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第1章
第164話 叔父さんへの秘密の共有・その5
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【“これだけおんぶに抱っこで世話してやっても、つかわした勇者も聖女も、大切にするどころか取り合いになってかえって揉める。
一回世界そのものを、ぜんぶキレイに流しちまおうか?って案すら出ていたもんな。”
“そうね。そこで残った生き物や人間をもとに、新たな人類を発展させるのも、ありじゃないかしらという意見もあるのよ。”
“お主のスキルには、その力も授けてあるのだ。今いる人間たちが不要であると判断した場合は、すべてキレイさっぱり、海に流してしまうがいい。むしろそのほうが早いだろう。勇者も聖女も必要なくなるからな。”
“瘴気も流れて地上を浄化出来るし、まさに一石二鳥ってね!”】
ちょおおおお!え?え?
なんか凄い言葉が聞こえたんだけど!
この人たち、やっぱり神さまだよ。1人1人の命を、重要視してないもの!!
人間全体がいい方向に行くのなら、たくさんの命が失われる事自体は、些末なことなんだね……。だって戦争は止めないんだもん。
魔王はことわりを乱すものだから、止めたいけど、ってことなのかな。確かにすべての土地に瘴気があふれたら、人間なんてもう、どこにも暮らせなくなってしまうものね。
なんならむしろ、この世のすべての人間ごと、キレイサッパリ流してしまいたい神さまも、若干いるみたいだけど……。
【“まあ、そうだな。お前のスキルには、それだけの力があるからな。”】
そうならない為には、僕が頑張る他ないってことだね。うう……。
「ななつをすべしもの、のお告げがあったことにより、既に各国では、勇者と聖女の奪い合いが始まっていることでしょう。
神のおんまえでお恥ずかしい話ですが。」
叔父さんがそう言って頭を下げた。
「アレックスの使命、しかと承りました。そういうことであれば、この子の出自も隠させようと思います。父親がリシャーラ王国の要職についておりますので、利が自分たちにあると勘違いする者も多いことでしょう。」
……確かに、ノブリス・オブリージュとして僕に優先的にリシャーラ王国を救わせようとする国民感情が働きそうだよね。
勇者や聖女が誕生した国や、最初に保護した国に優先権がある。これは代々国家間での暗黙の決まり事とされているんだ。
【“それならば問題はない。
アレックスは女神アジャリべが仮の肉体を得て産み落とした我らが兄弟、いわば半神半人。どの国にも属すことかなわぬ。アレックスを我が者としようとした国より、すべからく天罰が下ることになるであろう。”】
「──え?」
「──へ?」
叔父さんと僕の言葉が響く。僕は叔父さんと顔を見合わせる。
【“これだけの強大な力を授けるのには、普通の人の子の肉体では無理であったのだ。
女神アジャリべと波長の合う人間の胎内より、女神アジャリべが現人神として、そなたの母として産まれるところから、こたびの計画は始まっておったのじゃよ。”】
「え?ま、ま、まさか……。女神アジャリべさま、あなたはひょっとして……。」
目を見張って立ち上がる叔父さん。
え?なに、どういうこと?
【“久しぶりね、セオドア。
あなたが子どもの頃にくれた、セケオの実のペンダント、私まだ持っているのよ?”】
アジャリべさまが嬉しそうにそう言った。
「オ、オリビア!?
まさか本当に、オリビアなのか……!?」
オリビアって……。僕の母さまである、オリビア・キャベンディッシュの名前だけど。
なにか2人だけの秘密だったらしい。叔父さんはそれを聞いて、口元を隠しながら真っ赤になっている。こんな叔父さんの姿は初めて見るよ。ちょっと可愛らしいよね。
叔父さんは子どもの頃から、母さまのことが大好きだったんだ。叔父さんが独身を貫いてる理由が、母さまが原因なんじゃないかと言われているんだよね。
その叔父さんが女神アジャリべさまを、母さまの名で呼んで照れているなんて……。
まさかアジャリべさまは、仮の肉体で現前した、僕の母さまだったって言うの!?
確かに叔父さんは昔から、僕の母さまのことを、オリビアは女神さまのような女性だからな、と再三言ってはいたけどさ!
そう言えば、レスタトさまが話の流れでサラッと言ってた!我々と同じく女神アジャリべの子どもなのだ、とかなんとか!
狩りと鍛冶の神ガレシアさまも、女神アジャリべのお告げによる使徒かつ神の子って言ってた!比喩だと思って聞き流してたけど!
【“そうですよ、アレックス。
現人神としての私の名はオリビア・キャベンディッシュ。あなたの母親です。”】
優しく僕の名を呼ぶ女神アジャリべさまの声は、僕の記憶の中の母さまと同じく、どこまでも呑気に朗らかだった。
一回世界そのものを、ぜんぶキレイに流しちまおうか?って案すら出ていたもんな。”
“そうね。そこで残った生き物や人間をもとに、新たな人類を発展させるのも、ありじゃないかしらという意見もあるのよ。”
“お主のスキルには、その力も授けてあるのだ。今いる人間たちが不要であると判断した場合は、すべてキレイさっぱり、海に流してしまうがいい。むしろそのほうが早いだろう。勇者も聖女も必要なくなるからな。”
“瘴気も流れて地上を浄化出来るし、まさに一石二鳥ってね!”】
ちょおおおお!え?え?
なんか凄い言葉が聞こえたんだけど!
この人たち、やっぱり神さまだよ。1人1人の命を、重要視してないもの!!
人間全体がいい方向に行くのなら、たくさんの命が失われる事自体は、些末なことなんだね……。だって戦争は止めないんだもん。
魔王はことわりを乱すものだから、止めたいけど、ってことなのかな。確かにすべての土地に瘴気があふれたら、人間なんてもう、どこにも暮らせなくなってしまうものね。
なんならむしろ、この世のすべての人間ごと、キレイサッパリ流してしまいたい神さまも、若干いるみたいだけど……。
【“まあ、そうだな。お前のスキルには、それだけの力があるからな。”】
そうならない為には、僕が頑張る他ないってことだね。うう……。
「ななつをすべしもの、のお告げがあったことにより、既に各国では、勇者と聖女の奪い合いが始まっていることでしょう。
神のおんまえでお恥ずかしい話ですが。」
叔父さんがそう言って頭を下げた。
「アレックスの使命、しかと承りました。そういうことであれば、この子の出自も隠させようと思います。父親がリシャーラ王国の要職についておりますので、利が自分たちにあると勘違いする者も多いことでしょう。」
……確かに、ノブリス・オブリージュとして僕に優先的にリシャーラ王国を救わせようとする国民感情が働きそうだよね。
勇者や聖女が誕生した国や、最初に保護した国に優先権がある。これは代々国家間での暗黙の決まり事とされているんだ。
【“それならば問題はない。
アレックスは女神アジャリべが仮の肉体を得て産み落とした我らが兄弟、いわば半神半人。どの国にも属すことかなわぬ。アレックスを我が者としようとした国より、すべからく天罰が下ることになるであろう。”】
「──え?」
「──へ?」
叔父さんと僕の言葉が響く。僕は叔父さんと顔を見合わせる。
【“これだけの強大な力を授けるのには、普通の人の子の肉体では無理であったのだ。
女神アジャリべと波長の合う人間の胎内より、女神アジャリべが現人神として、そなたの母として産まれるところから、こたびの計画は始まっておったのじゃよ。”】
「え?ま、ま、まさか……。女神アジャリべさま、あなたはひょっとして……。」
目を見張って立ち上がる叔父さん。
え?なに、どういうこと?
【“久しぶりね、セオドア。
あなたが子どもの頃にくれた、セケオの実のペンダント、私まだ持っているのよ?”】
アジャリべさまが嬉しそうにそう言った。
「オ、オリビア!?
まさか本当に、オリビアなのか……!?」
オリビアって……。僕の母さまである、オリビア・キャベンディッシュの名前だけど。
なにか2人だけの秘密だったらしい。叔父さんはそれを聞いて、口元を隠しながら真っ赤になっている。こんな叔父さんの姿は初めて見るよ。ちょっと可愛らしいよね。
叔父さんは子どもの頃から、母さまのことが大好きだったんだ。叔父さんが独身を貫いてる理由が、母さまが原因なんじゃないかと言われているんだよね。
その叔父さんが女神アジャリべさまを、母さまの名で呼んで照れているなんて……。
まさかアジャリべさまは、仮の肉体で現前した、僕の母さまだったって言うの!?
確かに叔父さんは昔から、僕の母さまのことを、オリビアは女神さまのような女性だからな、と再三言ってはいたけどさ!
そう言えば、レスタトさまが話の流れでサラッと言ってた!我々と同じく女神アジャリべの子どもなのだ、とかなんとか!
狩りと鍛冶の神ガレシアさまも、女神アジャリべのお告げによる使徒かつ神の子って言ってた!比喩だと思って聞き流してたけど!
【“そうですよ、アレックス。
現人神としての私の名はオリビア・キャベンディッシュ。あなたの母親です。”】
優しく僕の名を呼ぶ女神アジャリべさまの声は、僕の記憶の中の母さまと同じく、どこまでも呑気に朗らかだった。
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