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第2部
第48話 パティオポンゴの特性②
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そう言って、地面に杭をうち、あれよあれよという間に家ができあがっていく。
丸太を削って重ねていくやり方なので、人手さえあれば確かに早い。木は平らではないので、隙間になる部分には藁を挟むことで隙間風を防ぐのだ。
力強く、高いところはお手の物のパティオポンゴが、どんどんと上にのぼって丸太を重ねていくから、本当にあっという間に外観が出来てしまった。
丸太の一部を削ってお手製のドアを付けるのを、パティオポンゴが手伝ってくれている時、レオンさんは本当に嬉しそうだった。
屋根は勾配のある形にするので、木を平たく切り出さなくてはならない。とても力のいる作業だったが、パティオポンゴたちは器用に木を平たく切り出し、カンナのような道具で真っ直ぐにした。
「コイツが一番うまいんだ。」
レオンさんは、まるで相棒のように、1体のパティオポンゴの肩を組む。
屋根を作ると、中に入って、同じように平たくした板を使って、床や、パティオポンゴたちの寝床を壁際の空中に作っていく。
「洞窟の冷たい地面に寝るよか、このほうがずっといいだろう?
木は冬は暖かくて夏は涼しいからな。」
レオンさんいわく、まだ完成ではないとのことだったが、とりあえず雨風がしのげる家の状態が完成してしまった。
「今でももう、寝れるっちゃ寝れるが、どうする?もう引っ越してくるかい?」
レオンさんがそう、パティオポンゴのボスに尋ねる。
寝床になる木の板に、遊べる用の太い木の枝や丸太が渡してあって、今でもじゅうぶん快適そうだ。パティオポンゴのボスがまず中に入ると、他のパティオポンゴたちを手招きする。パティオポンゴたちは嬉しそうに木で遊んだり、横になったりした。
「完成したらもっと凄いぞ?」
レオンさんはそう言って笑った。
「それじゃ俺たちは今日はそろそろ戻ります。冒険者ギルドに討伐隊の状況も確認しないといけませんので。
また、明日参ります。」
「ああ、分かりました。本当にありがとうございました。」
マイルズ村長以下、村人たちが頭を下げてくれる。新しく出来た家の屋根に上がったパティオポンゴたちも、屋根の上から手を振ってくれた。
俺とリスタは冒険者ギルドに立ち寄ると、中で待っていたリッチと合流した。
「おお、アスガルド、よく来てくれた。新種が出たんだってな、それも凶暴な。
明日討伐隊が向かう手はずになっている。
役場が必要と即決してくれたよ。」
ギルド長が奥から出てきて、心配そうに声をかけてくれる。
「ありがとうございます。パティオポンゴたちは村人たちと共生することになりましたので、明日また村に行く予定です。」
「そうか、何か必要なことがあったら、討伐隊を手助けしてやってくれ。」
「分かりました。」
冒険者ギルドを出たところで、俺はリスタに尋ねた。
「お前、今日泊まる宿はどうするんだ?」
「明日も行くと思っていなかったから、まだ決めてないわ。これから探さないと。
いいところがあれば紹介してくれる?」
「ならうちに来るか?」
「えっ!!!!!?」
「部屋は余ってるからな。明日どうせ一緒に行くんだ、その方が早いだろう。」
「そ、そそそ、そうね、そうさせて貰おうかしら。」
「何か必要なものがあれば、買って帰るか?女性は色々と入用だと聞くからな。」
「そ、そうね……。そうさせて貰おうかしら。どこかこの近くにいいお店はある?」
「なんでも揃う店なら、王宮の近くに知り合いの店があるぞ。」
俺はリスタをニマンドの店に案内したが、
「ええと……これは、道具屋よね?」
「服もあるぞ?化粧品とかもな。」
「化粧品は携帯用があるから、出来たら婦人服専門店がいいのだけれど……。」
「そうか。ならこっちだ。」
俺は昔妻と行った婦人服専門店へとやって来た。リスタが店員といろいろ話をしているのを、俺は店の中で待っていた。
店員と何を話しているのか、リスタは店員に話しかけられて真っ赤になっていた。女同士の会話はよく分からんな。結婚当初の妻も思えばあんな感じだったなと思いだす。
「──終わったのか?」
「え、ええ……行きましょうか……。」
帰る道すがら、リスタはずっと頬を染めて俯いたままだった。
村長に預けていたリリアを迎えにいき、3人で食事をとった。リリアはリスタがいることが嬉しそうだった。
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丸太を削って重ねていくやり方なので、人手さえあれば確かに早い。木は平らではないので、隙間になる部分には藁を挟むことで隙間風を防ぐのだ。
力強く、高いところはお手の物のパティオポンゴが、どんどんと上にのぼって丸太を重ねていくから、本当にあっという間に外観が出来てしまった。
丸太の一部を削ってお手製のドアを付けるのを、パティオポンゴが手伝ってくれている時、レオンさんは本当に嬉しそうだった。
屋根は勾配のある形にするので、木を平たく切り出さなくてはならない。とても力のいる作業だったが、パティオポンゴたちは器用に木を平たく切り出し、カンナのような道具で真っ直ぐにした。
「コイツが一番うまいんだ。」
レオンさんは、まるで相棒のように、1体のパティオポンゴの肩を組む。
屋根を作ると、中に入って、同じように平たくした板を使って、床や、パティオポンゴたちの寝床を壁際の空中に作っていく。
「洞窟の冷たい地面に寝るよか、このほうがずっといいだろう?
木は冬は暖かくて夏は涼しいからな。」
レオンさんいわく、まだ完成ではないとのことだったが、とりあえず雨風がしのげる家の状態が完成してしまった。
「今でももう、寝れるっちゃ寝れるが、どうする?もう引っ越してくるかい?」
レオンさんがそう、パティオポンゴのボスに尋ねる。
寝床になる木の板に、遊べる用の太い木の枝や丸太が渡してあって、今でもじゅうぶん快適そうだ。パティオポンゴのボスがまず中に入ると、他のパティオポンゴたちを手招きする。パティオポンゴたちは嬉しそうに木で遊んだり、横になったりした。
「完成したらもっと凄いぞ?」
レオンさんはそう言って笑った。
「それじゃ俺たちは今日はそろそろ戻ります。冒険者ギルドに討伐隊の状況も確認しないといけませんので。
また、明日参ります。」
「ああ、分かりました。本当にありがとうございました。」
マイルズ村長以下、村人たちが頭を下げてくれる。新しく出来た家の屋根に上がったパティオポンゴたちも、屋根の上から手を振ってくれた。
俺とリスタは冒険者ギルドに立ち寄ると、中で待っていたリッチと合流した。
「おお、アスガルド、よく来てくれた。新種が出たんだってな、それも凶暴な。
明日討伐隊が向かう手はずになっている。
役場が必要と即決してくれたよ。」
ギルド長が奥から出てきて、心配そうに声をかけてくれる。
「ありがとうございます。パティオポンゴたちは村人たちと共生することになりましたので、明日また村に行く予定です。」
「そうか、何か必要なことがあったら、討伐隊を手助けしてやってくれ。」
「分かりました。」
冒険者ギルドを出たところで、俺はリスタに尋ねた。
「お前、今日泊まる宿はどうするんだ?」
「明日も行くと思っていなかったから、まだ決めてないわ。これから探さないと。
いいところがあれば紹介してくれる?」
「ならうちに来るか?」
「えっ!!!!!?」
「部屋は余ってるからな。明日どうせ一緒に行くんだ、その方が早いだろう。」
「そ、そそそ、そうね、そうさせて貰おうかしら。」
「何か必要なものがあれば、買って帰るか?女性は色々と入用だと聞くからな。」
「そ、そうね……。そうさせて貰おうかしら。どこかこの近くにいいお店はある?」
「なんでも揃う店なら、王宮の近くに知り合いの店があるぞ。」
俺はリスタをニマンドの店に案内したが、
「ええと……これは、道具屋よね?」
「服もあるぞ?化粧品とかもな。」
「化粧品は携帯用があるから、出来たら婦人服専門店がいいのだけれど……。」
「そうか。ならこっちだ。」
俺は昔妻と行った婦人服専門店へとやって来た。リスタが店員といろいろ話をしているのを、俺は店の中で待っていた。
店員と何を話しているのか、リスタは店員に話しかけられて真っ赤になっていた。女同士の会話はよく分からんな。結婚当初の妻も思えばあんな感じだったなと思いだす。
「──終わったのか?」
「え、ええ……行きましょうか……。」
帰る道すがら、リスタはずっと頬を染めて俯いたままだった。
村長に預けていたリリアを迎えにいき、3人で食事をとった。リリアはリスタがいることが嬉しそうだった。
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