【完結】初恋相手にぞっこんな腹黒エリート魔術師は、ポンコツになって私を困らせる

季邑 えり

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 シキズキ先輩に、初めて「愛している」と伝えた夜。でも、彼は相変わらず何も言ってくれなかった夜。私は一人、部屋で泣いた。大泣きした。

 そして、この馬鹿げた仕返しを止めることにした。

 研究派遣も、延長をしないことに決めた。国際コンペまで、あと5か月。それが終わって1か月あれば、残務処理もできて、帰国するタイミングとしては、丁度いい。

 国際コンペまでの期間、私は開発と作成に没頭した。それこそ、寝食を忘れる勢いで。


*****


 そんなある日、セリアが休暇をとって、スレイヤール王国に遊びに来た。

「セリア!よく来たね!」

「アユフィーラ!久しぶり!」

 サザン帝国からの飛行艇に乗っても、ここまで来るために2日もかかる。その距離を、わざわざ来てくれた親友に、私は泣いて喜んだ。

「これ、頼まれていた本とか、資料を持ってきたよ」

「助かる!ありがとう、この国には、やっぱりドクター・アイリス関連の本が少なくて」

「その、医療用の麻酔妖魔銃の研究でもしているの?」

「今度、国際コンペに出展することになって、医療用メスの開発をしているの。で、彼女のことを思い出して。もう、200年も前の技術なのに、視点が面白くて、今回のメスに応用できないかなぁって」

「国際コンペ?アユフィーラが?すごい快挙じゃない!私たちみたいな若手で、出展できるなんて、スレイヤールはやっぱり進んでいるわねぇ」

 セリアは私が留守にしていた半年間の、帝国の話を教えてくれて、私もこちらでの生活について、たくさん話をした。

夜も、ワインを飲みながら話すのは、やっぱり恋バナだ。

「で、どうよ~、シキズキ先輩。それとも~、新しい恋が始まった?なんだっけ、アレクセイ部長だっけ?」

「どっちもない!ない!もう~、セリア。あの恋のレッスン・プラン・ノート!私、かなり頑張ったけど、もうダメだぁ~、すっごい、私、避けられているの」

 これまであった、私のアタックと、それがことごとく粉々になったことを話した。

「やだ、アユフィーラ、結構頑張ったね、エライ、エライ。でも、シキズキ先輩、まだあんたに未練たらたらなんじゃないの?」

「へ?未練?だって、ことごとく無視してくるのよ。仕事以上のお付き合いはしません、って、すっごい壁」

「う~ん、話を聞いていると、まだ諦めていないような気がするけど。でも、告白したんでしょ」

「うん、結構、はっきりと伝えたけど。何にも答えてくれなかった」

「何にも、ねぇ…何か事情があるように思うけど」
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