3 / 5
第1章
奴隷商館
しおりを挟む
中へ通されると熱い温度の紅茶が出てきて香りを楽しみながら味わうことにした。
商館の主人と思える人物が出てきて面談をすることになった。
まずは奴隷を求める理由について。
ルツは一人が寂しくなったからとは流石に言えず冒険の仲間が必要になったと答えた。
次にどのような奴隷を求めているのかについて。
この国には大きくわけて三つの奴隷がいる。
一つ目は借金奴隷、二つ目は犯罪奴隷、三つ目が珍しいが希望奴隷がいる。
価格は希望奴隷、借金奴隷、犯罪奴隷の順で安い。
だが、多くの購入者は借金奴隷を購入する。
なぜなら一番手頃だからだ。
犯罪を犯したわけでもなく価格も手が出しやすい。
しかしルツは犯罪奴隷を希望した。
先程みた男は赤い手枷(犯罪奴隷用)を着けていたからだ。
商人はうんうんと頷くとリストを持ち出して何人かの男女の奴隷を紹介してきたが、そのなかにあの男はいなかった。
不思議に思ったルツが商人に訊ねると
「あの男とは表にでていた奴隷ですな…あの男は少し曰く付きでしてな…」
聞くところによるとあの男は、元は男性向けの性奴隷だったようだったが相手の男を殴ってしまったようだった。
性奴隷は奴隷のなかでも身分が極端に低く一度罪を犯すとほぼ二度と再起は不能だ。
そこでの"曰く付き"だろう。
だがルツには、性欲がほぼ無く性行為をしてみたいと思うことが前世からほぼ無く問題がなかったが一応覚えておくことにした。
問題ないと答えると商人は少し驚いたようだったがすぐに笑みを作った。
「話をされてみますかな?」
部屋に行く道中にあの男の簡単な情報を知った。
名前をカインといい、年齢は二十一、自分より二歳しか違わないことにルツは驚いた。
最低限の設備しかない部屋に着くとカインはベッドに腰掛けていてルツ達をみると即座に床へと移動し頭を地面に擦り付けた。
商人がルツを紹介するとカインは驚いたように少し顔を上げたがまたすぐに下げてしまった。
カインはルツが声をかけると小さくも低く男らしい声で答えた。
「俺は今、俺と一緒に戦う仲間を探しにきた。お前は俺と一緒に戦えるか?」
質問をお許しいただけますか、とカインが言うので許可すると、カインは自分の戦うスタイルについて話した。
つまりカインはルツのことを剣士だと思っているようで自分も剣士のため相性が悪いのでは無いかという質問だった。
だが、本来ルツは弓士であり今は、暗殺者のような静かな気配を押し殺して戦うスタイルだった。
そのため問題ないと答え、先程の質問の答えを待った。
するとカインは受けさせていただきます、と頭を一層深く下げて了承の意を示した。
商人が
「では、カインを購入いただけるということでよろしいですかな?」
と聞いたのであぁと短く答えた。
商人が購入用の書類を用意するため応接室からはなれるとルツとカインは二人になった。
「あの…」
カインが申し訳なさそうに聞いてきた。
本当に自分で良かったのかと。
ルツは自信が無さすぎるカインを少しだけ可哀想に思えたので滅多に作らぬ笑顔をつくり勿論だ、と答えた。
商人が書類を抱えて戻ってくるとまず、金額の話をした。
カインの価格は金貨一枚だと言われた。
カインが目を見張っているところをみると吹っ掛けられているのだとわかった。
しかし、今のルツにとっては金貨一枚など余裕で出せる金額だった。
事実ルツの所持金は現在金貨が五枚、大銀貨が三枚だった。
だが、世間知らずではないことを見せるため少しごねてみる。
すると予想していたようで大銀貨一枚にまで落ちた。
落としすぎだろうとも思ったが了承した。
次に二枚の契約書にサインをした。
一つは商館が保管するための書類、一つはカードのような小さいもので購入者が保管するためのものだった。
この書類は奴隷の身分を証明するために使用するようなので丁寧に書いた。
最後に、商人は奴隷印のサイズを聞いてきた。
商人は体格差があるからと掌ほどの一番大きいサイズを勧めてきたが、一番小さい指で円をつくるほどの大きさのものを選んだ。
商人が従業員に奴隷印の準備をさせている間に他の奴隷の見学を申し出た。
何でもまだ儀式をみたことが無いものに見せたいそうだった。
ルツはカインに許可するかを聞くと構わないと答えたので許可した。
わらわらと奴隷が入ってきて少し息苦しくなった。
準備ができたようでカインは布を噛まされていた。
「奴隷契約の儀を始めさせていただきます」
商人が奴隷印の説明を始める。
「奴隷印とは、奴隷が主人への忠誠を示すものであり主人からの奴隷への命令の伝達手段のことです」
すると商人がコテのようなものを取り出し、ルツへ炎を出す魔道具で熱するように言った。
青い炎をだしてやる。
最後の仕上げの熱しで主の魔力を入れることで主の登録と魔力の伝達が可能なのだという。
商人がカインへ近づき横腹にコテをぐっと押し付けた。
うっ、とカインが小さく呻く。
最小のサイズでここまで痛むのなら進められるまま最大のサイズにしなくよかった、とルツは安心した。
安心した?
何故だ?
ルツは自身の感情の変化に疑念を感じながらも意識を戻した。
商人がコテを話すとくっきりと印がついていた。
痕から血は出ていないため血管ごと焼けたのかもしれない。
痛々しい痕に軽くガーゼがあてられて儀式は終わった。
息を静かに整えているカインを商人は立たせると他の奴隷を退室させた。
ルツが大銀貨を支払うと商人がルツのサインが入った書類を棚に仕舞いルツに向き直った。
「これでカインはお客様の奴隷となりました。」
ありがとうございました、と顔全体で喜びを表す商人をあとにしてルツとカインは奴隷商館をあとにした。
商館の主人と思える人物が出てきて面談をすることになった。
まずは奴隷を求める理由について。
ルツは一人が寂しくなったからとは流石に言えず冒険の仲間が必要になったと答えた。
次にどのような奴隷を求めているのかについて。
この国には大きくわけて三つの奴隷がいる。
一つ目は借金奴隷、二つ目は犯罪奴隷、三つ目が珍しいが希望奴隷がいる。
価格は希望奴隷、借金奴隷、犯罪奴隷の順で安い。
だが、多くの購入者は借金奴隷を購入する。
なぜなら一番手頃だからだ。
犯罪を犯したわけでもなく価格も手が出しやすい。
しかしルツは犯罪奴隷を希望した。
先程みた男は赤い手枷(犯罪奴隷用)を着けていたからだ。
商人はうんうんと頷くとリストを持ち出して何人かの男女の奴隷を紹介してきたが、そのなかにあの男はいなかった。
不思議に思ったルツが商人に訊ねると
「あの男とは表にでていた奴隷ですな…あの男は少し曰く付きでしてな…」
聞くところによるとあの男は、元は男性向けの性奴隷だったようだったが相手の男を殴ってしまったようだった。
性奴隷は奴隷のなかでも身分が極端に低く一度罪を犯すとほぼ二度と再起は不能だ。
そこでの"曰く付き"だろう。
だがルツには、性欲がほぼ無く性行為をしてみたいと思うことが前世からほぼ無く問題がなかったが一応覚えておくことにした。
問題ないと答えると商人は少し驚いたようだったがすぐに笑みを作った。
「話をされてみますかな?」
部屋に行く道中にあの男の簡単な情報を知った。
名前をカインといい、年齢は二十一、自分より二歳しか違わないことにルツは驚いた。
最低限の設備しかない部屋に着くとカインはベッドに腰掛けていてルツ達をみると即座に床へと移動し頭を地面に擦り付けた。
商人がルツを紹介するとカインは驚いたように少し顔を上げたがまたすぐに下げてしまった。
カインはルツが声をかけると小さくも低く男らしい声で答えた。
「俺は今、俺と一緒に戦う仲間を探しにきた。お前は俺と一緒に戦えるか?」
質問をお許しいただけますか、とカインが言うので許可すると、カインは自分の戦うスタイルについて話した。
つまりカインはルツのことを剣士だと思っているようで自分も剣士のため相性が悪いのでは無いかという質問だった。
だが、本来ルツは弓士であり今は、暗殺者のような静かな気配を押し殺して戦うスタイルだった。
そのため問題ないと答え、先程の質問の答えを待った。
するとカインは受けさせていただきます、と頭を一層深く下げて了承の意を示した。
商人が
「では、カインを購入いただけるということでよろしいですかな?」
と聞いたのであぁと短く答えた。
商人が購入用の書類を用意するため応接室からはなれるとルツとカインは二人になった。
「あの…」
カインが申し訳なさそうに聞いてきた。
本当に自分で良かったのかと。
ルツは自信が無さすぎるカインを少しだけ可哀想に思えたので滅多に作らぬ笑顔をつくり勿論だ、と答えた。
商人が書類を抱えて戻ってくるとまず、金額の話をした。
カインの価格は金貨一枚だと言われた。
カインが目を見張っているところをみると吹っ掛けられているのだとわかった。
しかし、今のルツにとっては金貨一枚など余裕で出せる金額だった。
事実ルツの所持金は現在金貨が五枚、大銀貨が三枚だった。
だが、世間知らずではないことを見せるため少しごねてみる。
すると予想していたようで大銀貨一枚にまで落ちた。
落としすぎだろうとも思ったが了承した。
次に二枚の契約書にサインをした。
一つは商館が保管するための書類、一つはカードのような小さいもので購入者が保管するためのものだった。
この書類は奴隷の身分を証明するために使用するようなので丁寧に書いた。
最後に、商人は奴隷印のサイズを聞いてきた。
商人は体格差があるからと掌ほどの一番大きいサイズを勧めてきたが、一番小さい指で円をつくるほどの大きさのものを選んだ。
商人が従業員に奴隷印の準備をさせている間に他の奴隷の見学を申し出た。
何でもまだ儀式をみたことが無いものに見せたいそうだった。
ルツはカインに許可するかを聞くと構わないと答えたので許可した。
わらわらと奴隷が入ってきて少し息苦しくなった。
準備ができたようでカインは布を噛まされていた。
「奴隷契約の儀を始めさせていただきます」
商人が奴隷印の説明を始める。
「奴隷印とは、奴隷が主人への忠誠を示すものであり主人からの奴隷への命令の伝達手段のことです」
すると商人がコテのようなものを取り出し、ルツへ炎を出す魔道具で熱するように言った。
青い炎をだしてやる。
最後の仕上げの熱しで主の魔力を入れることで主の登録と魔力の伝達が可能なのだという。
商人がカインへ近づき横腹にコテをぐっと押し付けた。
うっ、とカインが小さく呻く。
最小のサイズでここまで痛むのなら進められるまま最大のサイズにしなくよかった、とルツは安心した。
安心した?
何故だ?
ルツは自身の感情の変化に疑念を感じながらも意識を戻した。
商人がコテを話すとくっきりと印がついていた。
痕から血は出ていないため血管ごと焼けたのかもしれない。
痛々しい痕に軽くガーゼがあてられて儀式は終わった。
息を静かに整えているカインを商人は立たせると他の奴隷を退室させた。
ルツが大銀貨を支払うと商人がルツのサインが入った書類を棚に仕舞いルツに向き直った。
「これでカインはお客様の奴隷となりました。」
ありがとうございました、と顔全体で喜びを表す商人をあとにしてルツとカインは奴隷商館をあとにした。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ガテンの処理事情
雄
BL
高校中退で鳶の道に進まざるを得なかった近藤翔は先輩に揉まれながらものしあがり部下を5人抱える親方になった。
ある日までは部下からも信頼される家族から頼られる男だと信じていた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる