旦那様は魔法使い 短編集

なかゆんきなこ

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舞台裏の猫達

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本編の『お留守番の日 後編』にて、寝室の扉の前にサフィールの夕食が用意されていました。あれを用意した時の、猫達のお話です。

********************************************

「「「「「「「わあー!!!!!!」」」」」」」
 空腹の使い魔猫達の目の前には、たくさんのごちそう。
 人気のない厨房で、自分達のために用意されているらしい料理の数々を前に、使い魔猫達はそれまでの疲れが一気に吹き飛ぶような気がした。
「んぐんぐ。お、おいしいにゃー!!」
 と、口いっぱいにチキンナゲットを頬張って言うのはブチ猫キース。
 自分達の帰りを待っていてくれたのだろう奥方様が作ってくれた料理は、冷めていてもとても美味しい。
 それまでの空腹もあって、猫達は夢中でその料理にかぶりついた。
「あれ? 御主人様は?」
 ふと、縞猫アクアはその場に主人であるサフィールがいないことに気付いた。
 御主人様もおなか減ってるはずなのに…と。
「馬鹿。奥方様のところに決まってるだろ?」
 とクールに言い捨てるのは灰色猫ライト。
 黒猫のカルや三毛猫のセラフィも、うんうんとうなずいている。
「御主人様がいっちばんに会いたいのは、奥方様だもんにゃ」
 茶色猫ネリーはにぱっと笑う。
「詮索するだけ野暮ってもんにゃ」
 白猫ジェダは上品にローストビーフを切り分けながら、したり顔。
 御主人様が奥方様の居る寝室へ向かった。
 そうなったら、後の展開は…。
「でも、御主人様もお腹すいてるはずにゃあ」
 縞猫アクアは、自分達と同じく夕食もとらずに家路を急いだ主人を想う。
 ご飯はしっかり食べること。これは奥方であるアニエスの教えだ。
「確かに。じゃあ御主人様の分も用意して、寝室の扉の前に置いておこう」
 三毛猫セラフィの言葉に、猫達は「「「「「「にゃー」」」」」」と頷く。
 そして、

「ただし。ぜったいに御主人様の邪魔はしないこと、にゃ」

 黒猫カルの言葉に、これまた「「「「「「「にゃー」」」」」」と頷いた。


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