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クリスマス・イブ
しおりを挟むそして迎えた、クリスマス・イブ当日。
この日はサフィールの店もアニエスの店も休みで、夫婦は久しぶりに揃って、街へ買い物に出かけた。
お互いへのクリスマスプレゼント。そして、使い魔猫達へのクリスマスプレゼントを買うために。
「夕飯は、みんなが作ってくれるんですって。楽しみね、サフィール」
サフィールと手を繋いで歩くアニエスが、にっこりと笑顔で夫に話しかける。
「うん」
「たまには二人っきりで、ゆっくりデートして来てください、なんて…。少し照れくさいけれど、嬉しいわ」
「…俺も」
自分嬉しいと微笑むサフィール。
こうして、恋人の時分に戻ったように手を繋いで、街を歩く。
こんな時間をもてるのは、いつぶりだろう。
二人にとっては、こんな時間を作ってくれたこと。それだけで十分なクリスマスプレゼントだった。
「「おかえりなさいませにゃ! ご主人様、奥方様!!」」
そして夕方。
買い物袋を両手にいっぱい抱えて帰宅した二人を外で待っていたのは、人型になったライトとネリー。
「ご主人様はこちらへ」
とサフィールの手を引くライトは、彼を魔法使いの店へ連れて行き。
「奥方様はこちらですにゃー」
とアニエスの手を引くネリーは、彼女を自宅の二階へと連れて行った。
「これ、ボク達からのプレゼントですにゃー!!」
二階の入り口から寝室へ連れて行かれたアニエスに、ネリーが満面の笑みと共に渡したプレゼントボックス。
それを開けると、中には…
「まあ…」
中には、深紅のドレスが『メリークリスマス! いつもありがとうございますにゃ!!!』というメッセージカード付きで、包まれていた。
驚きに目を見張るアニエスに、ネリーは「着てみてくださいにゃ!!」と彼女の着替えを手伝い始める。
全体的にドレープを配した、膝丈のノースリーブドレス。
左の肩下に薔薇を模した飾りが付いており、同じ形の髪飾りもある。
垂らした漆黒の髪の右上にその髪飾りを付けて、アニエスは鏡を見てため息を吐いた。
しっとりと肌に馴染む、深紅のドレス。その色も形も、よくアニエスに似合っている。
「素敵なドレスね…。ありがとう、ネリー」
「えへへ! とっても似合ってますにゃ!! 奥方様!!」
ちょうどアニエスが支度を終えた時、トントン、と寝室の扉がノックされて。
「アニエス…?」
真新しい、漆黒のローブに身を包んだサフィールが姿を現した。
「サフィール! これ、みんなからのプレゼントですって」
「俺ももらった。良く似合ってるよ、アニエス」
サフィールは美しく着飾った妻の頬に口付けを落として、満足気に微笑んでいるネリーに、
「ありがとう」
と言った。
「えへへ! でも、まだまだこれから、なのですにゃ!!」
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