ダンジョン魔改造!このチートスキルでガトリング美少女とともにダンジョン配信し、人生ハードモードを抜け出せ!

逢巳花堂

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第20話 江ノ島ダンジョン④

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 暗闇の中へと足を踏み入れると、そこには別世界が広がっていた。

 天井からは白く細長い鍾乳石が無数に垂れ下がり、まるで氷の森のように見える。床にはタケノコのように尖った石筍が立ち並び、時折水滴が落ちてきて音を立てる。

 さらに奥へと進むと、やがて、青く輝く地底湖が目に飛び込んできた。その水面には、俺達が持つ明かりでライトアップされた鍾乳石や石柱が映り込み、幻想的な光景を作り出している。

 水面に近づいて覗き込むと、湖の底まで見えるほど透明度が高い。その水を手ですくってみると、冷たくて清らかだ。

「確かに、これは撮影映えする場所だな……」
「あまり水辺には近寄らないで。ここのモンスターは水の中に棲息しているって聞くから」
「それでも、こんだけ水が澄んでいたら、すぐわかるだろ」
「油断しないの。Aランクなんだから」

 ナーシャは警戒を怠らず、ガトリングガンを構えたまま、慎重に歩を進めている。

 ふと、前の方から話し声が聞こえてきた。

 チハヤさん達だ。

(妙だな)

 俺達よりだいぶ先行して進んでいたのに、こんなに早く追いつくのは、おかしい。何かあったのだろうか。

「チハヤさん、どうしたんですか?」
「あ、また話しかけて」

 ナーシャが文句を言ってきたが、俺はあえて無視して、チハヤさんと向かい合う。

「この先に行かないんですか?」
「ああ、カンナさん。いいところに来ました」

 そう言って、チハヤさんは、行く先の方を顎でしゃくって示した。

 ポッカリと穴が空いている。底は深く、懐中電灯で照らしても、真っ暗で何も見えない。

 どうやら、元々は吊り橋があったようだ。その跡が残っている。しかし、明らかに人為的に、橋は落とされていた。

「この通り、先へ行けなくなっているんです」
「誰がこんなことを」
「迷惑系Dライバーに決まってんだろ」

 シュリさんが忌々しげに吐き捨てた。

「馬鹿だよな、こんな風に橋を落としたら、てめえらだって戻れなくなるっていうのに、その場の勢いでやりやがってさ」
「きっと、戻れる算段があるのでしょう。でなければ、こんなことは……」

 そこまで言いかけたところで、チハヤさんはギロリと、俺のスマホや、ナーシャの配信機材を睨んできた。

「撮影中ですか?」
「え」
「配信しているのですか? と聞いているのです」
「それは……まあ……俺達もDライバーなので」

 なんだか雲行きが怪しい。撮影を中断しろ、というのならまだしも、問答無用で配信機材を壊されたりしないだろうか。

 ハラハラして、チハヤさんの次の行動を見守っていると、突然、

「どうも、視聴者の皆様! 初めまして! ダンジョン探索庁ダンジョン探索局第一課長の轟チハヤと申します!」

 ビックリするほど馬鹿明るい声を出して、自己紹介を始めた。

「こちらは私の部下の上坂《こうさか》シュリと、京橋《キョウバシ》レミ。以後よろしくお願いします!」
「ちょっと、何勝手に、人の配信使ってるのよ!」

 ナーシャが文句を言ったが、チハヤさんはまったく意に介していない様子だ。

「せっかくの機会ですから、皆さんに挨拶を、と思いまして」
「自分達でも配信やればいいじゃない!」
「私達は公務員ですよ。そんな活動は認められません」
「ははーん、わかった。あんまりにもダンジョン探索庁の評判が良くないから、Dライバーの配信に便乗して、自分達の名を売り込もうって魂胆なんでしょ」
「ち、違います、け、決して、そんなつもりでは」

 あ、これは図星だな。チハヤさんは実にわかりやすい。

「まあまあ、そうかたいこと言わないで♪ ボク達も、キミ達の探索に協力してあげるから♪ どうだろ、一緒に頑張ってみない?」

 マジか。

 新宿でミノタウロスと戦っていたチハヤさんの姿を思い出す。戦闘力は凄まじかった。他の二人も同じくらい強いのなら、これほど心強いことはない。

「お断りよ! ダンジョン探索くらい、私とカンナだけで」
「その提案、乗った」
「はああ⁉︎」

 ナーシャの素っ頓狂な声が洞穴の中に響き渡った。

「いや、ちょっと、私の意見も聞いてよ! 私はいやだからね!」
「まあまあ、俺の話も聞けって」

 不満を露わにするナーシャを、隅へと連れていき、配信外のところで説得にかかる。

「滅多にないぞ、こんな大型コラボ。なにせ、行政と縁ができるんだ。ダンジョン規制法が出来た後も、便宜はかってもらえるかもしれない」
「考えが甘いわよ。奴らがそんなサービスしてくれるわけないでしょ」
「どちらにせよ、あの穴をどうにか攻略しないと、先に進めない。いやでも、あいつらに協力しないといけないんだ」
「う~~~!」

 ナーシャはしばし苦悩していたが、やがて、渋々といった様子で、

「わかったわよ! 今回はあいつらと手を組む。でも、今回限りだからね!」

 とりあえずそれでいい。

 また次の機会があったら、その時はその時で、上手く言いくるめればいいだろう。

「お待たせしました」
「話はついたのですか?」
「このダンジョン、一緒に攻略しましょう。俺も力を貸しますよ」

 そして、穴の縁に立ち、俺は足元の地面に手をついた。

(伸びろ!)

 スキルが発動し、イメージした通りに、地面が伸びていき、穴の上に架かる橋となった。

「おー、すげー!」

 シュリさんが称賛の言葉を送ってきた、その時だった。

 奥の方から悲鳴が聞こえてきた。
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