26 / 103
1-24
しおりを挟む
「ほんと、麗しいですわね…」
「あら、今日は違う方とご一緒ですが、あの方も、整った方ですわ。目の保養ですわね」
ほほほ…と、会話の内容を聞くに、シキズキ先輩は、夜会ではビーエルの世界の貴公子となっているらしい。ビーエル、って、何だろう…
「ねぇ、セリア。さっきから、シキズキ先輩はビーエルの貴公子って、噂を聞いたけど、ビーエルって、何?」
「えぇぇ、アユフィーラ、それほんと?」
目をくりくりとさせて、セリアが驚いている。
「うん、どうやら、いつも一緒に行動する方と、ビーエルの関係なんだって」
「アユフィーラ、ビーエルっていうのは、ボーイズラブ、の略よ。ボーイズラブ。男性同士の同性愛のことね」
「え!男同士!…ありえない」
いつも私に、あれだけ欲情している人が、他の人、特に男性に欲情するのかな。でも、もしかしたら…
「それは、本人に聞いてみたら?本人からは、なかなか言い出せないみたいよ」
「そうね、後で聞いてみるね」
ビーエルのことはともかく、セリアにさっきのことを、聞いてみる。
「セリア、さっきは顔が赤かったけど、イザーク先輩と、何かあったの?」
「え、あ、まぁ、…うん」
ごにょごにょと口ごもるのは、セリアにしては珍しい。
「…大丈夫?イザーク先輩、もしかして、セリアに何かしたの?」
「あ~、何かしてきた、というより、私が何かしちゃった、かなぁ…」
「へ?セリアが?何をしたの?」
「う~ん、アユフィーラ、ごめん。これはまた今度、説明するわ」
セリアは私と仲良くしているが、彼女は庶民で、大きな商会の娘だ。たまたま魔力が強く、魔術師になりたいと本人が希望したので、学園の魔術研究科に来ることになった。学園でなければ、貴族と庶民。接点を持つことも、友達となることも難しい。
彼女は実家の商会が手広く、かつ成功しているので、へたな貴族よりはお金持ちだ。でも、私はともかく、イザーク先輩のように、大貴族となる人と親しくなっても…その先は、愛人しかない。
それも、イザーク先輩が正妻となる人との結婚前に、愛人がいるとなると、問題だらけだ。二人には、いばらの道しかない。
私とシキズキ先輩にも、将来の道がみえないように、イザーク先輩とセリアにも、まともな道はない。そうした関係に、もし引き込んでしまったとしたら、私はいたたまれない。
セリアに、この先の見えない苦しみを味わわせたくない。普段は考えないようにしているけど、やっぱり、先がないのは苦しい。二人がそうでないことを祈りつつ、私たちは話を変えて、ビュッフェ料理を楽しんだ。
「あら、今日は違う方とご一緒ですが、あの方も、整った方ですわ。目の保養ですわね」
ほほほ…と、会話の内容を聞くに、シキズキ先輩は、夜会ではビーエルの世界の貴公子となっているらしい。ビーエル、って、何だろう…
「ねぇ、セリア。さっきから、シキズキ先輩はビーエルの貴公子って、噂を聞いたけど、ビーエルって、何?」
「えぇぇ、アユフィーラ、それほんと?」
目をくりくりとさせて、セリアが驚いている。
「うん、どうやら、いつも一緒に行動する方と、ビーエルの関係なんだって」
「アユフィーラ、ビーエルっていうのは、ボーイズラブ、の略よ。ボーイズラブ。男性同士の同性愛のことね」
「え!男同士!…ありえない」
いつも私に、あれだけ欲情している人が、他の人、特に男性に欲情するのかな。でも、もしかしたら…
「それは、本人に聞いてみたら?本人からは、なかなか言い出せないみたいよ」
「そうね、後で聞いてみるね」
ビーエルのことはともかく、セリアにさっきのことを、聞いてみる。
「セリア、さっきは顔が赤かったけど、イザーク先輩と、何かあったの?」
「え、あ、まぁ、…うん」
ごにょごにょと口ごもるのは、セリアにしては珍しい。
「…大丈夫?イザーク先輩、もしかして、セリアに何かしたの?」
「あ~、何かしてきた、というより、私が何かしちゃった、かなぁ…」
「へ?セリアが?何をしたの?」
「う~ん、アユフィーラ、ごめん。これはまた今度、説明するわ」
セリアは私と仲良くしているが、彼女は庶民で、大きな商会の娘だ。たまたま魔力が強く、魔術師になりたいと本人が希望したので、学園の魔術研究科に来ることになった。学園でなければ、貴族と庶民。接点を持つことも、友達となることも難しい。
彼女は実家の商会が手広く、かつ成功しているので、へたな貴族よりはお金持ちだ。でも、私はともかく、イザーク先輩のように、大貴族となる人と親しくなっても…その先は、愛人しかない。
それも、イザーク先輩が正妻となる人との結婚前に、愛人がいるとなると、問題だらけだ。二人には、いばらの道しかない。
私とシキズキ先輩にも、将来の道がみえないように、イザーク先輩とセリアにも、まともな道はない。そうした関係に、もし引き込んでしまったとしたら、私はいたたまれない。
セリアに、この先の見えない苦しみを味わわせたくない。普段は考えないようにしているけど、やっぱり、先がないのは苦しい。二人がそうでないことを祈りつつ、私たちは話を変えて、ビュッフェ料理を楽しんだ。
2
お気に入りに追加
611
あなたにおすすめの小説
孕まされて捨てられた悪役令嬢ですが、ヤンデレ王子様に溺愛されてます!?
季邑 えり
恋愛
前世で楽しんでいた十八禁乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生したティーリア。婚約者の王子アーヴィンは物語だと悪役令嬢を凌辱した上で破滅させるヤンデレ男のため、ティーリアは彼が爽やかな好青年になるよう必死に誘導する。その甲斐あってか物語とは違った成長をしてヒロインにも無関心なアーヴィンながら、その分ティーリアに対してはとんでもない執着&溺愛ぶりを見せるように。そんなある日、突然敵国との戦争が起きて彼も戦地へ向かうことになってしまう。しかも後日、彼が囚われて敵国の姫と結婚するかもしれないという知らせを受けたティーリアは彼の子を妊娠していると気がついて……
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
【R18】軍人彼氏の秘密〜可愛い大型犬だと思っていた恋人は、獰猛な獣でした〜
レイラ
恋愛
王城で事務員として働くユフェは、軍部の精鋭、フレッドに大変懐かれている。今日も今日とて寝癖を直してやったり、ほつれた制服を修繕してやったり。こんなにも尻尾を振って追いかけてくるなんて、絶対私の事好きだよね?絆されるようにして付き合って知る、彼の本性とは…
◆ムーンライトノベルズにも投稿しています。
皇帝陛下は皇妃を可愛がる~俺の可愛いお嫁さん、今日もいっぱい乱れてね?~
一ノ瀬 彩音
恋愛
ある国の皇帝である主人公は、とある理由から妻となったヒロインに毎日のように夜伽を命じる。
だが、彼女は恥ずかしいのか、いつも顔を真っ赤にして拒むのだ。
そんなある日、彼女はついに自分から求めるようになるのだが……。
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。
ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい
えーー!!
転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!!
ここって、もしかしたら???
18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界
私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの???
カトリーヌって•••、あの、淫乱の•••
マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!!
私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い••••
異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず!
だって[ラノベ]ではそれがお約束!
彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる!
カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。
果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか?
ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか?
そして、彼氏の行方は•••
攻略対象別 オムニバスエロです。
完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。
(攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)
慰み者の姫は新皇帝に溺愛される
苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。
皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。
ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。
早速、二人の初夜が始まった。
大嫌いなアイツが媚薬を盛られたらしいので、不本意ながらカラダを張って救けてあげます
スケキヨ
恋愛
媚薬を盛られたミアを救けてくれたのは学生時代からのライバルで公爵家の次男坊・リアムだった。ほっとしたのも束の間、なんと今度はリアムのほうが異国の王女に媚薬を盛られて絶体絶命!?
「弟を救けてやってくれないか?」――リアムの兄の策略で、発情したリアムと同じ部屋に閉じ込められてしまったミア。気が付くと、頬を上気させ目元を潤ませたリアムの顔がすぐそばにあって……!!
『媚薬を盛られた私をいろんな意味で救けてくれたのは、大嫌いなアイツでした』という作品の続編になります。前作は読んでいなくてもそんなに支障ありませんので、気楽にご覧ください。
・R18描写のある話には※を付けています。
・別サイトにも掲載しています。
【R18】幼馴染な陛下と、甘々な毎日になりました💕
月極まろん
恋愛
幼なじみの陛下に、気持ちだけでも伝えたくて。いい思い出にしたくて告白したのに、執務室のソファに座らせられて、なぜかこんなえっちな日々になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる