幻想世界のバニーガールがスキル「ギャンブル無敗」で思うがままに人生を謳歌する、そんなちょっとエッチな物語

逢巳花堂

文字の大きさ
上 下
58 / 102

第58話 バニーガールの襲撃

しおりを挟む
 結果は上々だった。

 最後までディマは反対の意を示していたが、ナイアーラはかなり食いついていた。

 けれども、ハッキリとしたことは言わなかった。アーフリードの狙い通り、カジノへ攻め込むかどうか、その考えがあるのか、まったくわからない。あくまでもナイアーラが見せていたのは、ニハルに対する興味だけである。

「本当に、これで良かったのでしょうか?」

 夜になり、宮殿内の客人用の部屋へと泊まることとなった、アーフリードとユナ。部屋に入るやいなや、ユナは、自身が不安に感じていることを、アーフリードへと率直にぶつけた。

「十分だよ。あとは、仕掛けが上手くいくかどうか、だ」
「仕掛け?」
「まさか、私がちょっと話しただけで、事が上手く運ぶとは思っていないさ。まあ、見ていてくれ。それよりも――」

 と、アーフリードは、ユナの体を抱き寄せた。

「――せっかく、こんな素敵で豪華な部屋に泊めてもらえたんだ。今晩はいっぱい楽しもうじゃないか」
「もう……アーフリード様ってば……」

 ユナは苦笑しながらも、アーフリードと唇を重ね合わせた。

 しばらくの間、お互いにキスを堪能し続けていたが、やがてどちらともなく、ベッドへと倒れ込んだ。

「アーフリード様……私、まだ、お風呂に入ってないです……」
「お互い様だ。私だって、汗をかいたままになってる。でも、そのほうが興奮するだろう?」
「あん……エッチなんだから……」

 二人は早くも服を脱ぎ捨て、下着姿になって、絡み合い始めた。荒い息づかいと喘ぎ声が、部屋の中に響き渡る。

 そして、いよいよ盛り上がりを迎えたところで――

 宮殿の中から、爆発音が聞こえてきた。

「え⁉ なに⁉」

 ビックリしてユナは跳ね起きた。

 だが、アーフリードだけは冷静でいる。

「来た。合図だ」
「合図?」
「ユナ。何を見ても、動揺しないように。あくまでも私達は、善意の第三者を装うんだ。いいな」
「えっと……? どういうことでしょう……?」
「そうだな。君には、こう命じておこうか。絶対に、何があっても、喋ってはいけない。声を出さないように。いいね?」
「は、はい……わかりました」


 何がなんだかわけがわからないが、とりあえずユナは頷いた。


 急いで服を着ると、二人は部屋を飛び出し、爆発音が聞こえたほうへと駆けていく。


 階段を駆け上がっていき、最上階へと辿り着いたところで、ユナはふと疑問を抱いた。アーフリードは迷わずにここまで走ってきたが、なぜ、目的地がわかっているのだろうか。もしかして、爆発音に、アーフリードは関与しているのだろうか。


 しかし、絶対に口をきくな、という命令だ。素直にユナは従っていた。


 最上階の一番奥に、明らかに他の部屋とは異なる、華やかな装飾の扉が現れた。直感で、ユナは、そこが女王の部屋であると悟った。


 扉の前には、本来であれば護衛の兵士達が立っていて然るべきだが、誰もいない。爆発音の正体を探りに、移動してしまったのだろうか。それとも、女王が人払いをしているのだろうか。人払いをしているのだとしたら、その理由は、なんとなく想像できる。


 バンッ! と扉を開けて、部屋の中に飛びこむと、ちょうどベッドの上で、ナイアーラとディマが激しく愛し合っているところだった。


「な⁉ なんですか! 急に! 無礼な!」


 顔を真っ赤にしたディマは、自分の裸を隠しながら、怒鳴ってきた。


 寝転がっているディマの上に、騎乗位でのしかかっていたナイアーラは、汗まみれの顔を上げて、ニコリと微笑んだ。


「なんじゃ、どうした。おぬしらも、わらわに抱かれに来たのか?」
「女王陛下、お楽しみのところ悪いけど、ものすごい音が宮殿の中から聞こえた。急いで逃げたほうがいいと思う」
「ははははは! わらわが、逃げる?」


 ナイアーラはニヤリと笑うと、ディマの体のあらぬところへと手を伸ばし、指を動かした。あう♡ とディマは悩ましい声を上げ、身をくねらせる。


「笑止千万! わらわは、この国の女王であり、この国で最も強き者なり。いかなる刺客であろうと、わらわの敵ではないわ!」
「ふうん。すごい自信だね。でも……そういうの、なんて言うか、知ってる?」


 アーフリードは冷たい笑みを浮かべた。


「井の中の蛙、って言うんだよ」


 その瞬間、部屋の壁が爆発とともに吹き飛んだ。


 ポッカリと空いた穴から、サッと襲撃者が室内に飛びこんでくる。


「な⁉」


 ディマが驚きの表情を見せた。


 襲撃者は、バニーガールの格好をしている。黒いバニースーツだ。


 それの襲撃者を見て、ユナは仰天した。相手がバニーガールであることにも驚いたが、その顔を見て、さらに衝撃を受けたのである。


 バニーガールは、口元を布で覆い、あまり顔が判別できないようにしているが、ユナにはわかる。


 騎士団の中でも主に密偵役として活躍している、元錬金術師の少女、トゥナだ。まさかのバニーガールの姿で、サゼフト王国の女王を直接襲撃するとは、いったい、何を考えているのだろうか。


(まさか――⁉)


 この件には、アーフリードも関係しているのか、と思い、その顔を見てみると、彼女は平然とした様子でいる。トゥナには当然気付いているであろうに、そ知らぬ顔だ。


 それどころか、剣を抜いて、大見得を切りながら、こう言い放った。


「やあやあ! これはまた大胆だな! サゼフト女王を狙って襲ってくるだけでなく、バニーガールの格好で戦おうとは! しかし、残念だったな! 今晩は私がここにいる! ガルズバル騎士団の団長である、この私が! 女王には指一本触れさせないぞ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

俺だけ皆の能力が見えているのか!?特別な魔法の眼を持つ俺は、その力で魔法もスキルも効率よく覚えていき、周りよりもどんどん強くなる!!

クマクマG
ファンタジー
勝手に才能無しの烙印を押されたシェイド・シュヴァイスであったが、落ち込むのも束の間、彼はあることに気が付いた。『俺が見えているのって、人の能力なのか?』  自分の特別な能力に気が付いたシェイドは、どうやれば魔法を覚えやすいのか、どんな練習をすればスキルを覚えやすいのか、彼だけには魔法とスキルの経験値が見えていた。そのため、彼は効率よく魔法もスキルも覚えていき、どんどん周りよりも強くなっていく。  最初は才能無しということで見下されていたシェイドは、そういう奴らを実力で黙らせていく。魔法が大好きなシェイドは魔法を極めんとするも、様々な困難が彼に立ちはだかる。時には挫け、時には悲しみに暮れながらも周囲の助けもあり、魔法を極める道を進んで行く。これはそんなシェイド・シュヴァイスの物語である。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...