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第1章

第125話 奴隷商人の商品説明

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前の2話は人を選ぶ可能性がある為、読み飛ばしても読み進められるように、今回は一気に3話アップとしました。

いつもの主人公のノリが好きな方は、こちらの話からお読みください。

────────────────────

 あれって何かの魔道具か何か!?
 ムチの一撃で倒れるなんて!!
「手間をかけさせやがって。」
 最初に対応してくれた店員さんが言う。

 ズルズルと店内に引きずり戻された奴隷の男性たちに、店の奥から奴隷を連れて来た店員さんが、何かを無理やりに飲ませようとしながら、なぜか服のボタンをはずしだす。

「ちょ、ちょっと、乱暴は……。」
「だいじょうぶです、商品に傷はついていませんのでご心配なく。」
 そう言いながらも脱がす手を止めない。

 凄く手慣れてる感じがするよ。体に傷がないか、欠損がないか、健康かどうかを見せる為に、奴隷を裸にすることがあると聞いたことがあるけど、これってそういうことなの?

 確かに買ってから、病気だったり怪我してたら困るけど、キャベンディッシュ侯爵家の料理人が、1頭丸ごと買い付けに行く時みたいだなあ。扱いが家畜同然だよ。

 だけどこれが奴隷商人としてやる、商品に対する決まりごとなんだとしたら、頭ごなしに否定もし辛い。かと言って見てられない。

「そうじゃなくて……。」
「ほら、早く見て貰うんだ。」
 そう言って、茶色の髪の男性のズボンのボタンを外して、手を中に滑り込ませた。

 茶色の髪の男性はうまく体が動かないみたいで、真っ赤になって顔を背けて嫌がった。それくらいの抵抗しか出来ないみたいだ。

「あの……、その……、その人に何をしようとしてるんですか?嫌がってますし、やめてください。さっきムチで叩いたんだし、もうじゅうぶんでしょう?」

 そう言うと、店員さんはキョトンとした。
「性能をご覧になりたいんですよね?」
「はい、解体職人を探しているので、さばけるところが見られるのなら見たいです。」

 今度は茶色の髪の男性がキョトンとする。
「か、解体職人……?」
「はい、僕は魚屋を営んでいまして、魚を専門で解体出来る職人を探しているんです。」

「魚専門の、解体職人を……探して……。」
 茶色の髪の男性が、突然ポロッと泣き出した。え?え?僕なんか、変なこと言った!?

「そうでしたか。そういうことなら、ここでそれは見せられないので、経歴をお伝えする形でもよろしいですか?」

 茶色の髪の男性から手を離すと、手を布で拭きながら、店員さんがそう言った。
「はい、それで問題ないです。」

 最初に応対してくれた店員さんが、話はちゃんと聞けよ、といいながら、その店員さんを肘で小突いた。

「お前たちの奴隷になった経歴と、スキルを使ってやれることを話すんだ。」
 店員さんがそう言った。

「私が奴隷になったきっかけは、ギャンブルによって出来た借金を踏み倒して逃げたからです。借金取りに捕まって売られました。」
 最初に口を開いたのは黒髪の男性だ。

「それまでは鮮魚店で15年解体職人として働いていました。巨大魚の解体が得意です。
 以前の職場では、毎日ランド魚の解体ショーを担当していました。」

 解体ショーが出来るんだ!それはいいね!
 でもギャンブル中毒だったっていうのは気になるなあ。せっかく賃金を支払っても、またギャンブルで溶かしたら意味ないしなあ。

「……俺が奴隷になったのは、この国では禁じられていた、生魚を貴族に提供したからだ。俺は犯罪奴隷として売られたんだ。
 捕まる前は12年間料理人をしていた。」

 次に話しだした茶色の髪の男性は、苦々しげな表情で目線をそらしながら言った。
 生魚?僕も生魚を売っているし、この国でも売っているよね?なにが駄目なの?

 僕がキョトンとしていると、
「あんた、よその国の人か。」
「おい、口の聞き方に気を付けろ!」
 茶色の髪の男性に店員さんが怒鳴る。

「あ、はい、リシャーラ王国から来ました。
 生魚を提供したら捕まるっていうのは?
 この国でもリシャーラ王国でも、生魚は普通に売っていると思うのですが……。」

「それは加熱する前提で売られているもんだろ。俺が提供したのは、加熱しない魚をそのまま食べるやり方だ。」

 魚を生で……。確かに、そのやり方で食べたことはないかも。だって生ってお腹壊しちゃわない?それは確かに駄目だよね。

「この国じゃ何故か禁止だが、俺はそのほうがうまい魚を知ってるんだ。実際ナムチャベト王国やリーグラ王国では、生で魚を食べるのさ。この国が古過ぎるってだけだ。」

「ナムチャベト王国のような野蛮な国を、レグリオ王国と一緒にするな。あそこはなんだって生で食べるんだからな。リーグラ王国でだって、そこまで生魚は食べないぞ?」

 店員さんがそう言った。そうなんだ?なら食べられる魚もあるってことだよね。だとしたら興味あるなあ。どんな魚なんだろ?

「ちなみにどんな魚があるんですか?」
 僕が質問すると、茶色の髪の男性はキョトンとして僕を見つめた。
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