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第2部
第47話 パティオポンゴと暮らす方法②
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村人たちは、互いに意見を交わし合っていた。マイルズ村長が村人たちに振り返る。
「──どうだろう、冒険者ギルドは共生活用出来るとして、アスガルドさんをよこしてくれた。つまり、冒険者ギルドから見てもパティオポンゴは安全なんだ。
一緒に暮らしてみてもいいと思ってる。みんなはどうだ?賛成なら手を上げてくれ。」
村人たちは互いに顔を見合わせたあと、1人、また1人と、ゆっくりとその手を上げていく。そして全員が手を上げた。
「よし、決まりだ。家に残ってる人間には、それぞれが説明をしてくれ。
アスガルドさん、スパッサ村はパティオポンゴを受け入れることにしました。」
「ありがとうございます!さっそくボスに説明してきます。彼らが来たらよろしくお願いします!」
俺とリスタは山に取って返した。
パティオポンゴたちは、最初に出会った木の上にいた。俺の姿を見つけて、ボスが木の上から降りてくる。
「ボスよ、人間の村が、お前たちと一緒に暮らしてもいいと言ってくれた。
人間の村に、安全なすみかを作ろう。
そして彼らを仲間として、一緒に暮らさないか?食物の作り方を教わって、それを作れば、冬も安全に越すことが出来る。」
パティオポンゴのボスは、じっと俺を見つめていた。そしてサッと手を上げると、木の上からパティオポンゴたちが降りてきて、ボスの後ろに並んだ。
「ついてきてくれるか!ありがとう!
一緒に頑張ろうな!」
俺とリスタのあとについて、パティオポンゴたちが山を下る。村人たちは家族に伝えにいったものを除いて、まだ大勢広場に集まっていた。
ぞろぞろとやって来たパティオポンゴの群れを見て、さすがに体を固くしている。
パティオポンゴのボスが一歩前に出る。
「マイルズ村長さん、彼がボスです。
いらしていただけませんか?」
「あ、はい。」
マイルズ村長が恐れながら、ボスの前に立った。かなり緊張しているようだ。
ボスはマイルズ村長の目を見つめながら、手のひらを差し出して、手のひらを上に向けてくれた。
「仲間になろう、という、パティオポンゴのボディーランゲージです。マイルズ村長さんも、同じようにして下さい。
「は、はい!」
マイルズ村長もパティオポンゴのボスの目を見つめながら、手のひらを差し出して、手のひらを上に向けた。
ボスの後ろでパティオポンゴたちが、ピョンピョンとはねたり手を叩き始めた。
村人たちがビクッとする。
「あれは……?」
「仲間が大勢増えたことを喜んでいるのですよ。群れのボス同士がこれをすると、群れ全体が仲間に──家族になる、ということですので。
新しい家族を歓迎しているのですよ。」
「そうなんですね……。」
村人たちの表情が柔らかくなる。
「それでは、暗くなる前に、少しでもパティオポンゴの家を作りましょう!
山は安全ではないので、あちらの林の木を切り出しても構いませんか?」
「ええ、もちろんです。」
「それと、斧を貸していただけますか?
あと、手伝ってくださる方を何人か。」
「全員で手伝いますよ、早い方がいいのでしょう?パティオポンゴの安全の為にも。」
「──はい!」
村人たちの気遣いに俺は思わず微笑んだ。
「ボスよ、力の強いオスに手伝って欲しいんだ、ついてきてくれるか?」
ボスが手を上げると、若いオスたちがボスの後ろについた。俺とリスタは村人たちとパティオポンゴとともに、林に移動した。
林についたら、村人から借りた斧を、パティオポンゴのオスたちに手渡す。
「このくらいの太さの木を、──こうやっって、この斧を使って、このあたりに斜めに切れ込みを入れるんだ。すると、」
俺は力を入れて木を切れ込みと反対側に押した。
「木が倒れる。これを何本も集めて、組むことで家を作るんだ。」
さっそくパティオポンゴのオスたちが真似をしだす。
「反対側に誰もいないことを確認して木を倒すんだぞ?誰かが下敷きになったら危ないからな。」
パティオポンゴのオスたちは、次々に真似をして木を切り倒していく。
「凄い……。あんなに太い木を次々と。」
「人間より力が強いですからね。」
「それよりも、言われたとおりにすぐにやれるのが凄いです。人間でも、覚えの悪いものなら、コツを掴むのが難しいのに。」
「頭もいいですからね、パティオポンゴは。リスタ、ここを任せていいか?」
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「──どうだろう、冒険者ギルドは共生活用出来るとして、アスガルドさんをよこしてくれた。つまり、冒険者ギルドから見てもパティオポンゴは安全なんだ。
一緒に暮らしてみてもいいと思ってる。みんなはどうだ?賛成なら手を上げてくれ。」
村人たちは互いに顔を見合わせたあと、1人、また1人と、ゆっくりとその手を上げていく。そして全員が手を上げた。
「よし、決まりだ。家に残ってる人間には、それぞれが説明をしてくれ。
アスガルドさん、スパッサ村はパティオポンゴを受け入れることにしました。」
「ありがとうございます!さっそくボスに説明してきます。彼らが来たらよろしくお願いします!」
俺とリスタは山に取って返した。
パティオポンゴたちは、最初に出会った木の上にいた。俺の姿を見つけて、ボスが木の上から降りてくる。
「ボスよ、人間の村が、お前たちと一緒に暮らしてもいいと言ってくれた。
人間の村に、安全なすみかを作ろう。
そして彼らを仲間として、一緒に暮らさないか?食物の作り方を教わって、それを作れば、冬も安全に越すことが出来る。」
パティオポンゴのボスは、じっと俺を見つめていた。そしてサッと手を上げると、木の上からパティオポンゴたちが降りてきて、ボスの後ろに並んだ。
「ついてきてくれるか!ありがとう!
一緒に頑張ろうな!」
俺とリスタのあとについて、パティオポンゴたちが山を下る。村人たちは家族に伝えにいったものを除いて、まだ大勢広場に集まっていた。
ぞろぞろとやって来たパティオポンゴの群れを見て、さすがに体を固くしている。
パティオポンゴのボスが一歩前に出る。
「マイルズ村長さん、彼がボスです。
いらしていただけませんか?」
「あ、はい。」
マイルズ村長が恐れながら、ボスの前に立った。かなり緊張しているようだ。
ボスはマイルズ村長の目を見つめながら、手のひらを差し出して、手のひらを上に向けてくれた。
「仲間になろう、という、パティオポンゴのボディーランゲージです。マイルズ村長さんも、同じようにして下さい。
「は、はい!」
マイルズ村長もパティオポンゴのボスの目を見つめながら、手のひらを差し出して、手のひらを上に向けた。
ボスの後ろでパティオポンゴたちが、ピョンピョンとはねたり手を叩き始めた。
村人たちがビクッとする。
「あれは……?」
「仲間が大勢増えたことを喜んでいるのですよ。群れのボス同士がこれをすると、群れ全体が仲間に──家族になる、ということですので。
新しい家族を歓迎しているのですよ。」
「そうなんですね……。」
村人たちの表情が柔らかくなる。
「それでは、暗くなる前に、少しでもパティオポンゴの家を作りましょう!
山は安全ではないので、あちらの林の木を切り出しても構いませんか?」
「ええ、もちろんです。」
「それと、斧を貸していただけますか?
あと、手伝ってくださる方を何人か。」
「全員で手伝いますよ、早い方がいいのでしょう?パティオポンゴの安全の為にも。」
「──はい!」
村人たちの気遣いに俺は思わず微笑んだ。
「ボスよ、力の強いオスに手伝って欲しいんだ、ついてきてくれるか?」
ボスが手を上げると、若いオスたちがボスの後ろについた。俺とリスタは村人たちとパティオポンゴとともに、林に移動した。
林についたら、村人から借りた斧を、パティオポンゴのオスたちに手渡す。
「このくらいの太さの木を、──こうやっって、この斧を使って、このあたりに斜めに切れ込みを入れるんだ。すると、」
俺は力を入れて木を切れ込みと反対側に押した。
「木が倒れる。これを何本も集めて、組むことで家を作るんだ。」
さっそくパティオポンゴのオスたちが真似をしだす。
「反対側に誰もいないことを確認して木を倒すんだぞ?誰かが下敷きになったら危ないからな。」
パティオポンゴのオスたちは、次々に真似をして木を切り倒していく。
「凄い……。あんなに太い木を次々と。」
「人間より力が強いですからね。」
「それよりも、言われたとおりにすぐにやれるのが凄いです。人間でも、覚えの悪いものなら、コツを掴むのが難しいのに。」
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