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 毎日気合を入れて出勤するけれど、なかなか彼には会えなかった。

「おはようございます」
「アユフィーラさん、おはよう。今日も、いい笑顔だね」

 アレクセイ部長は、私を何かと気にかけてくれた。ベテランの開発チームに紹介してくれて、6人のメンバーと魔道具の開発に携わっている。

「もう、チームには慣れてきたかな?」

「はい、皆さん優しくて。活発な議論ができるので、刺激になります」

 ここスレイヤール王国では、研究員同士をさん付けで呼び合い、階級を持ち込まない。純粋に、平等に。いいアイデアがあれば、それを検討していく。それが誰の意見であっても。

 ある意味、理想的な開発文化だった。プロジェクトを包括するリーダーはいるが、彼女は主に、意見のとりまとめに終始している。

 私も外国人であっても、等しく扱ってくれる。帝国では、どうしても侯爵令嬢として扱われる部分もあったので、こうしてだだの一研究員でいられることは、嬉しい。

「それで、実は来週から、もう一つ開発チームを立ち上げる予定があって。そちらにも、アユフィーラさんには参加してほしいと思っている。珍しいことだけど、第二開発部門と合同だ」

「合同とは、何故でしょうか?」

「あ~、実は、医療メスの改善というのが今回の課題なんだが、ほら、メスとはいえ刃物だろう。刃物については、第二の方に専門としている者が多い。ま、そんなところだ」

「わかりました、来週からですか?」

「ああ、それで、今週の金曜日の夜に、アユフィーラさんの歓迎を兼ねて、ウェルカム・パーティーを計画しているので、参加してほしいが…その、予定は大丈夫だろうか?」

「え、そんな、歓迎会だなんて。皆さんが良ければ、私も嬉しいですが…」

「あぁ、良かった。実は、今のチームメンバーだけでなく、来週からの新しい開発チームのメンバーも誘っていてね。プライベートな時間だが、まぁ、顔合わせにはなるな」

「はい、ありがとうございます」

「うん、では金曜の夜に。楽しみにしている者も多い」

 社交辞令だろう、と思っていた。が、その歓迎会には、予想以上の人が来てしまい、急遽会場のホテルの、広い宴会場に場を移すことになった。私はちょっと、浮かれていたのかもしれない。

 その、歓迎会の参加者リストの中の一人が…彼、シキズキ・ドースであったから。

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