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食堂にいる人達からの視線が痛い。また、この目立つ人にちょっかいを出されて、私は浴びたくもない注目を浴びている。
「シキズキ先輩、アユフィーラ、ここに座ろうよ」
セリアが空気を読んで、食堂の席を示す。結局4人で座ることにする。
「イザーク、今日から彼女と毎日、ランチを一緒に食べることになった。で、アユ、何がいい?」
私はランチを一緒に、それも毎日一緒に食べる約束などしていない。ついでに愛称呼びも許していない。
「ククク、シキズキ。お前、アユフィーラさんは全く納得していない顔をしているぞ」
「いや、昨日説明した。昨日から先輩、後輩の関係になった。な?」
「な…は、はい」
なんというか、嬉しそうに話すシキズキ先輩をみていると、怒っていた気持ちが抜けてしまった。お昼休憩も時間が限られているし、食堂は混みあっている。今日は仕方ないから、大人しく定食を食べることにした。
「アユフィーラさん、シキズキが無理いって、ごめんね。アイツ、昨日からすっげぇポンコツでさ、見ている方は面白いけど、君はあまり嬉しそうではないから、ちょっと心配でね」
イザーク先輩が、彼が席を立っている隙に、私に話しかけてきた。どうも、シキズキ先輩は、私を見つけてから、やることなすこと、普段の彼とは違って舞い上がっているらしい。
「でも、どうして私なんでしょうか。昨日は、一目ぼれだと言っていましたが、正直、信じられません」
「ん~、それは僕からは何とも言えないけど。まぁ、アイツも悪い奴じゃないし、あの通り見た目はいいからさ。少し相手してあげてよ。もしかしたら、初恋で舞い上がっているだけだからさ」
「は・つ・こ・い?」
「そう、初恋。それも童貞君の、こじれた初恋」
「へ?あんなにカッコイイのに、ド〇〇〇…もっと信じられない」
「それは理由があるんだけどね。後は本人に確認して。とにかく、君に夢中なのは本当だよ。僕も驚いた」
昨日から、恋愛についての語彙がおかしい。一目ぼれに、ぞっこん、べた惚れ。それに初恋。私に夢中って、いつの時代の言葉?
「あの、やっぱり仲間内で賭けをしているとか、罰ゲームだとか。もしくは呪いをかけられたとか?」
「はは、君も面白いね。でも、どれも違うよ。本気でシキズキ、君のことを気に入ったみたいだね」
「あの~、イザーク様は、騎士科なのに、シキズキ様とお友達なんですね」
いいところで、セリアが話に入ってくれた。
「ああ、シキズキは魔術研究科だけだと身体がなまるからって、騎士科のクラスも取っていてね。そこで、妙に馬が合ったというか」
「へぇ~、シキズキ先輩、騎士科のクラスにも出るなんて、魔術師にしては体力ありそうですね」
セリアは、面白そうに話を聞いていた。
「意外と、と言っては何だけど。魔術師にしておくにはもったいないくらい、だよ。何でもお姉さんの夫が、騎士をしているみたいで、アイツには負けたくない、って言っていたけど。現役騎士に喧嘩売るなんて、アイツくらいのものだよね」
「俺の話は、そのくらいにしてくれ…」
「なんだ、シキズキ。おっ、俺の定食持ってきてくれたか。ありがとな」
器用にも四人分の定食を持ってきてくれたシキズキ先輩は、一緒に食事をするために席に座る。
「ところでシキズキ先輩は、どうしてアユフィーラにキスしたのですか?」
ゴフッ、っとイザーク先輩がむせている。
いきなり直球な質問をしたのは、セリアだった。
「…一目ぼれした」
「えっと、正直なことを言いますけど、アユフィーラってちびで、ふくよかで眼鏡、と、まぁあまり男性に魅力的な容姿をしていませんよね。それで、どうして一目ぼれなんてするのですか?もしかして、マニアックな趣味とか?」
「セリア、正直に言ってくれてありがとう」
驚いたけど、本当にその通りだ。私に一目ぼれなんて、何の冗談だろうか。
「その、アユの、魔力の香りが、すごいキタ」
「へ?」
「シキズキ先輩、アユフィーラ、ここに座ろうよ」
セリアが空気を読んで、食堂の席を示す。結局4人で座ることにする。
「イザーク、今日から彼女と毎日、ランチを一緒に食べることになった。で、アユ、何がいい?」
私はランチを一緒に、それも毎日一緒に食べる約束などしていない。ついでに愛称呼びも許していない。
「ククク、シキズキ。お前、アユフィーラさんは全く納得していない顔をしているぞ」
「いや、昨日説明した。昨日から先輩、後輩の関係になった。な?」
「な…は、はい」
なんというか、嬉しそうに話すシキズキ先輩をみていると、怒っていた気持ちが抜けてしまった。お昼休憩も時間が限られているし、食堂は混みあっている。今日は仕方ないから、大人しく定食を食べることにした。
「アユフィーラさん、シキズキが無理いって、ごめんね。アイツ、昨日からすっげぇポンコツでさ、見ている方は面白いけど、君はあまり嬉しそうではないから、ちょっと心配でね」
イザーク先輩が、彼が席を立っている隙に、私に話しかけてきた。どうも、シキズキ先輩は、私を見つけてから、やることなすこと、普段の彼とは違って舞い上がっているらしい。
「でも、どうして私なんでしょうか。昨日は、一目ぼれだと言っていましたが、正直、信じられません」
「ん~、それは僕からは何とも言えないけど。まぁ、アイツも悪い奴じゃないし、あの通り見た目はいいからさ。少し相手してあげてよ。もしかしたら、初恋で舞い上がっているだけだからさ」
「は・つ・こ・い?」
「そう、初恋。それも童貞君の、こじれた初恋」
「へ?あんなにカッコイイのに、ド〇〇〇…もっと信じられない」
「それは理由があるんだけどね。後は本人に確認して。とにかく、君に夢中なのは本当だよ。僕も驚いた」
昨日から、恋愛についての語彙がおかしい。一目ぼれに、ぞっこん、べた惚れ。それに初恋。私に夢中って、いつの時代の言葉?
「あの、やっぱり仲間内で賭けをしているとか、罰ゲームだとか。もしくは呪いをかけられたとか?」
「はは、君も面白いね。でも、どれも違うよ。本気でシキズキ、君のことを気に入ったみたいだね」
「あの~、イザーク様は、騎士科なのに、シキズキ様とお友達なんですね」
いいところで、セリアが話に入ってくれた。
「ああ、シキズキは魔術研究科だけだと身体がなまるからって、騎士科のクラスも取っていてね。そこで、妙に馬が合ったというか」
「へぇ~、シキズキ先輩、騎士科のクラスにも出るなんて、魔術師にしては体力ありそうですね」
セリアは、面白そうに話を聞いていた。
「意外と、と言っては何だけど。魔術師にしておくにはもったいないくらい、だよ。何でもお姉さんの夫が、騎士をしているみたいで、アイツには負けたくない、って言っていたけど。現役騎士に喧嘩売るなんて、アイツくらいのものだよね」
「俺の話は、そのくらいにしてくれ…」
「なんだ、シキズキ。おっ、俺の定食持ってきてくれたか。ありがとな」
器用にも四人分の定食を持ってきてくれたシキズキ先輩は、一緒に食事をするために席に座る。
「ところでシキズキ先輩は、どうしてアユフィーラにキスしたのですか?」
ゴフッ、っとイザーク先輩がむせている。
いきなり直球な質問をしたのは、セリアだった。
「…一目ぼれした」
「えっと、正直なことを言いますけど、アユフィーラってちびで、ふくよかで眼鏡、と、まぁあまり男性に魅力的な容姿をしていませんよね。それで、どうして一目ぼれなんてするのですか?もしかして、マニアックな趣味とか?」
「セリア、正直に言ってくれてありがとう」
驚いたけど、本当にその通りだ。私に一目ぼれなんて、何の冗談だろうか。
「その、アユの、魔力の香りが、すごいキタ」
「へ?」
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