22 / 103
1-20ー2
しおりを挟む
それからの私たちのお付き合いは、時間が経つにつれ、比較的落ち着いたものになってきた。周囲も、先輩はイケメンだけどマニアックな趣味なのだろう、と理解したのかもしれない。
もしくは、イザーク先輩が次期リード公爵候補であることや、私がデズモント侯爵家の跡取り娘であることなどが、知られたのかもしれない。平等、といいつつも貴族の序列は関係してくる。
シキズキ先輩本人は、スレイヤール王国の歴史ある伯爵家の嫡男ということだった。今は、外交官としてサザン帝国に派遣されている、ソングフィールド侯爵家の方に支援してもらい、留学していることも。その外交官の方が、厳しく目を光らせていることも、お付き合いをしていく中で、知ることが出来た。
そして、意外なことに、彼はかなりのお姉さんっ子だった。母親が、彼が小さな頃に亡くなったため、幼い頃に魔力だまりに苦しんでいた時、支えてくれたのは、お姉さんだったらしい。
そのお姉さんも、今は騎士の方と結婚して、子どもも4人いると聞く。歴史だけあって、金のない伯爵家だけど、お姉さんの旦那が騎士として給料をもらってくるから、何とかなっている。と話してくれた時は、ちょっとびっくりした。
私の家の、デズモント侯爵家は、歴史もあるし、領土も広い。要するに金持ち貴族だ。ついでに私は一人っ子だから、暮らしに不自由したことはない。政治的には、ほどほどの位置にいるけれど、私の家格としては、皇帝妃にと求められても、おかしくない。
まぁ、私はそんなものになりたくないし、次期皇帝として認められている皇子は、既に結婚して子沢山だから、なりたくてもなれないけど。
で、私たちの関係というか、お付き合いは順調というか、私としては爛れた関係はそのまま、続いている。
「先輩、も、もうストップ」
今日も、激しくキスしてくる先輩に、ストップをかけるのはいつも私だ。
「アユ…愛してる」
ぎゅっと抱きしめて、そして私の首元の匂いを嗅いで、先輩はようやく「身体コミュニケーション」の時間を終えた。
「シキズキ先輩、今度の週末は、どうしますか?」
これも意外なことに、シキズキ先輩は週末でも忙しい。最終学年の魔術研究発表の準備もあるけれど、騎士科の授業も受けていて、どうやらダブルディグリー、二つの科の卒業資格を取ることにした為だ。
なので、週末に会えることは、ほとんどない。けれど、たまには外でデートしたい…
「1日、アユのために空けたから、どこか出かけよう」
「えっ、大丈夫ですか?」
「ああ、といっても、できれば午前中は、乗馬の練習もしたいけど…」
「じゃあ、デズモント家の乗馬クラブに行きましょう。私も久しぶりに、馬を駆けてみたいです」
何でもできそうなシキズキ先輩だけど、乗馬には苦労している。元々魔術師だから、馬も魔力を恐れて馴染めないことが多い。中には、魔力を恐れない馬もいるから、相性の問題だと思うけれど、先輩はまだ、相棒と言える馬と出会えていない。
私も侯爵家の娘として、馬に乗ることは訓練してきた。広大な領地を管理するためには、乗馬もできなければ、視察もできない。跡取り娘は、深層のご令嬢ではいられない。
「いいのか?その…君の家族は、俺のことを知っているのか?」
もしくは、イザーク先輩が次期リード公爵候補であることや、私がデズモント侯爵家の跡取り娘であることなどが、知られたのかもしれない。平等、といいつつも貴族の序列は関係してくる。
シキズキ先輩本人は、スレイヤール王国の歴史ある伯爵家の嫡男ということだった。今は、外交官としてサザン帝国に派遣されている、ソングフィールド侯爵家の方に支援してもらい、留学していることも。その外交官の方が、厳しく目を光らせていることも、お付き合いをしていく中で、知ることが出来た。
そして、意外なことに、彼はかなりのお姉さんっ子だった。母親が、彼が小さな頃に亡くなったため、幼い頃に魔力だまりに苦しんでいた時、支えてくれたのは、お姉さんだったらしい。
そのお姉さんも、今は騎士の方と結婚して、子どもも4人いると聞く。歴史だけあって、金のない伯爵家だけど、お姉さんの旦那が騎士として給料をもらってくるから、何とかなっている。と話してくれた時は、ちょっとびっくりした。
私の家の、デズモント侯爵家は、歴史もあるし、領土も広い。要するに金持ち貴族だ。ついでに私は一人っ子だから、暮らしに不自由したことはない。政治的には、ほどほどの位置にいるけれど、私の家格としては、皇帝妃にと求められても、おかしくない。
まぁ、私はそんなものになりたくないし、次期皇帝として認められている皇子は、既に結婚して子沢山だから、なりたくてもなれないけど。
で、私たちの関係というか、お付き合いは順調というか、私としては爛れた関係はそのまま、続いている。
「先輩、も、もうストップ」
今日も、激しくキスしてくる先輩に、ストップをかけるのはいつも私だ。
「アユ…愛してる」
ぎゅっと抱きしめて、そして私の首元の匂いを嗅いで、先輩はようやく「身体コミュニケーション」の時間を終えた。
「シキズキ先輩、今度の週末は、どうしますか?」
これも意外なことに、シキズキ先輩は週末でも忙しい。最終学年の魔術研究発表の準備もあるけれど、騎士科の授業も受けていて、どうやらダブルディグリー、二つの科の卒業資格を取ることにした為だ。
なので、週末に会えることは、ほとんどない。けれど、たまには外でデートしたい…
「1日、アユのために空けたから、どこか出かけよう」
「えっ、大丈夫ですか?」
「ああ、といっても、できれば午前中は、乗馬の練習もしたいけど…」
「じゃあ、デズモント家の乗馬クラブに行きましょう。私も久しぶりに、馬を駆けてみたいです」
何でもできそうなシキズキ先輩だけど、乗馬には苦労している。元々魔術師だから、馬も魔力を恐れて馴染めないことが多い。中には、魔力を恐れない馬もいるから、相性の問題だと思うけれど、先輩はまだ、相棒と言える馬と出会えていない。
私も侯爵家の娘として、馬に乗ることは訓練してきた。広大な領地を管理するためには、乗馬もできなければ、視察もできない。跡取り娘は、深層のご令嬢ではいられない。
「いいのか?その…君の家族は、俺のことを知っているのか?」
11
お気に入りに追加
612
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。
十分以上に勝算がある。と思っていたが、
「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」
と完膚なきまでに振られた俺。
失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。
彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。
そして、
「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」
と、告白をされ、抱きしめられる。
突然の出来事に困惑する俺。
そんな俺を追撃するように、
「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」
「………………凛音、なんでここに」
その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる