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本編
魔王流生贄の選び方-2
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「それで、さっき、何て言いました?」
光が出したジュースをぐいっと飲み干した香澄は問う。
「えーっと……ぱんぱっかぱーんっ?」
「そうじゃなくて」
光は首を傾げ、最初から思い出してみることにしたようだったが、香澄は少し苛立った様子で嵐を見る。
十夜と光、どちらに聞いても無駄だと判断したのだろう。
「ここはオカルト研究部、通称オカ研」
嵐の的確な言葉に香澄の目が鋭くなるのを紗綾は見た。
不信感が露わになっている。
「オカ研? オカ研なんかが紗綾をどうしようって言うんですか?」
「生贄だ」
香澄の問いに答えたのは十夜だった。
不穏な言葉に身構えたのは紗綾だけではないようだった。
「いけ、にえ……?」
「まあ、まあ、そんなに怖がらないで。うちの部には一年に一人、生贄を得よって言う決まりがあってね、要するに、必ず一人だけ部員を獲得しなきゃいけないわけですよ。俺もクロちゃんもそうやって入ったし、変な儀式したりとかはないよ? 基本は名前入れておくだけ。部員としていればそれでいい感じ。うん、何にも変なことはしてない、ちょー健全な部。俺なんか毎日ここで遊んでるよ。漫画読んで、お菓子食べて、帰りに女の子ナンパしちゃったりして……」
光は明るく話すが、納得できるものではなかった。
やはり、わからないことばかりである。
「何で、紗綾なんですか?」
香澄は問う。
それは紗綾も気になっていたことだった。
なぜ、自分なのか。どうして、自分が名指しされたのか。
すると、光は十夜を指した。
「それはクロちゃんが」
「導きだ」
「導き?」
香澄が訝しめば、十夜は見せた方が早いとばかりにテーブルの上に広げた紙を指す。
白い紙にはひらがなや数字などが書かれている。
それを見て、香澄があからさまに嫌そうな顔をした。
「うわっ、まさか、コックリさん……」
「そんな胡散臭いものではない」
「十分に、十二分に胡散臭いわよ!」
不本意だとばかりに十夜は言うが、香澄は聞く耳を持たない。
紗綾はそのやりとりをただ見て聞いているしかなかった。
香澄ではなく、自分のことであるはずなのに、まるで追い付かない。
「お前が言うと話がややこしくなるな……守護霊ってヤツだよ。生贄獲得は二年の仕事だから、今年は黒羽の番で、他は手出し無用ってのが規則。俺が決めたわけじゃないし、俺でも阻止不可能なルールだから、そこんところ誤解しないでほしいけど」
「俺なんか、校内歩いただけだったけどね」
嵐と光がフォローするが、見せた方が早いとばかりに不機嫌な顔をした十夜は先程のコインを置く。
すると、無造作に置かれたコインはすっと動き出し、ぴたりと止まったかと思えばまた動き出し、ある文字列を示した。
つ・き・だ・て・さ・や、不思議なことだが、確かにコインの位置はそう示していた。
「こういうわけで、俺たちは新入生の名簿から君を見付けたってわけさ! まさか、クッキーのクラスの子だとは思わなかったけど、これも運命かな?」
光は笑うが、香澄は険しい形相でテーブルを叩いた。
コインが跳ねる。そして、少し不自然に動いたような気がしたが、紗綾は見なかったことにした。
「こんなのインチキに決まってる!」
まあまあ、と嵐は宥める。
けれど、彼女の怒りは収まらないようだ。
「田端はさ、心霊現象とか超常現象とかって言われるものは信じない質?」
「そんなもの信じません。何もかもでっち上げですよ。幽霊も妖怪もネッシーも雪男もチュパカブラもUFOもキャトルミューティレーションもミステリーサークルもポルターガイストも、全部見間違いとか人為的なものとか偶然とかに決まってます」
香澄は即答だった。
しかし、否定する割には随分と色々なことが次々に出てくるものだと紗綾は感心してしまった。
けれど、そんな場合ではない。これは自分が巻き込まれている問題なのだから。
「これから、話すことはみんなには内緒ね。まあ、言っても信じてもらえるかどうかってところだけど……いや、そもそも、君自身が信じないみたいだけど、でも、本当のことを言うよ」
真剣な表情で嵐が話し出せば、香澄は話を聞く姿勢を見せたが、その眼差しに疑いの念が込められているのは明白だった。
光が出したジュースをぐいっと飲み干した香澄は問う。
「えーっと……ぱんぱっかぱーんっ?」
「そうじゃなくて」
光は首を傾げ、最初から思い出してみることにしたようだったが、香澄は少し苛立った様子で嵐を見る。
十夜と光、どちらに聞いても無駄だと判断したのだろう。
「ここはオカルト研究部、通称オカ研」
嵐の的確な言葉に香澄の目が鋭くなるのを紗綾は見た。
不信感が露わになっている。
「オカ研? オカ研なんかが紗綾をどうしようって言うんですか?」
「生贄だ」
香澄の問いに答えたのは十夜だった。
不穏な言葉に身構えたのは紗綾だけではないようだった。
「いけ、にえ……?」
「まあ、まあ、そんなに怖がらないで。うちの部には一年に一人、生贄を得よって言う決まりがあってね、要するに、必ず一人だけ部員を獲得しなきゃいけないわけですよ。俺もクロちゃんもそうやって入ったし、変な儀式したりとかはないよ? 基本は名前入れておくだけ。部員としていればそれでいい感じ。うん、何にも変なことはしてない、ちょー健全な部。俺なんか毎日ここで遊んでるよ。漫画読んで、お菓子食べて、帰りに女の子ナンパしちゃったりして……」
光は明るく話すが、納得できるものではなかった。
やはり、わからないことばかりである。
「何で、紗綾なんですか?」
香澄は問う。
それは紗綾も気になっていたことだった。
なぜ、自分なのか。どうして、自分が名指しされたのか。
すると、光は十夜を指した。
「それはクロちゃんが」
「導きだ」
「導き?」
香澄が訝しめば、十夜は見せた方が早いとばかりにテーブルの上に広げた紙を指す。
白い紙にはひらがなや数字などが書かれている。
それを見て、香澄があからさまに嫌そうな顔をした。
「うわっ、まさか、コックリさん……」
「そんな胡散臭いものではない」
「十分に、十二分に胡散臭いわよ!」
不本意だとばかりに十夜は言うが、香澄は聞く耳を持たない。
紗綾はそのやりとりをただ見て聞いているしかなかった。
香澄ではなく、自分のことであるはずなのに、まるで追い付かない。
「お前が言うと話がややこしくなるな……守護霊ってヤツだよ。生贄獲得は二年の仕事だから、今年は黒羽の番で、他は手出し無用ってのが規則。俺が決めたわけじゃないし、俺でも阻止不可能なルールだから、そこんところ誤解しないでほしいけど」
「俺なんか、校内歩いただけだったけどね」
嵐と光がフォローするが、見せた方が早いとばかりに不機嫌な顔をした十夜は先程のコインを置く。
すると、無造作に置かれたコインはすっと動き出し、ぴたりと止まったかと思えばまた動き出し、ある文字列を示した。
つ・き・だ・て・さ・や、不思議なことだが、確かにコインの位置はそう示していた。
「こういうわけで、俺たちは新入生の名簿から君を見付けたってわけさ! まさか、クッキーのクラスの子だとは思わなかったけど、これも運命かな?」
光は笑うが、香澄は険しい形相でテーブルを叩いた。
コインが跳ねる。そして、少し不自然に動いたような気がしたが、紗綾は見なかったことにした。
「こんなのインチキに決まってる!」
まあまあ、と嵐は宥める。
けれど、彼女の怒りは収まらないようだ。
「田端はさ、心霊現象とか超常現象とかって言われるものは信じない質?」
「そんなもの信じません。何もかもでっち上げですよ。幽霊も妖怪もネッシーも雪男もチュパカブラもUFOもキャトルミューティレーションもミステリーサークルもポルターガイストも、全部見間違いとか人為的なものとか偶然とかに決まってます」
香澄は即答だった。
しかし、否定する割には随分と色々なことが次々に出てくるものだと紗綾は感心してしまった。
けれど、そんな場合ではない。これは自分が巻き込まれている問題なのだから。
「これから、話すことはみんなには内緒ね。まあ、言っても信じてもらえるかどうかってところだけど……いや、そもそも、君自身が信じないみたいだけど、でも、本当のことを言うよ」
真剣な表情で嵐が話し出せば、香澄は話を聞く姿勢を見せたが、その眼差しに疑いの念が込められているのは明白だった。
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