NETSU

田丸ミケ

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第1章

生活開始 2

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 翌朝、ルツが目を覚ますとカインはまだ寝ていた。

少しの間ルツが無防備な寝顔を眺めていると、カインが目を覚ました。

まだうまく働いていないはずの頭で奴隷としての最適なことばを選び出した。

「申し訳ございません。主よりも遅く起きてしまいました。」

寝起き早々深く頭を下げるカインにルツは少し悪く思った。

咎める気は全くないとカインに話すとルツは風呂にはいることにした。

昨日は早く寝たため風呂に入れなかった。

そのため、早く風呂に入りたかった。

カインがついてこようとするので部屋にとどめさせるとサクッと風呂を済ませた。

カインにも入らせ二人ともさっぱりすることになった。
(既に石鹸に近いものは存在している)

今日はカインの身の回りのものを揃えるために買い物に出掛けることにした、が先に自分について話すことにした。


「カイン、少しいいか?」

はい、と振り返るカインをベッドに座らせると昔ながらの防音の結界を部屋内に張った。

まず自分に前世の記憶があること、次に前世での自分のこと、最後に昔の自分の家業のことを話した。

カインは真剣な表情で話を聞いていた。怖がられるかもしれない。

軽蔑されるかもしれない。

ありえない、と笑われるかもしれないと思っていた。

しかしそれは杞憂だったようだ。

そして初めて魔力を込めての命令をした。

「俺の過去について、絶対に口外するな。」
と。

カインは
「かしこまりました。この秘密は死後も口外しないと誓います。」
と丁寧に答えた。

 ルツとカインの買い物は至って順調に進み、終わってもまだ日は落ちていなかった。

そのため、冒険者ギルドに寄ってパーティー登録をすることにした。

ルツは入る前にカインに敬語と主呼びをやめさせた。

ギルド内にも奴隷持ちはいるが他人からも下にみられるため扱いがひどい。

カインはかなり抵抗があったようだが諦めたようで……ルツとかなり間がある呼び方になってしまったが、すぐに慣れるだろう。

ギルドに入ると人が多く混雑していた。

唯一空いていたカウンターに近づくとカインの冒険者登録を済ませ、パーティー登録をした。

パーティー名は〔カナリア〕平和を象徴する普通の鳥の名前だ。

しかし後に〔死神の鎌〕などの正反対の名前で呼ばれることを二人はまだ知らない。
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