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第2部
第50話 衝撃の事実③
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「──そこだよ、お前が大前提として間違ってるのは。」
「どういうことだ。」
「お前の嫁さん、家を出てから、今どうしてると思う?」
「さあ……。実家に手紙は送ったが、戻ってきてしまったからな、どこでどうしているのか……。」
「──他の男と結婚したぜ。
3年も前にな。相手は子爵だ。」
「なんだって!?」
「この間参加したトウコツ討伐隊の中に、回復魔法使いがいたろ?そいつがお前の顔を見て思い出したんだ。自分の親戚と結婚した女が、お前の元嫁だってな。
お前と一緒にいるのを何度か見かけたことがあるらしい。帰り道に話してくれたよ。」
ああ、パティオポンゴのボスを治療してくれたあの回復魔法使いの彼か。彼の親戚とあいつが、3年も前に結婚してただって……?
「お前、婚姻証明書を役場に提出してなかっただろ。」
「婚姻証明書?」
「そいつを出さなきゃ、公的には結婚したことにはならねーんだよ。」
つまり内縁の妻扱いだったということか?結婚式はあげたんだがな。
この世界にもそんなものがあったとは。
「俺はお前から結婚したとしか聞かされていなかったから、そのへんのことを全部やってんのかと思ってたんだが、お前がうちを抜ける際に、俺が冒険者ギルドにお前の情報を書いて申請書を出しただろ。」
「ああ、そうだったな。」
「そしたらこの方は既婚者ではありませんって、冒険者ギルドが役場照会の際に言われたって、書類を突っ返されたんだよ。
前にお前がまだ離婚してないって言ってたから、てっきり離婚証明書を提出してないものだと思っていたから驚いたぜ。」
「そうだったのか……。」
「お前は逃げた奥さんを待ってるつもりだったんだろうが、向こうはハナから他の男に乗り換えるつもりで逃げたんだよ。
もう戻ってなんて来ねえぜ。
だいたい、結婚する前に俺らが言っただろうが。酔って一回しただけで子どもが出来たにしちゃ、計算がおかしいって。
なのに女性を疑うもんじゃないって、お前が突っぱねて結婚しちまったんだろうが。」
「だが……。したのは事実だ。」
「めちゃくちゃ飲まされて、したたかに酔ってたんだろ?裸で横に寝てたからって、したかどうかなんて分かるもんか。
だいたいそんなに酔ってたら、普通使いモンにならねえよ。
妊娠して他の男に捨てられたところに、ちょうどよく現れたお前が利用された、ただそれだけの話しだ。」
俺は腕組みをして考え込んだ。
「その女さえいなきゃ、今頃お前とリスタがくっついてたって俺は思うよ。
その後すぐに流産して、今度はちゃんとお前の子どもであるリリアちゃんが出来た。
だから俺も何も言わなかったが、子どもをおいて逃げて、さっさと別の男に乗り換えた女を、妻だと思うのはいい加減やめろ。」
ランウェイは強い目で俺を見た。
「役場に行ってみるよ……。」
「ああ、そうしろ。
俺はな、お前にちゃんと幸せになって欲しいんだ。お前のことを本当に好きで、お前との将来を考えてくれている女と結婚して欲しいんだよ。リリアちゃんだって、まだ母親が恋しい年頃だろ?
少しは周りに目を向けろ。お前が見ようとしてないだけで、お前に興味ある女は、今までだってたくさんいたんだからな。」
そんなことは考えてみたこともなかった。
リスタに告白された時ですら、実感がわかなかった。単純に結婚しているから断ったのだが、あの時のリスタの、衝撃を受けたような表情と、悲しげに揺れた眼差しは今でも忘れられない。
傷つけてしまった、と思った。俺は今まで態度を変えずに接してくれたリスタに、俺も普通に接していたが、本当はどう思っていたのだろう。考えたが分からなかった。
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「どういうことだ。」
「お前の嫁さん、家を出てから、今どうしてると思う?」
「さあ……。実家に手紙は送ったが、戻ってきてしまったからな、どこでどうしているのか……。」
「──他の男と結婚したぜ。
3年も前にな。相手は子爵だ。」
「なんだって!?」
「この間参加したトウコツ討伐隊の中に、回復魔法使いがいたろ?そいつがお前の顔を見て思い出したんだ。自分の親戚と結婚した女が、お前の元嫁だってな。
お前と一緒にいるのを何度か見かけたことがあるらしい。帰り道に話してくれたよ。」
ああ、パティオポンゴのボスを治療してくれたあの回復魔法使いの彼か。彼の親戚とあいつが、3年も前に結婚してただって……?
「お前、婚姻証明書を役場に提出してなかっただろ。」
「婚姻証明書?」
「そいつを出さなきゃ、公的には結婚したことにはならねーんだよ。」
つまり内縁の妻扱いだったということか?結婚式はあげたんだがな。
この世界にもそんなものがあったとは。
「俺はお前から結婚したとしか聞かされていなかったから、そのへんのことを全部やってんのかと思ってたんだが、お前がうちを抜ける際に、俺が冒険者ギルドにお前の情報を書いて申請書を出しただろ。」
「ああ、そうだったな。」
「そしたらこの方は既婚者ではありませんって、冒険者ギルドが役場照会の際に言われたって、書類を突っ返されたんだよ。
前にお前がまだ離婚してないって言ってたから、てっきり離婚証明書を提出してないものだと思っていたから驚いたぜ。」
「そうだったのか……。」
「お前は逃げた奥さんを待ってるつもりだったんだろうが、向こうはハナから他の男に乗り換えるつもりで逃げたんだよ。
もう戻ってなんて来ねえぜ。
だいたい、結婚する前に俺らが言っただろうが。酔って一回しただけで子どもが出来たにしちゃ、計算がおかしいって。
なのに女性を疑うもんじゃないって、お前が突っぱねて結婚しちまったんだろうが。」
「だが……。したのは事実だ。」
「めちゃくちゃ飲まされて、したたかに酔ってたんだろ?裸で横に寝てたからって、したかどうかなんて分かるもんか。
だいたいそんなに酔ってたら、普通使いモンにならねえよ。
妊娠して他の男に捨てられたところに、ちょうどよく現れたお前が利用された、ただそれだけの話しだ。」
俺は腕組みをして考え込んだ。
「その女さえいなきゃ、今頃お前とリスタがくっついてたって俺は思うよ。
その後すぐに流産して、今度はちゃんとお前の子どもであるリリアちゃんが出来た。
だから俺も何も言わなかったが、子どもをおいて逃げて、さっさと別の男に乗り換えた女を、妻だと思うのはいい加減やめろ。」
ランウェイは強い目で俺を見た。
「役場に行ってみるよ……。」
「ああ、そうしろ。
俺はな、お前にちゃんと幸せになって欲しいんだ。お前のことを本当に好きで、お前との将来を考えてくれている女と結婚して欲しいんだよ。リリアちゃんだって、まだ母親が恋しい年頃だろ?
少しは周りに目を向けろ。お前が見ようとしてないだけで、お前に興味ある女は、今までだってたくさんいたんだからな。」
そんなことは考えてみたこともなかった。
リスタに告白された時ですら、実感がわかなかった。単純に結婚しているから断ったのだが、あの時のリスタの、衝撃を受けたような表情と、悲しげに揺れた眼差しは今でも忘れられない。
傷つけてしまった、と思った。俺は今まで態度を変えずに接してくれたリスタに、俺も普通に接していたが、本当はどう思っていたのだろう。考えたが分からなかった。
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