 時空の海にあるだけで、その効果を使用することが可能だ。それに、もともと補助具として授けたものだからな。それがないと勇者になれないといったものでもない。誰かに渡さずにお前が持っていてもよいだろう。”】

「──そうなんですか!?」
 勇者の剣に選ばれないと、勇者になれないってわけじゃないんだね。代々受け継いでいるのは、あったほうが強いからってことか。

【“代々の勇者も、最終的に、その剣使って戦ってないしな。もっと強い武器があるし。
 魔王と戦うには、もっと上の武器じゃないと駄目なのさ。”】

 序盤の武器ってことかあ……。
 まあでも勇者の武器って言われて序盤に渡されたらテンションあがるだろうから、そういう意味でも必要なアイテムってことだね!

「それともう1つ。これが1番気になってます。スキルの変化についてなんですが。」
【“……。ほう?なにかね?”】

「僕の住んでいるところの近くには、勇者になれる可能性があるのは、叔父さんとヒルデという女の子だけなんですが、これって世界中で見たら、他にもたくさんいますよね?」

【“そうであるな。
 他にもたくさん可能性のある者はいる。それに気が付けていないというだけだ。”】
 これは知性と発展のレスタトさまの声だ。

「……それって、1人じゃなくちゃ、ならないんでしょうか?」
【“と、いうと?なぜそう思うのかしら?”】

 今のは大地と豊穣のミボルフィアさまの声だね。うん、だんだん神さまの違いが分かってきたよ。

「勇者になれる可能性のある人って、本来ひとつの代に1人だと思ってたんですよね。
 だけど、この世界のスキルのルールでいうと、変化出来る可能性のある人は、もともと1人じゃない、ってことですよね?」

【“そうだな!それは勇者に限った話じゃない。聖女も、弓聖も、それは同じだ。”】
 今のは狩りと鍛冶のガレシアさまだ。

「神さまは人間たちの努力を求めている。
 人間は変化する可能性を持っている。
 勇者や聖女になれる人は1人じゃない。

 ……これって、勇者も聖女も、それぞれ2人以上、ううん、それこそたくさんの勇者や聖女のスキルを持つ人たちを、生み出すことも可能だってことになりませんか?

 神さまはこの世界に大きく干渉することが出来ない。だから異世界から召喚したり、無理やりこの世界の人間を目覚めさせる事が出来るのが、1人ずつだったってだけで。

 勇者と聖女が1人ずつだと封印しか出来ないけど、もしもそれがたくさんいたら……?
 な、なんて、ハハハ……。」

【“……。”】
 神さまたちは反応をしなかった。
 や、やっぱり無茶苦茶というか、かなり荒唐無稽なことを言ったかも!?

【“やはり私たちの弟、なのですね。今まであまり実感わきませんでしたけれど。”】
 多分これは、美と愛の神さま、エリシアさまの声だと思う。

【“その通りだよ、弟よ。
変化出来る可能性のある人間は、全員が変化することが出来るんだ。君には世界中を旅して、たくさんの仲間を集めて欲しい。”】

 酒と音楽の神さま、スローンさまが言う。
 ……──!!!!!
 やっぱり!そうなんだ!!
 勇者になれるのは、1人じゃない!!

 叔父さんとヒルデ、どちらかを勇者に選ばなくちゃならないのなら、近いのは叔父さんで、なりたがる方で言えばヒルデだけど、両方なってくれたらいいのにって思ったんだ。

【“まずは、この世界で、君自身が力をつけること。たくさんの人間に信用される人間になることだ。そうでなければ、長い道のりをともにしては貰えないであろうから。”

 “今はまだ、たくさんの言葉を、人の子らに伝えれないのでな。アレックスの言葉が真実であると、信じさせるすべがないのだ。”

 “だからそこが今はお前頼みになっちまうんだけどよ……。それにすぐに気が付けるお前だ。きっとだいじょうぶと信じてるぜ!”

 “アレックス。あなたが力をつければ、またすぐ話せるようになることでしょう。──それまでセオドア、この子を頼みます。”】
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