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しおりを挟む「はじめまして、アユフィーラ・デズモンドと申します。サザン帝国から、魔術研究員として派遣されました。よろしくお願いします」
スレイヤール王国に来て、今日から王宮魔術師団のオフィスに来た。研究員として第一開発部門に配置された。
「よろしく、君の直属の上司になる、アレクセイ・グリーンフィールドだ。君のお世話係だな、困ったことは、何でも聞いてほしい」
よかった、明るそうな人だ。アレクセイ部長は、スレイヤール王国の貴族に多い金髪を短く刈り込んだ、体格のしっかりした人だった。精悍な顔つきは、ぱっと見では魔術師とは思えない。
サザン帝国にいる魔術師は、いかにも、という人が多かった。飄々とした感じで、表情をあまり見せない。アウトドアというより、インドア派。でも、スレイヤールの魔術師は、そんなイメージに囚われていない人が多いみたい。
特にこの開発部門では、身分や年齢の差を職場に持ち込まないことが、ルールらしい。フラットにしないと、アイデアが死んでしまうから、と聞いた。サザン帝国にはない習慣だから、ちょっとびっくり。
「ありがとうございます。そう言っていただけると、助かります」
爽やかに笑顔を忘れない。まず、第一印象が大切。今日は、いろんな人に会うので、服装にも、お化粧にも気合を入れた。正式な場では、魔術師を表すローブを着るが、基本的には私服で構わないとのこと。
といっても、今日の私はベージュのスーツを着ている。大き目のリボンブラウスで、なるべく視線が上になるように。ただでさえ、ちょっと大きめな胸が目立たないように、でも形がでても、下品にならない感じで…となると、このスーツが一番だ。
今朝から、きれいに髪がカールするように、頑張って巻いてみた。密命のことを考えると、身だしなみもきちんとしておきたい。お化粧も、派手過ぎず、健康的な顔色になるように。
あとは、なんといっても笑顔。作り笑いも、練習すれば自然と微笑んでいるように見える。香りはきつくならないように、フローラルなものを選んで。
…いつ、どこで、彼に会うかわからない。けど、会ったときに、昔よりは成長したことを、大人になったことを、知って欲しい…の、かな。今日は朝から、ドキドキしている。
「じゃあ、今日は僕が宮殿内を案内するよ」
アレクセイ部長は、そう言うと自分のローブを取り出して、サッと羽織った。
「あの、私もローブを着た方がいいでしょうか?」
「アユフィーラさんは、せっかく綺麗なスーツ姿なので、そのままでいいですよ」
「はい、わかりました」
ローブは支給されたものがあるので、いつでも羽織ることができる。これを着れば、いかにも魔術師、ということを表すことができる。が、今日は着なくてもいいのであれば、それに越したことはない。せっかく、オシャレしてきたし。
「こちらが総合事務で、魔道具の作成部門は2階フロアと、別に工房が外にあります。また、そちらにも行く機会があるでしょう」
「あの、開発部門は二つあると聞きましたが。何か違いがあるのですか?」
「ああ、第二開発部門は、最上階にあるので、あとで紹介しよう。第一と第二の違いは、第一が生活に密着した魔道具の開発としたら、第二は攻撃力や防御力といった、兵器開発に近いかな」
「そうでしたか。だから私は第一に配置になったんですね」
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