64 / 103
2-18
しおりを挟む
「ねぇ、セリア。愛って、なんだろうね」
二人で朝食と昼食を兼ねて、遅いランチを食べながら、ふと、思い出したように話をする。
「ん?どした?」
「ホラ、私って、昔からどこか、冷めたところがあったじゃない?」
「…シキズキ先輩のこと?」
王立公園の近くにある、このパスタ・レストラン。ランチが美味しいと評判だ。
「うん。先輩はさぁ、こう、すっごく私に夢中で、私が一番で、私が世界の中心、みたいな所があったけど、そんな先輩を見れば見るほど、こう、スゥーって、冷静になる自分がいたの」
「アユフィーラは、そうだね、なんていうか、夢中って感じではなかったよね」
「でも、この前、深夜に残業していたら、先輩と二人っきりになったの。偶然」
ランチで頼んだ、ペンネ・アラビアータが届く。
「先輩が、私の髪を、こう、久しぶりに優しく、すいてくれたの。そしたら、ぶわっと4年間のこと、思い出してきて…今でも、愛して、います。って。初めて伝えたの、先輩に」
「初めて、だったの?」
「そう、初めて。私、あんなに仲良く、1年も付き合っていたのに、1度も言ったことがなかった」
セリアの頼んだ、ボンゴレが届く。
「そしたら、俺が、その言葉を欲しかったときには、くれなくて、何で今なんだ、って」
アラビアータの赤が、目の前のものが形を無くしていく。
「先輩を、泣かせてしまった」
セリアも、ボンゴレに手をつけない。
「セリア、私、先輩をまた泣かせちゃった」
私の頬を、涙が伝っていく。
「アユフィーラ…」
「先輩は、たくさんの愛を、私にくれてたのに。その時は返せなかったのに、今頃、愛してるって、気づくなんて…ね」
パスタが冷めていく。
「‥‥‥アユフィーラ、パスタ、食べよう」
そう言って、セリアはボンゴレを食べ始めた。私のアラビアータは、辛かった。
「アユフィーラ、この言葉、覚えてる?…愛は寛容であり、愛は親切です。…愛は決して絶えることがありません、って。異世界の聖書っていう、聖典のことば」
「ん、そんな言葉、あったね」
アラビアータの味がしない。辛味を足しておく。
「シキズキ先輩。傍から見ていても、本当に優しくて、親切だったよね。アユフィーラにだけだけど。だから、もう少し、信じてみたら?愛は絶えることはないって」
「そうかな…」
やっぱり、涙の味がする。
「このお店のパスタ、美味しいね」
セリアは美味しそうに、ボンゴレを食べている。帝国は内陸国だから、新線な魚介類が手に入りにくい。ここは海辺も近いから、貝類も美味しい。
「うん、セリア。ありがとう。私、もう少し、この自分の気持ちと向き合ってみるね。どうせしばらく、忙しくなっちゃうから、恋愛している暇はなさそうだけど」
「ふふ、アユフィーラ。今から、海を見に行きたいな」
「いこっか」
二人とも、パスタを食べ終えてから、思いつきで馬車に乗り、海を見に行った。海はキラキラと、輝いていた。
二人で朝食と昼食を兼ねて、遅いランチを食べながら、ふと、思い出したように話をする。
「ん?どした?」
「ホラ、私って、昔からどこか、冷めたところがあったじゃない?」
「…シキズキ先輩のこと?」
王立公園の近くにある、このパスタ・レストラン。ランチが美味しいと評判だ。
「うん。先輩はさぁ、こう、すっごく私に夢中で、私が一番で、私が世界の中心、みたいな所があったけど、そんな先輩を見れば見るほど、こう、スゥーって、冷静になる自分がいたの」
「アユフィーラは、そうだね、なんていうか、夢中って感じではなかったよね」
「でも、この前、深夜に残業していたら、先輩と二人っきりになったの。偶然」
ランチで頼んだ、ペンネ・アラビアータが届く。
「先輩が、私の髪を、こう、久しぶりに優しく、すいてくれたの。そしたら、ぶわっと4年間のこと、思い出してきて…今でも、愛して、います。って。初めて伝えたの、先輩に」
「初めて、だったの?」
「そう、初めて。私、あんなに仲良く、1年も付き合っていたのに、1度も言ったことがなかった」
セリアの頼んだ、ボンゴレが届く。
「そしたら、俺が、その言葉を欲しかったときには、くれなくて、何で今なんだ、って」
アラビアータの赤が、目の前のものが形を無くしていく。
「先輩を、泣かせてしまった」
セリアも、ボンゴレに手をつけない。
「セリア、私、先輩をまた泣かせちゃった」
私の頬を、涙が伝っていく。
「アユフィーラ…」
「先輩は、たくさんの愛を、私にくれてたのに。その時は返せなかったのに、今頃、愛してるって、気づくなんて…ね」
パスタが冷めていく。
「‥‥‥アユフィーラ、パスタ、食べよう」
そう言って、セリアはボンゴレを食べ始めた。私のアラビアータは、辛かった。
「アユフィーラ、この言葉、覚えてる?…愛は寛容であり、愛は親切です。…愛は決して絶えることがありません、って。異世界の聖書っていう、聖典のことば」
「ん、そんな言葉、あったね」
アラビアータの味がしない。辛味を足しておく。
「シキズキ先輩。傍から見ていても、本当に優しくて、親切だったよね。アユフィーラにだけだけど。だから、もう少し、信じてみたら?愛は絶えることはないって」
「そうかな…」
やっぱり、涙の味がする。
「このお店のパスタ、美味しいね」
セリアは美味しそうに、ボンゴレを食べている。帝国は内陸国だから、新線な魚介類が手に入りにくい。ここは海辺も近いから、貝類も美味しい。
「うん、セリア。ありがとう。私、もう少し、この自分の気持ちと向き合ってみるね。どうせしばらく、忙しくなっちゃうから、恋愛している暇はなさそうだけど」
「ふふ、アユフィーラ。今から、海を見に行きたいな」
「いこっか」
二人とも、パスタを食べ終えてから、思いつきで馬車に乗り、海を見に行った。海はキラキラと、輝いていた。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
599
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる