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六章
Ⅲ
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「ねぇ、委員長。女神についてどうおもう?」
「なんですか谷島さん? 藪から棒に」
「あ~~~! こいつ最近歴史にはまってるんだよ! それで世界中の神話とか神とか女神とかよく話してるんだ!」
「はぁ?」
「なぁあかり!? そうだよな?!」
「え?」
くそ、フローラのやろう。一瞬のうちにあかりに戻りやがった。
「ところで委員長って休みの日とか決まってないのか!? 今日俺んちで皆してゲームしたり遊んだりしようって話してるんだ!」
「今日は、そうですね。少し予定がありますので」
「予定って何時から?」
「八時からですけど」
「なんだったら青井の家から直接行けないの?」
「ゲームが嫌だったらこいつの家で少し休んでていいんじゃない? 休憩所みたいな」
「この漫画面白いんだけどもしよかったら読んでみない?」
「というか来てくれ! お願い!」
委員長、元・魔王は悩んでいる。いつもは暖簾の腕押しであっさりと断られたりスルーされるけど。ここ最近の俺達の誘いに心動かされたってことか。
あれから俺は皆で委員長を仲間に誘ったり遊びに誘ったりしている。最初反対していた俺の心変わりに皆疑問を抱くことなく、逆に一致団結の後押しになった。こいつら、良い奴らすぎる!
委員長にそれとなくお菓子をあげたり、それからバイトを斡旋したり、声をかけたり、委員長のスケジュールを把握しようと躍起になっている。勿論、善意によるもので押しつけがましく露骨なやり方じゃない。委員長の気持ちや都合、なにより家の事情を配慮したやり方だ。
逆に俺が一番暴走しそうになっているから窘められる始末だ。
けど、嫌な予感は的中している。
「あ、魔王さん。ちょっと消しゴム貸してくれる?」
「え? 今なんて?」
「ほいあかりいいいい! 俺の消しゴムを使ええええええええ!」
「ちょっといきなり叫ばないでくれる!? なによ消しゴムって!」
「お前がそろそろ消しゴム無くしそうな時間だなっておもってな! 用意していたんだぜ!」
「あんた私のことどんだけ消しゴム無くす女だとおもってんの!?」
「それだけお前のことわかってて気にかけてるってことだ! 言わせんな馬鹿野郎!」
女神は委員長の前で露骨にあかりと入れ変る。そして、異世界に関わる様々なことと絡めて委員長に気づかせようとしている。こんなことは優しいほう。
例えば。
「きゃああああ! 蜂がはいってきたああああ!」
「あぶない! 皆下がれ! 授業中止だ!」
「皆離れろ! 刺されたら一環の終わりだぞ!」
「待て谷島なにしてる! 立ち向かうな!」
「谷島っち早くこっちへ!」
「ああ、足が竦んで動けない~~(棒読み)。こんな状況で離れたところから蜂を倒すなんて(チラッ)。青井レオンしか振るえない伝説のあれしか――――」
「おらあああああ! 青井レオンの学ランでおらああああ! 青井レオンの教科書丸めておらあああああ!」
と、聖剣を使うしかない状況に自らを追いかんだり。
「ねぇレオン。あ、間違えた。ゆうし――――」
「おいおいおいおい、あぁぁぁかぁぁぁりぃぃぃぃぃ? いくら俺が雄々しい志を持っているからって雄姿って言葉がふさわしい幼なじみなんていいすぎだろぉぉぉ?」
と、俺の正体を暴露しようとしたり。まぁ女神フローラの力を無駄遣いできないという事情からか、人格が変るタイミングが小出しになっているからそれをごまかすのに大変だ。しかも結構無理やりに。
しかも直後にあかりに戻るから、「あんたいきなりなにやってんの?」「あんた馬鹿じゃないの?」「というか雄姿ってなに?」って罵倒されるのもフォローしないといけない。
そのせいで学校にいるときの疲労は半端じゃない。あかりと委員長がいるときは細心の注意を払わないといけない。特にあかりは俺が委員長に好意を持ってるって誤解しているから尚のことフォローが必要。
あれ? 学校ってこんなに疲れる場所なんだっけ?
まぁあと一ヶ月の辛抱だ。
「あ、うん。そうなんだ・・・・・・ありがとう」
今回は珍しく素直なあかりにホッとする。素直なやつめ。
「それで、委員長。どうかな?」
じっと推し量るかのような委員長に見つめられると緊張してしまう。こいつは本当に魔王かってくらい違いすぎるし、なによりまさかバレたか? って不安が常にある。
「皆は、青井君は、どうして私を気にかけるのですか?」
「そりゃあクラスメイトだし」
「普通ただのクラスメイトにここまで優しくしないとおもうんですけど。得なんてないじゃないですか。実際に小・中学校のときは避けられていましたし」
またこいつは。反応に困ることを。
「得ならあるさ。せっかく同じクラスになったんだ。全員と仲良くなったり遊べたりしたほうがいいだろ? 一生に一度しかない高校生活なんだから後悔したくないんだ。そっちのほうが楽しいし、青春! ってかんじだろ?」
これは俺のモットーでもある。元の異世界では味わえなかった幸せを全力で味わう。そのためならなんでもする。
「まぁ、こいつは昔からこういうやつなのよ。悪い意味でガキっていうかお気楽っていうか」
「はぁ」
「まぁ、でも委員長も忙しかったりウザかったりしたら断っていいからね? 実際こいつウザいでしょ?」
「ちょ、おま」
「いえ。行きます」
「「へ?」」
「青井君がいるなら、行きます」
? 妙に含みのある言い方だけど。まぁいい。当初の目的どおりだ。
「・・・・・・ギリギリィ・・・・・・!(すぐ隣で歯軋りする音)」
なんでだかあかりが俺の臑を全力で蹴りまくってくるが。女神になっているんだろうか。だとしたらどんな意図があるんだ。
「なんですか谷島さん? 藪から棒に」
「あ~~~! こいつ最近歴史にはまってるんだよ! それで世界中の神話とか神とか女神とかよく話してるんだ!」
「はぁ?」
「なぁあかり!? そうだよな?!」
「え?」
くそ、フローラのやろう。一瞬のうちにあかりに戻りやがった。
「ところで委員長って休みの日とか決まってないのか!? 今日俺んちで皆してゲームしたり遊んだりしようって話してるんだ!」
「今日は、そうですね。少し予定がありますので」
「予定って何時から?」
「八時からですけど」
「なんだったら青井の家から直接行けないの?」
「ゲームが嫌だったらこいつの家で少し休んでていいんじゃない? 休憩所みたいな」
「この漫画面白いんだけどもしよかったら読んでみない?」
「というか来てくれ! お願い!」
委員長、元・魔王は悩んでいる。いつもは暖簾の腕押しであっさりと断られたりスルーされるけど。ここ最近の俺達の誘いに心動かされたってことか。
あれから俺は皆で委員長を仲間に誘ったり遊びに誘ったりしている。最初反対していた俺の心変わりに皆疑問を抱くことなく、逆に一致団結の後押しになった。こいつら、良い奴らすぎる!
委員長にそれとなくお菓子をあげたり、それからバイトを斡旋したり、声をかけたり、委員長のスケジュールを把握しようと躍起になっている。勿論、善意によるもので押しつけがましく露骨なやり方じゃない。委員長の気持ちや都合、なにより家の事情を配慮したやり方だ。
逆に俺が一番暴走しそうになっているから窘められる始末だ。
けど、嫌な予感は的中している。
「あ、魔王さん。ちょっと消しゴム貸してくれる?」
「え? 今なんて?」
「ほいあかりいいいい! 俺の消しゴムを使ええええええええ!」
「ちょっといきなり叫ばないでくれる!? なによ消しゴムって!」
「お前がそろそろ消しゴム無くしそうな時間だなっておもってな! 用意していたんだぜ!」
「あんた私のことどんだけ消しゴム無くす女だとおもってんの!?」
「それだけお前のことわかってて気にかけてるってことだ! 言わせんな馬鹿野郎!」
女神は委員長の前で露骨にあかりと入れ変る。そして、異世界に関わる様々なことと絡めて委員長に気づかせようとしている。こんなことは優しいほう。
例えば。
「きゃああああ! 蜂がはいってきたああああ!」
「あぶない! 皆下がれ! 授業中止だ!」
「皆離れろ! 刺されたら一環の終わりだぞ!」
「待て谷島なにしてる! 立ち向かうな!」
「谷島っち早くこっちへ!」
「ああ、足が竦んで動けない~~(棒読み)。こんな状況で離れたところから蜂を倒すなんて(チラッ)。青井レオンしか振るえない伝説のあれしか――――」
「おらあああああ! 青井レオンの学ランでおらああああ! 青井レオンの教科書丸めておらあああああ!」
と、聖剣を使うしかない状況に自らを追いかんだり。
「ねぇレオン。あ、間違えた。ゆうし――――」
「おいおいおいおい、あぁぁぁかぁぁぁりぃぃぃぃぃ? いくら俺が雄々しい志を持っているからって雄姿って言葉がふさわしい幼なじみなんていいすぎだろぉぉぉ?」
と、俺の正体を暴露しようとしたり。まぁ女神フローラの力を無駄遣いできないという事情からか、人格が変るタイミングが小出しになっているからそれをごまかすのに大変だ。しかも結構無理やりに。
しかも直後にあかりに戻るから、「あんたいきなりなにやってんの?」「あんた馬鹿じゃないの?」「というか雄姿ってなに?」って罵倒されるのもフォローしないといけない。
そのせいで学校にいるときの疲労は半端じゃない。あかりと委員長がいるときは細心の注意を払わないといけない。特にあかりは俺が委員長に好意を持ってるって誤解しているから尚のことフォローが必要。
あれ? 学校ってこんなに疲れる場所なんだっけ?
まぁあと一ヶ月の辛抱だ。
「あ、うん。そうなんだ・・・・・・ありがとう」
今回は珍しく素直なあかりにホッとする。素直なやつめ。
「それで、委員長。どうかな?」
じっと推し量るかのような委員長に見つめられると緊張してしまう。こいつは本当に魔王かってくらい違いすぎるし、なによりまさかバレたか? って不安が常にある。
「皆は、青井君は、どうして私を気にかけるのですか?」
「そりゃあクラスメイトだし」
「普通ただのクラスメイトにここまで優しくしないとおもうんですけど。得なんてないじゃないですか。実際に小・中学校のときは避けられていましたし」
またこいつは。反応に困ることを。
「得ならあるさ。せっかく同じクラスになったんだ。全員と仲良くなったり遊べたりしたほうがいいだろ? 一生に一度しかない高校生活なんだから後悔したくないんだ。そっちのほうが楽しいし、青春! ってかんじだろ?」
これは俺のモットーでもある。元の異世界では味わえなかった幸せを全力で味わう。そのためならなんでもする。
「まぁ、こいつは昔からこういうやつなのよ。悪い意味でガキっていうかお気楽っていうか」
「はぁ」
「まぁ、でも委員長も忙しかったりウザかったりしたら断っていいからね? 実際こいつウザいでしょ?」
「ちょ、おま」
「いえ。行きます」
「「へ?」」
「青井君がいるなら、行きます」
? 妙に含みのある言い方だけど。まぁいい。当初の目的どおりだ。
「・・・・・・ギリギリィ・・・・・・!(すぐ隣で歯軋りする音)」
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