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しおりを挟むセリアは、シキズキ先輩が学園を卒業した後の、私を一番近くで励まし、支えてくれた親友だ。今もこうして、夜通し話ができて、本当に嬉しい。
「ねぇ、セリアは?今回、結構急にスレイヤールに旅行に来たよね。もしかして、傷心旅行?」
「はは、アタリ!これで別れるのは5回目だけど、最後っぽい!」
セリアはセリアで、苦しい恋をしている。相手は、……イザーク先輩だ。私がシキズキ先輩に翻弄されていたように、セリアもイザーク先輩に恋をして…そして、何度も別れて、何度もよりを戻している。
大抵は、セリアから別れを切り出し、イザーク先輩が説得して連れ戻す。今回も、そのパターンかもしれないけど、どうやら事情がかなり深刻だ。
とうとう、リード公爵家の後継ぎ問題が決着し、イザーク先輩が次期公爵として指名された。そのこと自体は素晴らしいが、それは、セリアのように庶民出身の女性と、今後気軽にお付き合いなどできなくなった、ということでもある。
セリアも、潮時だと思ったのだろう。学園時代から、5年。離れたり、くっついたり。このままお付き合いをしたければ、イザーク先輩が釣り合いのとれた貴族の女性と結婚し、その方が男の赤ちゃんを産んだ後、正式に愛人となるしかない。
もちろん、セリアは愛人になど、なるつもりは一切ない。
実家は裕福だし、本人も魔術師として一人でも生きていける。わざわざ、茨の道を選ぶ必要などない。
「でもねぇ、気持ちは違うのよねぇ…。頭では理解していても、心が追いつかない、っていうか」
今回の後継ぎ問題では、イザーク先輩はむしろ次期公爵になど、なりたくなかったようだ。けれど、有力だったもう一人の候補が、駆け落ちしてしまったらしい。その為、イザーク先輩に公爵位が回ってくることになった。
セリア達は、その為に将来の道が絶たれてしまった。イザーク先輩は、それでも、とセリアを引き留めたようだが、セリアから、身を引いた。
お互い、苦しい恋をしてきた。
「ふふ、セリア。今日は飲んで、泣いて、飲んじゃおう!」
「そうね!あんな、甘ったれた男たちなんて、こっちから願い下げだわ!」
二人して、深夜まで飲んで。そして笑って、一緒に泣いた。次の日はお昼ごろに起きて、髪がボサボサになっていて。久しぶりに飲みすぎて、二人とも二日酔いになっていた。
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