まもののおいしゃさん

陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中

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第1部

第10話 サウナリゾートの楽しみ方②

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 サウナから上がった3人に、こちらで用意した簡易着に着替えて貰い、食堂に移動して貰う。
 ベルエンテール公爵には、まずは冷たい水を飲んで貰い、次に売り物にしている料理を出した。
「わあ……!」
「これは……なんという料理だろうか?」
「さあ食べてくれ、ルーフェン村名物、
 ──スイートビーの蜂蜜カルボナーラ、ラヴァロックの温泉卵乗せだ。」

 カルボナーラは日本だと、レストランかレトルトパックでしか食べない人も多いかも知れないが、実は非常に簡単なズボラ飯と言ってもいいものである。
 まずは大きな鍋で湯を沸かし、下味をつけたい分だけ塩を入れる。パスタを麺に合わせた時間に茹でる。
 パスタが茹で上がるまでの時間で、ベーコンを小さく、大体5ミリくらいの四角に切る。適当で構わない。にんにくをほんの少しの量みじん切りにする。

 オリーブオイルでベーコンをフライパンで炒め、脂身部分が透明になったところでにんにくを加えて炒める。この時にんにくはカリカリにする。
 一人前のパスタを100グラムとした時に、ベーコンの重さの2倍程度の粉チーズ、卵を1つ、蜂蜜を小さじ1程度、炒めたベーコンとにんにくを、混ざらないように並べてボウルに入れる。
 そしてパスタが茹で上がったら、ザルに上げて水気を切り、ボウルの中の、チーズ、ベーコン、にんにく、卵、蜂蜜の上に被せ、10秒ほど蒸したら全体をよく混ぜる。最後にオリーブオイルを少々と黒胡椒をかけたら出来上がりだ。

 卵1個ではなく卵黄のみを使う場合は2つ入れる。
 牛乳や生クリームを入れるレシピが日本では流行っているが、本来の作り方だと必要のないものだ。
 これだけで充分こってりとしてコクのあるカルボナーラが出来上がる。
 蜂蜜はなくても問題はない。
 単にスイートビーの蜂蜜の人気にあやかって、深みを増すためにほんの少し入れているだけだ。
 そこにラヴァロックに乗せた鍋で作った温泉卵を割り乗せる。
 あくまでも温泉卵風、なので、ラヴァロックが温めた湯が温泉になる訳ではないが。

 ちなみに卵は冷蔵庫に入れている人なら、一度常温に戻しておくのが良い。俺たちは冷蔵庫なんてものはないから、朝収穫した時のままだ。
 日の当たらないところに置いておけば、実は常温でも卵は結構保つ。夏でも産卵直後から2週間程度いける。
 スーパーなんかで常温のまま並べてあるのは、むしろ常温のほうが卵にとっていいからだ。
 卵には、実は気功といって、呼吸をする為の小さな穴がいくつも空いている。温度差が激しいと、結露などが卵の表面について、むしろ雑菌が気功を通じて中に入りこんで傷んでしまう。
 少しでも、この温度差や気温差を無くす為、あえて常温で売られているのだ。

「これは……。卵に火が通っていないと思いきや、中はきっちり半熟だ。」
「白身は黄身よりも火が通っていないというのに、驚きです。」
「美味しい!初めて食べます!」
 皆はカルボナーラの美味しさももちろんだが、初めて見る温泉卵にただただ驚いていた、
 自宅で簡単に作れるものだが、初めて見て、食べた時は俺も驚きと感動を味わったものだ。
 保存のきく乾麺はむしろ買うと高いので、村で取れた小麦を使った生パスタ、採れたての新鮮な卵、そこにスイートビーの蜂蜜を使っているのだ、美味くない訳がない。

 大満足で帰って行ったベルエンテール公爵たちの口コミにより、今まで訪れなかった貴族たちまでもがサウナに訪れるようになり、ルーフェン村の名は一躍人気のレジャースポットとして広まって行った。
 村の財政も潤い、すべては順風満帆に見えた。だがこの事がきっかけで、俺たちはとんでもないトラブルに巻き込まれてしまうのだった。

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