旦那様は魔法使い 短編集

なかゆんきなこ

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美味しいシロウオ料理

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こちらはWEB拍手にて公開しておりましたお話です。
 本編『綺麗なお姉さんは好きですか?』の続きのお話。
 短いです。
********************************************


 漁師達にわけてもらった新鮮なシロウオをたっぷりと抱えて、アニエスとブチ猫キースは家に戻った。
 そしていつもの朝の仕事の傍ら、アニエスは朝食作りに取り掛かる。
 厨房のテーブルには、たっぷりのシロウオ。
 あまり日持ちのする魚ではないから、新鮮で味の良いうちに食べたいところだ。
「腕が鳴るわ…」
 それにこれだけの量なら、自分達で食べるだけではなくお店の商品にも使えるかもしれない。
 アニエスはあれこれとレシピを思い巡らせながら、調理に取り掛かった。

 新鮮なシロウオは、もちろんこのまま生で食べても十分美味しい。
 素材そのものの味を楽しむべく、それぞれの小皿にシロウオを盛り分けて、アニエスとサフィールの皿にだけ軽くレモンを絞り入れた。(猫達は柑橘類が苦手なのである)一品目は、これで完成。
 次は…と彼女が焼き立ての食パンに手を伸ばした所で、ひょいっと後ろからシロウオに伸びる褐色の手。
「あっ!」
「ん。美味い…」
 行儀悪くシロウオを盗み食いするのは、夫のサフィール。
 彼はまたひょいとシロウオを一掴みして口に運ぶと、にっと唇を笑ませる。
「もう! 盗み食いは駄目よ!!」
 アニエスにぺちん、と軽く手を叩かれて、サフィールは手を引っ込めた。
「ごめんごめん。待ち切れなくて。朝食、楽しみにしてる」
 サフィールはそう言って、アニエスの頬にキスをすると、厨房を後にした。
 いつもはアニエスに起こされないと目を覚まさないのに、よほど楽しみだったのか…。
 アニエスはやれやれと肩を竦め、再び調理に取り掛かった。


 その日、アウトーリ家の食卓に並んだ朝食は生のシロウオにシロウオのトースト。(スライスした食パンにたっぷりのシロウオをのせ、オリーブオイルとチーズ、ブラックペッパーをかけて焼いたもの)それにシロウオとサーモンのマリネに、ふわふわの卵とシロウオのスープ。
 シロウオ尽くしの食卓に、サフィールや使い魔猫達はいつも以上の食欲を見せた。
 アニエスも、カリカリのシロウオトーストを一口齧ってにっこり。
 うん、美味しい!!

 ちなみにシロウオトーストは、数量限定でアニエスの店に並んだ。
 それはあっという間に売り切れる、大盛況ぶり。
 今度改めて、漁師達にお礼に行こう。
 アニエスはそう思いながら、お昼はシロウオを使って美味しいパスタを作ろうと心に決めた。



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