100 / 103
プロローグ 2
しおりを挟む
「エレノア、ハルマサ、ナツキ、アキズキにフユキシ、この人が、おじさんのお嫁さんだ。アユフィーラさんだ」
そう言って紹介してくれた人は、一度家に来てくれた、キレイなお姉さんだった。
「おじ様、この人が、おじ様の初恋の人?」
って聞いたら、おじ様は目をキラキラさせて、「そうだよ」って言って、キレイなお姉さんにチュってキスしていた。お姉さんによしよし、ってされていたけど。
おじ様は、家にいた頃は笑顔になることも少なくて、いつもお仕事ばかりしていたけど、今は騎士のお仕事だから、お父様と同じで暇みたい。って、お父様に後で言ったら怒られた。
お父様は、シキズキおじ様と会った途端、「義父に殴られたか?」と聞いていて、「いや、特に殴られなかった」と答えた途端。ニヤッと笑って、「じゃぁ、俺が代わりに殴ってやろう」って。一瞬おじ様はたじろいでいたけど、素直に殴られていた。
昔、お母様と結婚するときに、挨拶に来たお父様を、おじい様の代わりにシキズキおじ様が殴った話を聞いたことがあった。だから、今回はお父様が代わりに殴ったんだって。結婚の挨拶の時は、お嫁さんの家族の人が、殴らないといけないなんて。初めて知ったわ。
おじ様は「イテテ…」って言いながらも、お父様と笑顔で話していたから、不思議だったけど。ハルマサは「漢(おとこ)は拳(こぶし)で語り合うんだ」って言ってたけど。わけわからないわ。
お嫁さんのアユフィーラさんは、とってもお金持ちの貴族のお嬢様だったみたい。だから、シキズキおじ様の家族の私の家に、たっくさんのお金をくれることになったって。
シキズキおじ様に、「いいの?」って聞いたら、「おじさん達は、ディンクスだから大丈夫」だって。ディンクスって何?って聞いたら、異世界から伝わった古代語だと教えてくれた。今度図書館で調べなくちゃ。
お父様も、シキズキおじ様は「逆玉だけどマスオさん状態になるから、いいことばかりじゃない」って言っていた。これも古代語みたい。意味がわからなかったから、お父様に、おじ様は「ぴえん超えてぱおんなんだね」と言っておいた。お父様も意味がわからなかったみたいだから、図書館で意味を調べてみればいい。
アユフィーラさんは、とっても面白い人だった。私がシキズキおじ様みたいなカッコイイ人が好き、って言ったら、「カッコイイ人には、変態が多いから気を付けてね」って。
他にはどんな人がいるの?って聞いたら、ソングフィールド卿とか、王太子殿下とか、カッコイイ人達だけど、変態で腹黒なのよ、って言っていた。変態とか腹黒って、アユフィーラさんはどうして詳しいのかなぁ…
結婚のお祝いパーティーの後にお母様に、やっぱり木の精霊の言った通りになったね、と言ったら、そうね、って。おじ様の恋は成就する、と精霊さんから聞いた時、じょうじゅ?という言葉がわからかなった。でも、ようやくわかったわ。
だって、おじ様はとっても幸せそうな顔をして、パーティーの間中、アユフィーラさんの身体をベタベタと触っていたんだもの。チュッ、チュッって、キスもいっぱいしていた。おじ様、あんなに蕩けるような顔ができるんだって、ビックリしたわ。
アユフィーラさん達が帰る時、おじ様は以前、お嫁さんはどんな人?って私が聞いたら、「ツンデレだ」って、答えていたよ、と教えてあげた。隣で聞いていたおじ様が、ちょっと慌てた顔をしていたから、面白かったわ。
次に会えるのは、いつになるかわからないみたい。でも、私もいつか、アユフィーラさんみたいになりたいな!銀色のバレッタを毎日つけていたし。あれ、シキズキおじ様の髪の色だよね。シキズキおじ様がデレデレしていたのに比べると、アユフィーラさんは素っ気ない態度の時もあったけど。でも、きっと大好きだから、毎日おじ様の色をつけていたんだろうな…素敵だわ!
そのことをハルマサに言ったら、「あれはクールビューティーだからできるんだ。お前には無理だ」だって。ツンデレって、意外と難しいのかもしれない。また今度、アユフィーラさんに会えたら、教えてもらおうかな。
ドース伯爵家の大木が、また、ゆっくりとサワサワと、風に揺れていた。
(おわり)
**********
こちらのお話を読んでくださり、ありがとうございました! 現在、第15回恋愛小説大賞にエントリー中です。よろしければ、ぜひ投票の程、お願いします!
また、番外編が3話予定していますので、しばらくしましたらアップする予定です。お気に入りはそのままで、よろしくお願いします!!!
そう言って紹介してくれた人は、一度家に来てくれた、キレイなお姉さんだった。
「おじ様、この人が、おじ様の初恋の人?」
って聞いたら、おじ様は目をキラキラさせて、「そうだよ」って言って、キレイなお姉さんにチュってキスしていた。お姉さんによしよし、ってされていたけど。
おじ様は、家にいた頃は笑顔になることも少なくて、いつもお仕事ばかりしていたけど、今は騎士のお仕事だから、お父様と同じで暇みたい。って、お父様に後で言ったら怒られた。
お父様は、シキズキおじ様と会った途端、「義父に殴られたか?」と聞いていて、「いや、特に殴られなかった」と答えた途端。ニヤッと笑って、「じゃぁ、俺が代わりに殴ってやろう」って。一瞬おじ様はたじろいでいたけど、素直に殴られていた。
昔、お母様と結婚するときに、挨拶に来たお父様を、おじい様の代わりにシキズキおじ様が殴った話を聞いたことがあった。だから、今回はお父様が代わりに殴ったんだって。結婚の挨拶の時は、お嫁さんの家族の人が、殴らないといけないなんて。初めて知ったわ。
おじ様は「イテテ…」って言いながらも、お父様と笑顔で話していたから、不思議だったけど。ハルマサは「漢(おとこ)は拳(こぶし)で語り合うんだ」って言ってたけど。わけわからないわ。
お嫁さんのアユフィーラさんは、とってもお金持ちの貴族のお嬢様だったみたい。だから、シキズキおじ様の家族の私の家に、たっくさんのお金をくれることになったって。
シキズキおじ様に、「いいの?」って聞いたら、「おじさん達は、ディンクスだから大丈夫」だって。ディンクスって何?って聞いたら、異世界から伝わった古代語だと教えてくれた。今度図書館で調べなくちゃ。
お父様も、シキズキおじ様は「逆玉だけどマスオさん状態になるから、いいことばかりじゃない」って言っていた。これも古代語みたい。意味がわからなかったから、お父様に、おじ様は「ぴえん超えてぱおんなんだね」と言っておいた。お父様も意味がわからなかったみたいだから、図書館で意味を調べてみればいい。
アユフィーラさんは、とっても面白い人だった。私がシキズキおじ様みたいなカッコイイ人が好き、って言ったら、「カッコイイ人には、変態が多いから気を付けてね」って。
他にはどんな人がいるの?って聞いたら、ソングフィールド卿とか、王太子殿下とか、カッコイイ人達だけど、変態で腹黒なのよ、って言っていた。変態とか腹黒って、アユフィーラさんはどうして詳しいのかなぁ…
結婚のお祝いパーティーの後にお母様に、やっぱり木の精霊の言った通りになったね、と言ったら、そうね、って。おじ様の恋は成就する、と精霊さんから聞いた時、じょうじゅ?という言葉がわからかなった。でも、ようやくわかったわ。
だって、おじ様はとっても幸せそうな顔をして、パーティーの間中、アユフィーラさんの身体をベタベタと触っていたんだもの。チュッ、チュッって、キスもいっぱいしていた。おじ様、あんなに蕩けるような顔ができるんだって、ビックリしたわ。
アユフィーラさん達が帰る時、おじ様は以前、お嫁さんはどんな人?って私が聞いたら、「ツンデレだ」って、答えていたよ、と教えてあげた。隣で聞いていたおじ様が、ちょっと慌てた顔をしていたから、面白かったわ。
次に会えるのは、いつになるかわからないみたい。でも、私もいつか、アユフィーラさんみたいになりたいな!銀色のバレッタを毎日つけていたし。あれ、シキズキおじ様の髪の色だよね。シキズキおじ様がデレデレしていたのに比べると、アユフィーラさんは素っ気ない態度の時もあったけど。でも、きっと大好きだから、毎日おじ様の色をつけていたんだろうな…素敵だわ!
そのことをハルマサに言ったら、「あれはクールビューティーだからできるんだ。お前には無理だ」だって。ツンデレって、意外と難しいのかもしれない。また今度、アユフィーラさんに会えたら、教えてもらおうかな。
ドース伯爵家の大木が、また、ゆっくりとサワサワと、風に揺れていた。
(おわり)
**********
こちらのお話を読んでくださり、ありがとうございました! 現在、第15回恋愛小説大賞にエントリー中です。よろしければ、ぜひ投票の程、お願いします!
また、番外編が3話予定していますので、しばらくしましたらアップする予定です。お気に入りはそのままで、よろしくお願いします!!!
3
お気に入りに追加
612
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる