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四章
Ⅳ
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あっという間に放課後になったものの、油断はできない。あかりと一緒にいれば女神が邪魔をして悪化させてくるかもしれない。けど、このまま距離をつくっていれば疎遠になってしまう。
「なぁ青井。帰りカラオケ行かねー?」
誘われたものの、曖昧な返事で明言を避けるしかない。あかりの動向を探りながら、慎重に自分がとるべき最善の方法を・・・・・・・・・・・・・・・・・ってあれ?
なんであかりスカートの下に体操着履いてるんだろう。保健室に来てくれたとき、たしか履いてなかったんじゃ?
「なぁ青井。どうする?」
「ん~~? どうすっかなぁ~~? あははは」
鞄の中身を整理しながらなんだか違和感を覚える。どことなく、今のあかりはもぞもぞしているというか、変に恥ずかしがっているような?
教科書やノートの固さとは違う、ふわっとした感触に思考が遮られる。
・・・・・・・・・・・・・・・・ん? なんだろう。ハンカチか? もしかしてママか? 高校生にもなってハンカチをそっと忍ばせておいてくれるなんて。恥ずかしさのほうが勝る。
「ん?」
いや、違う。ハンカチじゃない。チラッとだけど見たかぎりじゃ全然違う。そぉ~っと誰にもバレないように鞄の中でたしかめる。
パンツだった。それも女性用の可愛らしい。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「なぁ、あお――――」
「フォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオウ!!」
「いきなり叫んでんだ!?」
なにがなんだかわからない。一体誰の下着なのか。どうして俺の鞄の中にこんなものが入っていたのか。けど、ちょっと嬉しかった。
はっ。まずい。注目を集めてしまった。咄嗟に鞄ごと立ち上がった。
「わ、悪い! 今日俺用事忘れてたわ! 皆また明日! バイバイビ――!」
ピュー! と走りながら逃げだした。逃げざるをえなかった。
けど、これだけは絶対に言える。絶対女神の仕業だと。むしろあいつ以外にこんなことするやついない。いたら痴女だ。それに、さっきのあかりの様子。スカートの下。
この下着はあかりの履いていた下着に違いない(断言)。
どうにかしてこの下着を返さないと。さもないと、俺は同級生(しかも幼なじみ)の下着を持っている変態としてクラス内にて村八分状態になる。下手すればあかりにも嫌われる。
もしかして、それこそが女神の目的か?
「ちょっとレオン。あんたなによ」
「フォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?」
「なにあんた! 叫ぶのにでもはまってんの!?」
「なんでお前来てんだよおおおおおお・・・・・・!」
? と不思議がっているあかり。今は来ないでほしかった。切実に。
「皆、遊びに行こうって話になってんのよ。私のグループも男子達と遊ぼうって。あんたどうせ用事ってゲームのことでしょ? そんなの帰ったらいくらでも付き合ってあげるから。付き合いなさいよ」
「それは今の俺にとっては究極の選択を迫るのと同じなんだよぉぉぉぉぉ・・・・・・・・・」
「あんた、ゲーム好きも大概にしなさいよ」
そうじゃねぇ。それどころじゃねぇんだよ。俺の世界が終わっちまうかもしれないんだよ。
「あ、なぁ。お前なんで体操着着てるんだ?」
「べ、別にいいでしょ」
ここは話題をそらす。このまま遊びに一緒に行ったら俺があかりの下着を持っているのがバレやすくなる。
「もしかして、いつの間にか下着無くしちまったとか? ははは。ドジだなぁ。そういえば小学生のときにそんなことあったよなぁ」
「っっっ」
顔を赤くして、内股になる。まさか俺にバレているとまではいかなくても、核心を突かれてつい、ってかんじだろう。
「へ、変態!」
「なんだったら一緒に探してやろうか? ははは」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・!」
よし。このままあかりをからかって恥ずかしがらせれば、ここから帰らせることができる。
「・・・・・・・・・・・・本当に探してくれるの?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?
「まさか、本当に下着なくしたとか?」
ここで怒ってくれ。ある種の願いをこめて、ヒクヒクと引きつり笑いをしながら否定してくれと。
「いつの間にか、ね」
「・・・・・・・・・・・・まじか」
「わ、私だって意味わかんないわよ。絶対に履いてたのに、トイレに入ったら、その・・・・・・・・・・・。意識が飛んでていつの間にか教室にいて」
「お、おう」
「ほら。最近私おかしいってあんたも知ってんでしょ? だから、 こ、こんなこと誰にでも言えるわけないじゃん。まぁ? あんたにだったらいいかなって」
「せ、せやな」
「もしかしたら盗まれたとか。虐めかもしれないし」
「ほんまにな」
「なんで関西弁なのよ」
途方にくれてるからだ。選択肢まずったと自覚しているからだ。
「じゃ、じゃあ皆帰るまでここで待つってことで」
「お、おう」
なんで俺、幼なじみと一緒に下着を探すことになったんだろう。断れよ俺。
「なんで頭抱えてんのよ。汗だくだし」
「いや、とんでもないことになったなって」
「なによ。現役女子高生の下着をお目にできるかもしれないのよ? 喜びなさいよ」
「そんなのは特殊な変態だけだ」
「でも、よく一緒にゲームする人は一万円払ってでもほしいって」
「今すぐブロックしろ。通報しろ」
「・・・・・・・・・・・・・・あげないからね。レオンでも私の下着」
「いらんわ!」
それどころじゃない。
「私ね。こわいのよ。自分が知らない間になにをしているのかわからないって。変なことしてるんじゃないかって。普通そうでしょ? レオンだけよ。言えるのは」
キュン、とする。普段弱音を吐かないぶん、あかりの女の子としての姿が、かけがえのない姿に映る。
「わ、わかった・・・・・・・・・・・・よ・・・・・・・・・・・・・」
断ることなんてできなかった。
「なぁ青井。帰りカラオケ行かねー?」
誘われたものの、曖昧な返事で明言を避けるしかない。あかりの動向を探りながら、慎重に自分がとるべき最善の方法を・・・・・・・・・・・・・・・・・ってあれ?
なんであかりスカートの下に体操着履いてるんだろう。保健室に来てくれたとき、たしか履いてなかったんじゃ?
「なぁ青井。どうする?」
「ん~~? どうすっかなぁ~~? あははは」
鞄の中身を整理しながらなんだか違和感を覚える。どことなく、今のあかりはもぞもぞしているというか、変に恥ずかしがっているような?
教科書やノートの固さとは違う、ふわっとした感触に思考が遮られる。
・・・・・・・・・・・・・・・・ん? なんだろう。ハンカチか? もしかしてママか? 高校生にもなってハンカチをそっと忍ばせておいてくれるなんて。恥ずかしさのほうが勝る。
「ん?」
いや、違う。ハンカチじゃない。チラッとだけど見たかぎりじゃ全然違う。そぉ~っと誰にもバレないように鞄の中でたしかめる。
パンツだった。それも女性用の可愛らしい。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「なぁ、あお――――」
「フォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオウ!!」
「いきなり叫んでんだ!?」
なにがなんだかわからない。一体誰の下着なのか。どうして俺の鞄の中にこんなものが入っていたのか。けど、ちょっと嬉しかった。
はっ。まずい。注目を集めてしまった。咄嗟に鞄ごと立ち上がった。
「わ、悪い! 今日俺用事忘れてたわ! 皆また明日! バイバイビ――!」
ピュー! と走りながら逃げだした。逃げざるをえなかった。
けど、これだけは絶対に言える。絶対女神の仕業だと。むしろあいつ以外にこんなことするやついない。いたら痴女だ。それに、さっきのあかりの様子。スカートの下。
この下着はあかりの履いていた下着に違いない(断言)。
どうにかしてこの下着を返さないと。さもないと、俺は同級生(しかも幼なじみ)の下着を持っている変態としてクラス内にて村八分状態になる。下手すればあかりにも嫌われる。
もしかして、それこそが女神の目的か?
「ちょっとレオン。あんたなによ」
「フォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?」
「なにあんた! 叫ぶのにでもはまってんの!?」
「なんでお前来てんだよおおおおおお・・・・・・!」
? と不思議がっているあかり。今は来ないでほしかった。切実に。
「皆、遊びに行こうって話になってんのよ。私のグループも男子達と遊ぼうって。あんたどうせ用事ってゲームのことでしょ? そんなの帰ったらいくらでも付き合ってあげるから。付き合いなさいよ」
「それは今の俺にとっては究極の選択を迫るのと同じなんだよぉぉぉぉぉ・・・・・・・・・」
「あんた、ゲーム好きも大概にしなさいよ」
そうじゃねぇ。それどころじゃねぇんだよ。俺の世界が終わっちまうかもしれないんだよ。
「あ、なぁ。お前なんで体操着着てるんだ?」
「べ、別にいいでしょ」
ここは話題をそらす。このまま遊びに一緒に行ったら俺があかりの下着を持っているのがバレやすくなる。
「もしかして、いつの間にか下着無くしちまったとか? ははは。ドジだなぁ。そういえば小学生のときにそんなことあったよなぁ」
「っっっ」
顔を赤くして、内股になる。まさか俺にバレているとまではいかなくても、核心を突かれてつい、ってかんじだろう。
「へ、変態!」
「なんだったら一緒に探してやろうか? ははは」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・!」
よし。このままあかりをからかって恥ずかしがらせれば、ここから帰らせることができる。
「・・・・・・・・・・・・本当に探してくれるの?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?
「まさか、本当に下着なくしたとか?」
ここで怒ってくれ。ある種の願いをこめて、ヒクヒクと引きつり笑いをしながら否定してくれと。
「いつの間にか、ね」
「・・・・・・・・・・・・まじか」
「わ、私だって意味わかんないわよ。絶対に履いてたのに、トイレに入ったら、その・・・・・・・・・・・。意識が飛んでていつの間にか教室にいて」
「お、おう」
「ほら。最近私おかしいってあんたも知ってんでしょ? だから、 こ、こんなこと誰にでも言えるわけないじゃん。まぁ? あんたにだったらいいかなって」
「せ、せやな」
「もしかしたら盗まれたとか。虐めかもしれないし」
「ほんまにな」
「なんで関西弁なのよ」
途方にくれてるからだ。選択肢まずったと自覚しているからだ。
「じゃ、じゃあ皆帰るまでここで待つってことで」
「お、おう」
なんで俺、幼なじみと一緒に下着を探すことになったんだろう。断れよ俺。
「なんで頭抱えてんのよ。汗だくだし」
「いや、とんでもないことになったなって」
「なによ。現役女子高生の下着をお目にできるかもしれないのよ? 喜びなさいよ」
「そんなのは特殊な変態だけだ」
「でも、よく一緒にゲームする人は一万円払ってでもほしいって」
「今すぐブロックしろ。通報しろ」
「・・・・・・・・・・・・・・あげないからね。レオンでも私の下着」
「いらんわ!」
それどころじゃない。
「私ね。こわいのよ。自分が知らない間になにをしているのかわからないって。変なことしてるんじゃないかって。普通そうでしょ? レオンだけよ。言えるのは」
キュン、とする。普段弱音を吐かないぶん、あかりの女の子としての姿が、かけがえのない姿に映る。
「わ、わかった・・・・・・・・・・・・よ・・・・・・・・・・・・・」
断ることなんてできなかった。
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