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第43話 快楽の渦へ ☆

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「しまった! このままでは……!」

 全裸のため、完全に無防備となっているテイマー。

 牢屋の中にイスカが飛び込んできたのを見て、非常に慌てている。

「く! かくなる上は!」

 脱ぎ捨てた服の中から、もう一つ瓶を取り出すと、イスカに向かって投げつけようとした。

 だが、それよりも早く、イスカはテイマーの懐へと飛び込み、全力で体当たりを叩き込んだ。

「げふぅ!」

 テイマーは吹き飛ばされ、牢屋の壁に激突した。

「ぬぅ! ろ、老人をいたわらんか――!」

 文句を言いかけたテイマーの顔面に、さらに突っ込んできたイスカが、追い打ちの膝蹴りを喰らわせる。グシャッ! という音とともに、鼻の骨が折れた。

「あば! あばあああ!」

 鼻血を出して、叫び声を上げるテイマー。

 そのこめかみに、イスカの回し蹴りがクリーンヒットした。

 テイマーは白目を剥き、昏倒する。

「ニハルさん! 大丈夫⁉」

 ソープマンを相手に、エロティックに絡みついているニハルを、イスカはなんとか引き剥がす。だが、ニハルは、切なそうに喘ぎながら、イスカに抱きついて哀願してきた。

「いやぁぁ……♡ 止めないでぇ……♡ もっと欲しいのぉ……♡」
「……!」

 媚薬によって狂わされているのは、一目見て明らかだ。これまで、どんな酷い拷問を受けてきたのかと思うと、イスカは頭の中が白くなりそうなほどに、怒りを感じてしまう。もっとあの老人を叩きのめせばよかった、と思っているくらいだ。

「ニハルさん……ごめんね……! 僕が、もっと強ければ……!」

 ギュッと抱き締める。そのイスカの腕の中で、ニハルは甘い喘ぎ声を上げながら、さっきまでソープマンにやっていたことを、イスカにもしようとしてくる。豊満なおっぱいを押し当て、太ももを絡みつかせ、ソープまみれの体で、全身をこすりつけてくる。

「ニ、ニハルさん、落ち着いて……! もう、こんなことしなくていいから……!」

 しかし、ニハルは止まらない。

 とにかくエッチなことがしたくてしょうがない体にされてしまっている。その欲求は、ちょっとやそっとでは収まらない。

 イスカは知らないことだが、ニハルはテイマーと賭けをしていた。三日間屈服しなければ、ニハルの勝ち、という。それにより、本来であれば「ギャンブル無敗」の能力が発動して、ニハルは陥落しなくて済むようになっている。

 だが、条件としては、まだこの状態のニハルは「屈服寸前」とみなされているようだ。いよいよとなれば、正気に戻るかもしれないが、この段階では、まだ屈服していないから大丈夫、と判定されているらしい。

 ニハルを止めるためには、中途半端にエッチなことをしている状態ではなく、いよいよ身も心もテイマーに屈する、という段階まで追い込まないといけない。そうしないと、逆に、「ギャンブル無敗」は発動しない。

 その鍵となるテイマーは、気絶してしまっている。

 つまり、ニハルの溢れ出る性欲を抑え込むことは、現時点では不可能となっている。媚薬の効果が切れるのを待つしかない。

 そんなことは微塵も知らないイスカ。困り果てて、アイヴィーとクイナのほうを振り向いた。

「ねえ、どうしよう。ニハルさんが、正気に戻ってくれない……」

 と声をかけたところで、イスカはギョッとして、目を丸くした。

 クイナとレジーナが、頬を赤く染めて、モジモジと身悶えしている。その顔面には、白くベトベトした液体がこびりついている。

「ど、どうしたの、二人とも?」
「ん……♡ あの老人が、変な瓶を投げてきて、その中の液体がかかっちゃったんだ……そしたら、すごい、エッチな気分になってきて……♡」
「その白い液体、私にも、かかった……♡ こ、こんな気分、初めて……♡」

 さっき、テイマーは、イスカに向かって媚薬を投げつけようとしていた。それにより、イスカを性欲モンスターに仕立て上げ、他三人の女子達を襲わせようという魂胆だったのである。

 その目論見は失敗に終わったが、しかし、イスカの体当たりを喰らうのと同時に、ダメ元でテイマーは瓶を投げていた。それが、上手いこと、中の媚薬をクイナとレジーナの顔面に付着させることができた。最後の悪あがきが成功したのである。

 バニーガール姿のクイナとレジーナが、色っぽい息を吐きながら、イスカに迫ってくる。

「くふぅうん♡ お前と、いっぱいエッチしたい気分だ♡」
「ダメよ……♡ イスカは、私が、抱かせてもらうんだから……♡」

 一旦逃げなければ。

 そう思って、二人の性欲女子から距離を離そうとしたイスカだったが、さっきまで抱き締めていたニハルに、今度は逆に、ガシッとしがみつかれてしまった。

「イスカくぅん♡ イスカくぅん♡ 行かないでぇ♡」

 ハアハアと息を荒らげながら、れろん、とイスカの耳を舐めてきた。

「ひあ⁉ ニ、ニハルさん、そんなことしたら、ダメだよ!」
「ごめんね……♡ 相手がイスカ君じゃないのに、エッチなこといっぱいしちゃって……♡ でも、我慢できなかったの……♡ 体が熱くて、熱くて……♡」
「う、うん。わかってるよ。わかってるから、離して」

 そうこうしている間に、レジーナが、顔を寄せてきた。

「イスカ……♡ 可愛い……♡ 何度見ても、その顔可愛い……♡」

 と言いつつ、レジーナは躊躇なく、イスカの唇に自分の唇を重ねた。そして、うっとりと目を細めながら、濃厚なキスを堪能し始める。

「む! むぐ!」

 まさか一日に二度も、レジーナとキスをすることになるとは思ってもいなかった。しかも、今回は前回よりもさらに情熱的なキスだ。そのことに、不覚にも、イスカは奇妙な昂ぶりを感じてしまう。

 レジーナは舌を絡めてくる。ここまで激しいキスは、ニハルともまだしていない。罪悪感と、倒錯した興奮とで、イスカはすっかり頭の中がパニックになっている。

「イスカ……♡ 欲しい……♡ イスカが欲しい……♡」

 生真面目なクイナが、しなを作りながら、四つん這いになって迫ってくる。その体勢から、レオタードに包まれたお尻や、バニーの尻尾が見えて、イスカは思わずドキンと胸を鳴らした。こんなにエロい師匠を見たことはいまだかつてない。イスカの中の男性的欲求が、敏感に刺激される。

「ふふふ……♡ 少しずつ、攻めていくぞ……♡」

 そう言って、イスカの網タイツの上から、クイナは舌を伸ばして、足を舐め始めた。つま先から始まって、れろぉ、と舌を這わせていき、だんだんと太ももへと近付いていく。
 クイナの目線は、さらにその先……イスカの股間へと向けられている。

(ダメ……! このままだと……!)

 三人の美しいバニーガールに全身を責められ、イスカはいつしか、快楽の渦の中へと溺れつつあった。
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