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しおりを挟む「シキズキ、手紙と箱を預かっているわよ」
わざと休日出勤を入れて、家を留守にしていた間に、アユフィーラは訪問したようだ。
「あぁ、ありがとう。姉さん」
「アユフィーラさんに、お会いしたわ。彼女、ほんっとうに、可愛い人ね。貴方の手紙に書かれていた通りだったわ」
「あぁ…」
「もう、だんまりばっか。男の人って、どうしてこうなのかしら」
「じゃ、部屋にいくよ。夕食はいらない。明日も出勤するから、昼も夜も、いらないかな」
「そんなに働いてばっかりで、大丈夫なの?」
「騎士団の鍛錬には、欠かさず参加しているよ。大丈夫だ」
姉のリノリラも、5人の母となった。今や、ティードと一緒にこのリード伯爵家を取り仕切っている。俺も、家を出たいが、宮殿への近さもあり、未だにこの屋敷に住んでいる。
久しぶりに、イザークの筆跡をみる。彼に、頼んでいた書類がようやく届いた。普通通信では、スキャンされる恐れがあったから、アユフィーラを経由したのは正解だった。
この書類を、待っていた。ようやく、ようやくだ。
ホッとしたところで、傍らにある箱をみる。これも、イザークからのプレゼントだと言っていたな。きっとこっちはろくでもないものだろう、が、開けてみるか。
「うげっ」
中身は、かなりグロテスクなオナホールだった。アイツは、俺がまだあの魔術紋を持っていることを、知っているのだろうか…。まぁ、こうした性魔道具のクオリティは、帝国の方が、品質はいい。今夜の儀式に、早速使ってみよう。
それに、手紙を読む限りでは、イザークもまだ、苦しい恋をしているみたいだな。いつか、お互いに笑って、今のことを語れるようになればいいが。
‥‥アユフィーラ
毎日、出勤する君の姿を見ることが出来て、嬉しい。働く君も、笑う君も。食べるところも、俺の使い魔を通じて、リアルタイムで感じて、見ることができる。これだけ近くにいるから、出来ることだ。
愛しいアユフィーラ
あと少し、あと少しだ。
窓から見える大木が、サワサワと、風に揺れていた。それは、シキズキを優しく見守っていた。
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