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 それは、アクセサリーを扱っている宝飾店だった。このお店、ちょっとお高いかもしれないけど、先輩大丈夫かな。

 カランと扉を鳴らして、お店に入る。お店の人も、先輩の美貌に見とれていたけれど、私たちが学生であることを伝えると、それなりの値段のアクセサリー売り場を教えてくれた。

「あ、先輩。これ、先輩の髪の色ですよ」

 そこには、銀色に輝くバレッタが置いてあった。私の金茶の髪には、ちょっとキラキラしすぎているかもしれない。けど、先輩の銀髪に似ている。

「そうだね、アユが気に入ったのなら、それにしようか」

「あっ、先輩。これ、カフスボタンも揃っていますよ。じゃあ、私がこれ、先輩にプレゼントしますね」

 そう言って、私たちはお互いにアクセサリーを贈り合った。宝石の一つもついていない、シンプルなものだけど。きっと、将来自分たちに収入ができれば、選ばないものだろう。学生の今だから、選べるもの。

「ふふ、お揃いですね。あ~、デビューが楽しみ!先輩、ドレス姿、楽しみにしてくださいね」

「ああ、アユは何を着てもいいけど、胸の谷間が見えるのは、ダメだよ。そこを見ていいのは、俺だけだからな」

「先輩、何言っているんですか!私、オシャレしたいですよ~」

「でも、ダメだ。アユは、可愛いから。俺だけの、アユだ」

 そう言って、また先輩は私の頬に、チュッとキスをする。あの、先輩。ここ、まだお店の中…

 カランカラン…と音を立てて、お店を出た私たち。フラフラとウィンド―ショッピングをしている。こうして二人で歩くだけで、なんだか幸せな気持ちになってくる。

 明日からは、また課題もいっぱいだし、ダンスのレッスンもあるし、やることいっぱいだけど。今は、シキズキ先輩が隣にいてくれる。それだけで、嬉しくなる。

 街中を散歩していると、ある所でシキズキ先輩が歩みを止めた。

「アユフィーラさん…そろそろ、お付き合いの期間も長くなったので、身体コミュニケーションの度合いも、比例させて増やしたいのですが、いかがでしょうか」

 真面目な口調で聞いてくるけれど、内容は際どい。さらに、それは簡易宿泊所、いわゆる連れ込み宿の前で囁かれた。

「あの…でも。最後までは、ダメですよ」

「ああ、それはわかっているよ。したくても、できないから。…後で説明する」

 そう言って、先輩は私を隠すようにコートで包むと、宿の中に入って行った。

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