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プロローグ 2

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「エレノア、ハルマサ、ナツキ、アキズキにフユキシ、この人が、おじさんのお嫁さんだ。アユフィーラさんだ」

 そう言って紹介してくれた人は、一度家に来てくれた、キレイなお姉さんだった。

「おじ様、この人が、おじ様の初恋の人?」

 って聞いたら、おじ様は目をキラキラさせて、「そうだよ」って言って、キレイなお姉さんにチュってキスしていた。お姉さんによしよし、ってされていたけど。
 
 おじ様は、家にいた頃は笑顔になることも少なくて、いつもお仕事ばかりしていたけど、今は騎士のお仕事だから、お父様と同じで暇みたい。って、お父様に後で言ったら怒られた。

 お父様は、シキズキおじ様と会った途端、「義父に殴られたか?」と聞いていて、「いや、特に殴られなかった」と答えた途端。ニヤッと笑って、「じゃぁ、俺が代わりに殴ってやろう」って。一瞬おじ様はたじろいでいたけど、素直に殴られていた。

 昔、お母様と結婚するときに、挨拶に来たお父様を、おじい様の代わりにシキズキおじ様が殴った話を聞いたことがあった。だから、今回はお父様が代わりに殴ったんだって。結婚の挨拶の時は、お嫁さんの家族の人が、殴らないといけないなんて。初めて知ったわ。

 おじ様は「イテテ…」って言いながらも、お父様と笑顔で話していたから、不思議だったけど。ハルマサは「漢(おとこ)は拳(こぶし)で語り合うんだ」って言ってたけど。わけわからないわ。

 お嫁さんのアユフィーラさんは、とってもお金持ちの貴族のお嬢様だったみたい。だから、シキズキおじ様の家族の私の家に、たっくさんのお金をくれることになったって。

シキズキおじ様に、「いいの?」って聞いたら、「おじさん達は、ディンクスだから大丈夫」だって。ディンクスって何?って聞いたら、異世界から伝わった古代語だと教えてくれた。今度図書館で調べなくちゃ。

 お父様も、シキズキおじ様は「逆玉だけどマスオさん状態になるから、いいことばかりじゃない」って言っていた。これも古代語みたい。意味がわからなかったから、お父様に、おじ様は「ぴえん超えてぱおんなんだね」と言っておいた。お父様も意味がわからなかったみたいだから、図書館で意味を調べてみればいい。

 アユフィーラさんは、とっても面白い人だった。私がシキズキおじ様みたいなカッコイイ人が好き、って言ったら、「カッコイイ人には、変態が多いから気を付けてね」って。

他にはどんな人がいるの?って聞いたら、ソングフィールド卿とか、王太子殿下とか、カッコイイ人達だけど、変態で腹黒なのよ、って言っていた。変態とか腹黒って、アユフィーラさんはどうして詳しいのかなぁ…




 結婚のお祝いパーティーの後にお母様に、やっぱり木の精霊の言った通りになったね、と言ったら、そうね、って。おじ様の恋は成就する、と精霊さんから聞いた時、じょうじゅ?という言葉がわからかなった。でも、ようやくわかったわ。

だって、おじ様はとっても幸せそうな顔をして、パーティーの間中、アユフィーラさんの身体をベタベタと触っていたんだもの。チュッ、チュッって、キスもいっぱいしていた。おじ様、あんなに蕩けるような顔ができるんだって、ビックリしたわ。


 アユフィーラさん達が帰る時、おじ様は以前、お嫁さんはどんな人?って私が聞いたら、「ツンデレだ」って、答えていたよ、と教えてあげた。隣で聞いていたおじ様が、ちょっと慌てた顔をしていたから、面白かったわ。

 次に会えるのは、いつになるかわからないみたい。でも、私もいつか、アユフィーラさんみたいになりたいな!銀色のバレッタを毎日つけていたし。あれ、シキズキおじ様の髪の色だよね。シキズキおじ様がデレデレしていたのに比べると、アユフィーラさんは素っ気ない態度の時もあったけど。でも、きっと大好きだから、毎日おじ様の色をつけていたんだろうな…素敵だわ!

 そのことをハルマサに言ったら、「あれはクールビューティーだからできるんだ。お前には無理だ」だって。ツンデレって、意外と難しいのかもしれない。また今度、アユフィーラさんに会えたら、教えてもらおうかな。

 ドース伯爵家の大木が、また、ゆっくりとサワサワと、風に揺れていた。

(おわり)

**********

 こちらのお話を読んでくださり、ありがとうございました! 現在、第15回恋愛小説大賞にエントリー中です。よろしければ、ぜひ投票の程、お願いします! 

 また、番外編が3話予定していますので、しばらくしましたらアップする予定です。お気に入りはそのままで、よろしくお願いします!!!

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