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田丸ミケ

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第1章

街へ

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体が焼ける音がした。

肉が焼ける嫌な臭いと共に火の勢いが強まるのを感じた。

自然と恐くはなかった。

むしろ嬉しさまであった。

やっと死を迎えられるのだと、これでもう虐げられることもなくなるのだと、自然と口角も上がるようだった。

煙を大量に吸い込んだ肺はもう痛みを与えるだけの臓器と化していたが関係なかった。

痛みですら最後だと思えば愛すことができた。

今夜は美しい星夜だったが私たちのせいで煙がかって美しいとは言いがたい空になっていることだろう。

美を汚した私たちの美は誰かに看取られることなく散っていくようだった。

儚くない死は私たちに相応しいと言えるだろう。

「最後にはせめて赤ではない色をみて眠りたかったものだな…」

どちらとも言えない私の声は煙とともに空へと飲み込まれていった。



 「げほっごほっごほっ…」

目が覚めると腐敗臭のする路地だった。

見覚えのない景色と鼻を突くような臭いでルツは生きていることを実感した。

周りを見るとガリガリに痩せこけた背の低い人間と虫が群がる肉塊ばかりだった。

人は皆、虚ろな目をしていてどこか眠そうだった。

ルツは急激な乾きを感じ、水の臭いを辿った。

そこは、大河で身軽そうな男が腰を重そうにして座っていた。


男はこちらを振り返ることもなく釣りをしていた。

ルツは大河にゆらゆらと近づくと顔を突っ込むようにして水を飲んだ。

少しして乾きが収まると水面をぼーっと眺めていたが次の瞬間目を見開いた。

ルツの白く老人のようだった髪は青黒い落ち着いた色に、真っ赤で不吉の象徴だと言われた瞳は深緑に変わっていた。

「もしや…転…生…?」

はっと気づいたかのようにズボンの中を確認すると言う奇行に釣り人が気づかなかったことは不幸中の幸いであろう。


ルツはもう一度水面を覗き込むと頬をパチンと叩き夢でないことを体感した。

 嬉しさのあまり河辺に突っ立っていたことに気づくと先程と同じ路地にまた戻ることにした。

所持品を確認すると120ギルを持っていたことがわかった。

持っていた場所は忘れることにしよう。


ルツは新鮮な空気の方向へと歩いていった。

まずは街へ出て衣食住を確保したかった。

だがそこにあったのは、ルツが想像していたよりももっと発展した街だったのだ。






この先は本編に関係の無いあとがきになります

❰あとがき❱
皆さん初めまして田丸ミケと申します
先ずは、素人の拙い文章を読んでいただきありがとうございます
異世界転生系の文章に憧れて書き始めたはいいものの、口語体で文章を書くことを苦手としているので堅い印象の文章が出来上がりました
そのため、読んでいただいた皆さんには是非感想やアドバイスを頂きたいです
誤字脱字は、自分でも読んで確認はするのですが気づかないこともあるので教えていただけると幸いです
最後に、更新頻度は不定期なので気長に待っていただけると嬉しいです。
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