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第2部
第47話 パティオポンゴと暮らす方法③
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「ええ。安全に配慮して見守っておくわ。」
「リスタもSランクの冒険者です。彼女にこの場を任せて、俺はメスに仕事を教えに行きますので。」
「メスに仕事を?」
マイルズ村長が首を傾げる。
「はい、介護の仕事を教えます。
では、木の方はよろしくお願いします。」
俺は村に戻った。メスと子どもたちと年老いたパティオポンゴがその場に残っていた。
家族に村の決定を伝えに行っていた村人たちも、ちょうど戻って来た。
「彼らに普段している介護の仕方を説明して貰えませんか?出来れば、はじめは一番やさしい方のところに行きたいのです。
みなさんが世話を受け入れるのに時間がかかると思いますから、パティオポンゴを怖がらせてはいけないので……。」
「なら、マリーナさんだな。」
「ああ。動物が大好きだしな。」
「なら、一緒に俺の家に来てくれ。マリーナは俺の妻だ。俺はマシューだ。」
「マシューさん、よろしくお願いします。
全員で入るのは難しいから、うーん、代表して5体くらいかな、ボスの妻よ、誰か選んでくれないか?」
ボスの妻が、4体のメスのパティオポンゴの肩に手を置いた。残りの1人は自分ということだろう。
「よし、マシューさんの家に行こう。」
マシューさんについて、ぞろぞろと家に向かうと、興味があるのか何人かの村人たちもついてきた。
マシューさんの妻、マリーナさんは、総白髪に優しい微笑みをたたえた御婦人だった。
一番いい部屋をあてがわれているのか、部屋はとても広く、俺とマシューさん、パティオポンゴのメスたちが、ベッドの周りに立って、村人たちが入り口から覗いている。
「あなた方が、新しい村の仲間なのね?
よろしくね。私はマリーナよ。」
マリーナさんは、パティオポンゴ1体1体の目を見て微笑んだ。
魔物相手というのに、まったく臆したところがない。動物が大好きなんだろうな。
「普段どのようにしているのか、見せていただけますか?」
「ああ。妻は自力で起き上がれないから、トイレや着替えや食事は、すべて俺の手伝いがないと出来ないんだ。まずはトイレから見せよう。構わないか?マリーナ。
これから彼らが、俺の代わりに手伝ってくれるというんだ。」
「まあ、そうなのね?ええ、少し恥ずかしいけれど、構わないわ。」
マシューさんが体を支えてマリーナさんの体をおこし、横抱きに抱えて部屋の外に出てゆく。パティオポンゴたちも、ぞろぞろとそのあとに続いた。
「ここがトイレだ。」
マシューさんが片手でマリーナさんをささえながら、下着を脱がし始めたので、俺も村人たちも背を向けた。
「これで尻を拭いてやって、下着を履かせたら、ベッドに戻してやっておしまいだ。」
そう言って、再び部屋に戻ると、マリーナさんをベッドに寝かせる。
ボスの妻が一歩前に出た。
「やってみたいのか?」
「まあ、じゃあ、お願い出来るかしら?」
マリーナさんがボスの妻に笑顔を向ける。
ボスの妻はそっとマリーナさんを抱きおこすと、マシューさんと同じように、マリーナさんを横抱きに抱えた。
「まあまあまあ、凄いのね!」
マリーナさんが驚きながらも微笑む。
メスといっても大人のパティオポンゴだ。人間の男性よりは力が強い。
ボスの妻はそっと部屋を出ると、マシューさんがやったのと同じように、マリーナさんを支えながら下着を脱がした。
俺たちは再び背を向ける。
「もうこちらを向いても大丈夫ですよ?」
そう言われて振り返ると、ボスの妻に抱えられたマリーナさんがいた。
「どうでしたか?」
「凄いわ、一度見ただけなのに完璧で。
それにとても優しい手だったわ。」
「それは良かったです。では、着替えと食事の介護も見せて貰いましょうか。」
着替えは別のパティオポンゴがやらせて貰うことにしたようだ。俺たちが部屋を出ている間、マシューさんとマリーナさんの関心した声が部屋の中から聞こえてきた。
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「リスタもSランクの冒険者です。彼女にこの場を任せて、俺はメスに仕事を教えに行きますので。」
「メスに仕事を?」
マイルズ村長が首を傾げる。
「はい、介護の仕事を教えます。
では、木の方はよろしくお願いします。」
俺は村に戻った。メスと子どもたちと年老いたパティオポンゴがその場に残っていた。
家族に村の決定を伝えに行っていた村人たちも、ちょうど戻って来た。
「彼らに普段している介護の仕方を説明して貰えませんか?出来れば、はじめは一番やさしい方のところに行きたいのです。
みなさんが世話を受け入れるのに時間がかかると思いますから、パティオポンゴを怖がらせてはいけないので……。」
「なら、マリーナさんだな。」
「ああ。動物が大好きだしな。」
「なら、一緒に俺の家に来てくれ。マリーナは俺の妻だ。俺はマシューだ。」
「マシューさん、よろしくお願いします。
全員で入るのは難しいから、うーん、代表して5体くらいかな、ボスの妻よ、誰か選んでくれないか?」
ボスの妻が、4体のメスのパティオポンゴの肩に手を置いた。残りの1人は自分ということだろう。
「よし、マシューさんの家に行こう。」
マシューさんについて、ぞろぞろと家に向かうと、興味があるのか何人かの村人たちもついてきた。
マシューさんの妻、マリーナさんは、総白髪に優しい微笑みをたたえた御婦人だった。
一番いい部屋をあてがわれているのか、部屋はとても広く、俺とマシューさん、パティオポンゴのメスたちが、ベッドの周りに立って、村人たちが入り口から覗いている。
「あなた方が、新しい村の仲間なのね?
よろしくね。私はマリーナよ。」
マリーナさんは、パティオポンゴ1体1体の目を見て微笑んだ。
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「普段どのようにしているのか、見せていただけますか?」
「ああ。妻は自力で起き上がれないから、トイレや着替えや食事は、すべて俺の手伝いがないと出来ないんだ。まずはトイレから見せよう。構わないか?マリーナ。
これから彼らが、俺の代わりに手伝ってくれるというんだ。」
「まあ、そうなのね?ええ、少し恥ずかしいけれど、構わないわ。」
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「ここがトイレだ。」
マシューさんが片手でマリーナさんをささえながら、下着を脱がし始めたので、俺も村人たちも背を向けた。
「これで尻を拭いてやって、下着を履かせたら、ベッドに戻してやっておしまいだ。」
そう言って、再び部屋に戻ると、マリーナさんをベッドに寝かせる。
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「やってみたいのか?」
「まあ、じゃあ、お願い出来るかしら?」
マリーナさんがボスの妻に笑顔を向ける。
ボスの妻はそっとマリーナさんを抱きおこすと、マシューさんと同じように、マリーナさんを横抱きに抱えた。
「まあまあまあ、凄いのね!」
マリーナさんが驚きながらも微笑む。
メスといっても大人のパティオポンゴだ。人間の男性よりは力が強い。
ボスの妻はそっと部屋を出ると、マシューさんがやったのと同じように、マリーナさんを支えながら下着を脱がした。
俺たちは再び背を向ける。
「もうこちらを向いても大丈夫ですよ?」
そう言われて振り返ると、ボスの妻に抱えられたマリーナさんがいた。
「どうでしたか?」
「凄いわ、一度見ただけなのに完璧で。
それにとても優しい手だったわ。」
「それは良かったです。では、着替えと食事の介護も見せて貰いましょうか。」
着替えは別のパティオポンゴがやらせて貰うことにしたようだ。俺たちが部屋を出ている間、マシューさんとマリーナさんの関心した声が部屋の中から聞こえてきた。
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