まもののおいしゃさん

陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中

文字の大きさ
上 下
95 / 134
第2部

第48話 パティオポンゴの特性②

しおりを挟む
 そう言って、地面に杭をうち、あれよあれよという間に家ができあがっていく。
 丸太を削って重ねていくやり方なので、人手さえあれば確かに早い。木は平らではないので、隙間になる部分には藁を挟むことで隙間風を防ぐのだ。

 力強く、高いところはお手の物のパティオポンゴが、どんどんと上にのぼって丸太を重ねていくから、本当にあっという間に外観が出来てしまった。
 丸太の一部を削ってお手製のドアを付けるのを、パティオポンゴが手伝ってくれている時、レオンさんは本当に嬉しそうだった。

 屋根は勾配のある形にするので、木を平たく切り出さなくてはならない。とても力のいる作業だったが、パティオポンゴたちは器用に木を平たく切り出し、カンナのような道具で真っ直ぐにした。
「コイツが一番うまいんだ。」
 レオンさんは、まるで相棒のように、1体のパティオポンゴの肩を組む。

 屋根を作ると、中に入って、同じように平たくした板を使って、床や、パティオポンゴたちの寝床を壁際の空中に作っていく。
「洞窟の冷たい地面に寝るよか、このほうがずっといいだろう?
 木は冬は暖かくて夏は涼しいからな。」

 レオンさんいわく、まだ完成ではないとのことだったが、とりあえず雨風がしのげる家の状態が完成してしまった。
「今でももう、寝れるっちゃ寝れるが、どうする?もう引っ越してくるかい?」
 レオンさんがそう、パティオポンゴのボスに尋ねる。

 寝床になる木の板に、遊べる用の太い木の枝や丸太が渡してあって、今でもじゅうぶん快適そうだ。パティオポンゴのボスがまず中に入ると、他のパティオポンゴたちを手招きする。パティオポンゴたちは嬉しそうに木で遊んだり、横になったりした。

「完成したらもっと凄いぞ?」
 レオンさんはそう言って笑った。
「それじゃ俺たちは今日はそろそろ戻ります。冒険者ギルドに討伐隊の状況も確認しないといけませんので。
 また、明日参ります。」

「ああ、分かりました。本当にありがとうございました。」
 マイルズ村長以下、村人たちが頭を下げてくれる。新しく出来た家の屋根に上がったパティオポンゴたちも、屋根の上から手を振ってくれた。

 俺とリスタは冒険者ギルドに立ち寄ると、中で待っていたリッチと合流した。
「おお、アスガルド、よく来てくれた。新種が出たんだってな、それも凶暴な。
 明日討伐隊が向かう手はずになっている。
 役場が必要と即決してくれたよ。」
 ギルド長が奥から出てきて、心配そうに声をかけてくれる。

「ありがとうございます。パティオポンゴたちは村人たちと共生することになりましたので、明日また村に行く予定です。」
「そうか、何か必要なことがあったら、討伐隊を手助けしてやってくれ。」
「分かりました。」

 冒険者ギルドを出たところで、俺はリスタに尋ねた。
「お前、今日泊まる宿はどうするんだ?」
「明日も行くと思っていなかったから、まだ決めてないわ。これから探さないと。
いいところがあれば紹介してくれる?」

「ならうちに来るか?」
「えっ!!!!!?」
「部屋は余ってるからな。明日どうせ一緒に行くんだ、その方が早いだろう。」
「そ、そそそ、そうね、そうさせて貰おうかしら。」

「何か必要なものがあれば、買って帰るか?女性は色々と入用だと聞くからな。」
「そ、そうね……。そうさせて貰おうかしら。どこかこの近くにいいお店はある?」
「なんでも揃う店なら、王宮の近くに知り合いの店があるぞ。」

 俺はリスタをニマンドの店に案内したが、
「ええと……これは、道具屋よね?」
「服もあるぞ?化粧品とかもな。」
「化粧品は携帯用があるから、出来たら婦人服専門店がいいのだけれど……。」
「そうか。ならこっちだ。」

 俺は昔妻と行った婦人服専門店へとやって来た。リスタが店員といろいろ話をしているのを、俺は店の中で待っていた。
 店員と何を話しているのか、リスタは店員に話しかけられて真っ赤になっていた。女同士の会話はよく分からんな。結婚当初の妻も思えばあんな感じだったなと思いだす。

「──終わったのか?」
「え、ええ……行きましょうか……。」
 帰る道すがら、リスタはずっと頬を染めて俯いたままだった。
 村長に預けていたリリアを迎えにいき、3人で食事をとった。リリアはリスタがいることが嬉しそうだった。

────────────────────

少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。 僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。 僕の夢……どこいった?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

異世界転生騒動記

高見 梁川
ファンタジー
とある貴族の少年は前世の記憶を取り戻した。 しかしその前世はひとつだけではなく、もうひとつ存在した。 3つの記憶を持つ少年がファンタジー世界に変革をもたらすとき、風変わりな一人の英雄は現れる!

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

処理中です...