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三章

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  高校生活が本格的に幕をあけた。とはいってもまだ慣れない校舎での学園生活と新しい人間関係の構築に皆忙しい。俺もそれとなく仲の良い男友達ができて一見普通に過ごせている。

 あかりとまったく話せなくなったという事実がなければ、順風満帆といったところだろうか。

「はぁ・・・・・・・・・・・・・」

 あかりは誰に対しても明るく親しげに接している。遠くから眺めている俺にしてみれば、どうだ俺の幼なじみは! と声を大にして自慢したい半分。自分がそんな光景に混じれていないという哀しさ半分。

 女神がいつあかりと入れ替わるか。一応聖剣を(脅しに)利用しているものの、まだ不安が残る。お互いの部屋を行き来しているときだけじゃなく、学校で過ごしているときに変なことをやられたら。

 終わりだ。あかりとの関係だけじゃない。憧れの学校生活もピリオドに終止符を打って早々に来世に輪廻転生することだろう。

 だから、謝罪も弁解も。そして以前のように親しく話すことすら試みることができていない。まじ辛たん。

 あんのくそ女神。絶対許さねぇ。一度世界救ったんだからもういいじゃねぇか。そもそも転生してきたときにマッハで探せや。

 むしゃくしゃするから、聖剣で男子トイレ掃除でもするか。いや、ゴミ箱の中に突っ込むのもありだな。それか黒板消し代わりにしてチョークの粉塗れにして。

 待てよ? もういっそのこと聖剣を壊してしまえば女神が俺にこだわる理由はなくなるんじゃ? その様子を動画とか写真にしてあかりの携帯に送れば。女神に精神的ダメージを与えられるんじゃ?

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・よし。

「ちょっとトイレ行ってくるわ」
「ん? ああ」

 一言断って、早速目的地へ。

「え、まじで? お前幼なじみいるの?」

 廊下に出たとき聞こえてしまった。同級生の会話。聞くつもりなんて毛ほどもなかったけど、幼なじみって単語に反応してしまった。

「ああ。幼稚園のときから一緒だったけど。高校が別になって疎遠になったわ~~」
「まじか。まぁでもそんなもんじゃね?」

 我がことにしかおもえない不吉なフレーズ。このままなんとかできなかったら。あかりとずっと話さないで、このままだったら。

 ガクガクブルブル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 なんとかしなければ。女神をなんとか諦めさせて、俺はこの世界で本当の意味での自由を謳歌してみせる!
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