ダンジョン魔改造!このチートスキルでガトリング美少女とともにダンジョン配信し、人生ハードモードを抜け出せ!

逢巳花堂

文字の大きさ
上 下
40 / 65

第40話 青木ヶ原樹海ダンジョン⑪

しおりを挟む
 ゲンノウとカルマ業の戦いは、激しさを増していく。

 周囲の木々を薙ぎ倒しながら、マントの形や大きさを自由自在に変えて、カルマ業はまさに悪魔じみた戦い方で、ゲンノウを追い込む。

 ゲンノウもまた、「ダンジョンクリエイト」で地形を変化させ、カルマ業の攻撃を防いでいるが、少しずつ押されているようだ。

 勝てる。カルマ業なら勝てる。

 俺とナーシャは、巻き添えを食らわないように、離れた場所から二人の戦いを眺めている。まさに頂上決戦。日本人最強Dライバーと、ダンジョンの創造者との戦い。俺達がどうにか出来る領域ではない。

 いきなり、ゲンノウは背を向けて、カルマ業から逃げ始めた。

「やった! 勝った! 勝ったぞ!」

 興奮して騒ぐ俺の横で、ナーシャは冷静な態度を崩さずにいる。

「まだ逃げるようなタイミングじゃなかったわ。何か狙いがあるのかもしれない」

 カルマ業も同じことを考えたようだった。あえて追撃せずに、マントを元のサイズに戻すと、俺達のほうへと戻ってきた。

「奴の動きが怪しい。一旦仕切り直しとするぞ。我輩についてこい」

 圧倒的な実力。これが日本で一番人気のDライバーか。強さも段違いで一番だ。

 と、その時、洞穴から誰かが出てきた。

 フラフラとよろめきながら、血まみれで、苦しそうに息をついている。

 それは、洞穴内で俺のことを襲ってきたDライバーの一人、母神ガイアだった。

「だ、大丈夫すか⁉」

 見るからに大変な状態だ。ガイアの右腕はもぎ取られたのか肘から先が無くなっており、応急処置として布で縛り付けている。左目からも血を流していて、片目しか見えていない様子だ。

「誰か……助け……て……」
「ゲンノウにやられたんすか⁉」
「あいつ……アタシらのことを……餌にするつもりだ……この樹海ダンジョンの餌に……」
「え?」
「みんな、やられた……ダンジョンに取り込まれて……」

 ガイアの足元の地面が、ボコボコと隆起する。

 それを見たカルマ業は、マントを翼のように広げると、俺とナーシャを両脇に抱えて、一緒になって空中へと浮かび上がった。

「業さん⁉ どうしたんすか⁉」
「わからぬが、まずいことが起きそうだ!」

 カルマ業は、ガイアのほうへ向かって飛んでいく。

「我輩の脚に掴まれ!」

 言われたとおりに、ガイアは無事な左腕を伸ばして、カルマ業の脚を掴もうとした。

 その瞬間、彼女の体は、地面の中に半分ほどズブリと沈んでしまった。

「あ! あああ! いやだ! いやっだあああ!」

 半狂乱になりながら、片腕を振り回し、地中から何とか抜け出そうとするガイア。しかし、大地は彼女を解放するどころか、むしろ締めつけ始めた。

 ベキベキと、骨の折れる、嫌な音が聞こえる。

「あああああ! ぎゃあああああ!」

 ガイアは絶叫を上げる。

 その全身を、さらに隆起した土が覆い尽くす。

 そして、土は一気に縮こまり――ガイアを瞬時に押し潰してしまった。

「……!」

 ナーシャは青白い顔で、目をそらした。

 それと同時に、彼方の空を見たナーシャは、何かに気が付いて、「あっ⁉」と声を上げた。

「あれ、見て! ゲート!」

 天蓋にも達するかと思われる、巨大で禍々しい黒門が、樹海の奥にそびえ立っている。いつの間に現れたのか、今まで全然気が付かなかった。

 大地が脈打ち、波のような動きで、ゲートへ向かって流れていく。

 まるで血液を送り込んでいるような印象を受けた。

「まさか、ダンジョンに取り込んだDライバー達のエネルギーを、ゲートに注入している……⁉」

 俺の読みは、おそらく合っている。

 なぜなら、ゲートが少しずつ開きかけているからだ。

「ダメだ! ゲートを開けさせちゃいけない! 強力なモンスターが飛び出してくる!」
「任せよ! 我輩が食い止めてみせようぞ!」

 カルマ業は、俺達を両脇に抱えたまま、一直線に空を飛んでゆく。目指すはゲート。

 不思議な光景だった。富士山と同じくらいの高さはある、巨大な黒門は、壁も無いのにそこに立っている。普通ならば、あれが開かれたとしても、扉の向こうには何もないことになるだろう。しかし、あれはゲートだ。異界へと通じる門だ。常識的な物理法則は通用しない。

 樹海の上を飛んでいると、あちこちから悲鳴が聞こえてきた。大勢のDライバーが犠牲になっているのだ。

「許さぬ……! よくも我輩の仲間達を……!」

 ギリッ、と歯噛みし、カルマ業はゲートを睨みつけた。

「閉まれええええい!」

 咆哮を上げ、マントを巨大化させると、それぞれビルほどの太さはありそうな、二本の黒い腕を伸ばした。轟音を上げながら、拳骨を作った腕は飛んでいき、こちら側に向かって開きかかっているゲートへと拳を叩きつけた。

 ゴオオオン! と天地に鐘のような音が鳴り響く。

「ぬおおおおおお!」

 さらに黒い腕は両手を広げて、ゲートを閉じようと押し込んでいく。

「やった! 閉まっていく!」
「すごいわ!」

 俺達が歓喜の声を上げた、次の瞬間――

 ブチュンッ、と気持ちの悪い音を立て、カルマ業の首から上がねじ切れてしまった。

「え……?」

 何が起きたのかを探る暇もない。

 首無し死体となったカルマ業は、力を失い、グラリと地上へ落下していく。俺達を抱え込んだまま。

「きゃああああ!」
「くそぉ! なんなんだよぉ!」

 この高さから地上に叩きつけられたら、ひとたまりもない。

 俺は恐怖心と戦いながら、タイミングを見計らっていた。チャンスは一瞬だけ、早くても遅くても、二人とも死んでしまう。

 やがて、森の木々が目の前まで迫ってきたところで、

「おおおおお!」

 俺は腕を伸ばして、木の枝を掴んだ――

 ――のと同時に、「ダンジョンクリエイト」を発動させる!

 たちまち、周囲一帯が、木々も含めて、全て湖に置き換わった。俺とナーシャは、湖面に叩きつけられ、そのまま水中へと沈んでいく。

 ナーシャはガトリングガンを湖底に捨てると、カルマ業の死体の腕を外し、さらに俺のことを引き上げて、水上へと浮かび上がっていく。

「ぷはあ!」

 息継ぎが間に合い、何とか生き延びた俺達は、湖岸へ向かって泳いでいく。

 岸に辿り着いたところで、精も根も尽き果てて、二人並んでグッタリと横たわった。

「何が起きたのよ……! どうして、カルマ業が、いきなり首を吹っ飛ばされたの……⁉」
「吹っ飛んだというより、ねじ切られた感じだったな……」
「どっちでもいいわよ! あれもまた、ゲンノウの技だっていうの⁉」
「いや、ありえない。『ダンジョンクリエイト』は色んな可能性を秘めた強力なスキルだけど、あんな芸当が出来るとは――」

 不意に、視線を感じた。

 いる。

 湖の上に、何かがいる。

 バッ! と慌てて起き上がった俺は、肌身離さず持っていたTAKUさんの日本刀を構えた。

 つられて、ナーシャも跳ね起きる。

「誰だ、お前は!」

 湖面より数センチ上に浮かぶ形で、幾重もの衣を纏った高貴で古風な女性が、宙にいる。

 彼女は余裕に満ちた笑みを浮かべて、俺達のことを見ている。

 そして、名乗った。

「わらわはイワナガヒメじゃ。わらわをこの地へ呼び戻したのは、うぬらか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】投げる男〜異世界転移して石を投げ続けたら最強になってた話〜

心太
ファンタジー
【何故、石を投げてたら賢さと魅力も上がるんだ?!】 (大分前に書いたモノ。どこかのサイトの、何かのコンテストで最終選考まで残ったが、その後、日の目を見る事のなかった話) 雷に打たれた俺は異世界に転移した。 目の前に現れたステータスウインドウ。そこは古風なRPGの世界。その辺に転がっていた石を投げてモンスターを倒すと経験値とお金が貰えました。こんな楽しい世界はない。モンスターを倒しまくってレベル上げ&お金持ち目指します。 ──あれ? 自分のステータスが見えるのは俺だけ? ──ステータスの魅力が上がり過ぎて、神話級のイケメンになってます。 細かい事は気にしない、勇者や魔王にも興味なし。自分の育成ゲームを楽しみます。 俺は今日も伝説の武器、石を投げる!

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

おっさんの異世界建国記

なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。

処理中です...