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本編
4.丘の上のレストラン
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丘の上のレストランに到着し、馬車がとまった。少しお昼の時間より早かったおかげか、まだ席に余裕があったので、窓際の景色の良い席に、二人で座った。
―――さっき、見えたかしら。でも、グレン様の様子は変わらないから、見えてないわよね。察してほしいだけで、パンツを履いていない姿を見せたいわけではないし。もし見られてしまっていたら、とんでもないわ。
背中にいやな汗が流れる。なんてアホなことをしているのだろう、と思ったが、もう遅い。自分を鼓舞するため、自分のパンツは持ってきていない。あくまでも、グレンから貰いたい。
―――でも、今日は貰える感じもしないし、仕方がないから、グレン様用に持ってきた、男性用のパンツを履こうかしら。
そう思ったメイティーラは、お手洗いに行くふりをして、男性用のパンツを履くことにした。もう、お尻は寒いし、さっきのようなことが起これば、恥ずかしくて仕方がない。
「君は・・・先ほどの店に寄りたかったのかな」
「え、さっきの店、というのは、ランジェリーショップですか?」
「あ、ああ」
「いえ、別に。今日はグレン様と歩いていますので、グレン様と一緒に楽しめるところが嬉しいです」
「そうか・・・」
料理をオーダーした後で、ふいにグレンから話しかけてきた。だが、また無言になる。
―――なぜ、彼女は今日、パンツを履いていないのだ・・・
グレンは混乱していた。馬車の中でみた一瞬を、何度も何度も繰り返して、思い出していた。白くて丸かった。今も、パンツを履いていないとすると、あの中に手をいれれば、すぐに秘裂に触ることができる。いや、そんなことはできない。だが、少しでも見ることができるかもしれない、いや、ダメだ・・・
が、考えれば考えるほど、そもそもの理由がわからない。確かに今日は、下着を贈りあうという何とも不可解な言い伝えのある日であるが、あれは、もしかしたら彼女からのアピールなのだろうか。俺に、パンツを贈って欲しいという。
そこまでして、俺が贈るパンツが欲しい、と想っているとは思えない。メイティーラは、下手をしたら王族からも望まれかねないほどの美貌なのだ。婚約した当時は、可愛いという感じだったのが、ここ1年ほど、大輪が咲いたかのごとく、美しくなった。胸も大きい。
それに比べて、自分はパッしない容姿で、無口だ。侯爵を継ぐ身であるので、それなりの爵位だが、それ以外は至って平凡だ。そんな自分のことを、これほどの美女が好いているとも思えない。
もちろん、メイティーラのことは好ましく思っている。美女ということもあるが、慎ましい性格も、自分に合っている。結婚すれば、落ち着いた夫婦となれるのではないか。
俺が結婚するのは、彼女しかいない。そう思って今日も、プレゼントを用意している。
―――だが、なぜ、彼女は今日、パンツを履いていないのだ・・・
考えるほどに、曇った顔となっていることを、グレンは気づいていなかった。そして、そんな曇った顔を正面から見ていたメイティーラも、自分はやっぱり嫌われていると思い、悲しくなるのであった。
暖かい料理が運ばれてきた。メイティーラの好物のビーフシチューだったが、このまま今日、不機嫌な顔のグレンと過ごしても、きっと下着をもらうことはできない。そうしたら、父に婚約破棄の手続きを勧められてしまう。
―――でも、その方がグレン様にとっても、いいのかもしれない。
グレンも無口であるが、メイティーラもおしゃべりな方ではない。だから、言葉がなくても二人でいるのは、心地よいのだが、グレンがそう思っているかどうか、わからない。
やはり、もっと明るい女性の方が、好まれるのかもしれない―――そう思っていたところで、思わぬ人から声がかかった。
「やぁ、メイティーラ。こんなところで会うなんて、奇遇だね」
リーバイが、友人たちと一緒にレストランに入ってきたところであった。メイティーラを見つけたリーバイは、早速彼女に声をかけたのだった。
「メイティーラ、彼は?」
「あ、彼は」
「申し遅れました。僕はリーバイ・フィルパラウと申します。はじめまして。」
そうして、リーバイは握手するために手をグレンに差し出した。
「グレン・ゴウだ。君が、リーバイ君か。話はメイティーラから聞いている。幼馴染だそうだね」
握り返したグレンの手は、節を強く握った。痛みを感じたが、リーバイは悔しいのでそれを顔に出さないようにした。
「ところでメイティーラ、今日の約束は守っているかな?」
握手が終わると、リーバイはメイティーラの近くまできて、声をかけた。
「約束って・・・ええと、そうね。守ったわ。」
もう、男性用パンツを履いているが、さっきまでは何も履いていなかったから、約束は守ったはずだ。
「じゃあ、もう一つの約束も、よろしくね。その感じだと、僕のものかな」
「ええと、それはどうかしら」
もう、グレンに渡すために用意していたパンツは、自分が履いてしまっている。渡せるわけがない。後で、どうにかして誤魔化そうと思った。
「君、私たちは今、食事中なのだが」
グレンは少し苛立った様子で、リーバイを見つめた。
「あぁ、申し訳ありません。――メイ、後でね」
そう言ってリーバイは、片手をひらひらとさせてその場を離れていった。多分、後で今日の詳細を聞いてくるのだろう。そう思うと、ちょっと気が重くなる。
「彼は、いつもあんな調子なのか?」
「リーバイですか?」
「君のことを、メイ、と呼んでいたが」
「ええ、小さな頃は、メイティーラと発音できなくて。簡単な愛称の、メイ、と今でも呼ばれています」
「そうか。・・・約束とは?」
珍しく、グレンから質問が来る。だが、正直に答えることもできない。
「あの、今日はグレン様と街歩きをするので、楽しむことを約束していました」
「・・・そうか。もう一つ、約束があると言っていたが」
「そ、それは。もう、大丈夫です。終わったことです」
「・・・そうか」
また沈黙となる。せっかく二人で食事をしているのに、楽しめる気分ではなくなってしまった。やっぱり、グレン様とはもうダメかもしれない、と、メイティーラも曇った顔になってしまった。
「食事が終わったら、君に渡したいものがある」
「え。私にですか?」
「ああ、君に。できれば、人気のないところが嬉しいが、場所に疎いので、申し訳ないが思いつかなくてね」
「今日はお祭りなので、どこも人でいっぱいかもしれませんね」
「では、我が家でもいいだろうか」
「はい、大丈夫です」
渡したいものなんて、何だろうかと思いつつ、メイティーラ達はレストランを後にした。
―――さっき、見えたかしら。でも、グレン様の様子は変わらないから、見えてないわよね。察してほしいだけで、パンツを履いていない姿を見せたいわけではないし。もし見られてしまっていたら、とんでもないわ。
背中にいやな汗が流れる。なんてアホなことをしているのだろう、と思ったが、もう遅い。自分を鼓舞するため、自分のパンツは持ってきていない。あくまでも、グレンから貰いたい。
―――でも、今日は貰える感じもしないし、仕方がないから、グレン様用に持ってきた、男性用のパンツを履こうかしら。
そう思ったメイティーラは、お手洗いに行くふりをして、男性用のパンツを履くことにした。もう、お尻は寒いし、さっきのようなことが起これば、恥ずかしくて仕方がない。
「君は・・・先ほどの店に寄りたかったのかな」
「え、さっきの店、というのは、ランジェリーショップですか?」
「あ、ああ」
「いえ、別に。今日はグレン様と歩いていますので、グレン様と一緒に楽しめるところが嬉しいです」
「そうか・・・」
料理をオーダーした後で、ふいにグレンから話しかけてきた。だが、また無言になる。
―――なぜ、彼女は今日、パンツを履いていないのだ・・・
グレンは混乱していた。馬車の中でみた一瞬を、何度も何度も繰り返して、思い出していた。白くて丸かった。今も、パンツを履いていないとすると、あの中に手をいれれば、すぐに秘裂に触ることができる。いや、そんなことはできない。だが、少しでも見ることができるかもしれない、いや、ダメだ・・・
が、考えれば考えるほど、そもそもの理由がわからない。確かに今日は、下着を贈りあうという何とも不可解な言い伝えのある日であるが、あれは、もしかしたら彼女からのアピールなのだろうか。俺に、パンツを贈って欲しいという。
そこまでして、俺が贈るパンツが欲しい、と想っているとは思えない。メイティーラは、下手をしたら王族からも望まれかねないほどの美貌なのだ。婚約した当時は、可愛いという感じだったのが、ここ1年ほど、大輪が咲いたかのごとく、美しくなった。胸も大きい。
それに比べて、自分はパッしない容姿で、無口だ。侯爵を継ぐ身であるので、それなりの爵位だが、それ以外は至って平凡だ。そんな自分のことを、これほどの美女が好いているとも思えない。
もちろん、メイティーラのことは好ましく思っている。美女ということもあるが、慎ましい性格も、自分に合っている。結婚すれば、落ち着いた夫婦となれるのではないか。
俺が結婚するのは、彼女しかいない。そう思って今日も、プレゼントを用意している。
―――だが、なぜ、彼女は今日、パンツを履いていないのだ・・・
考えるほどに、曇った顔となっていることを、グレンは気づいていなかった。そして、そんな曇った顔を正面から見ていたメイティーラも、自分はやっぱり嫌われていると思い、悲しくなるのであった。
暖かい料理が運ばれてきた。メイティーラの好物のビーフシチューだったが、このまま今日、不機嫌な顔のグレンと過ごしても、きっと下着をもらうことはできない。そうしたら、父に婚約破棄の手続きを勧められてしまう。
―――でも、その方がグレン様にとっても、いいのかもしれない。
グレンも無口であるが、メイティーラもおしゃべりな方ではない。だから、言葉がなくても二人でいるのは、心地よいのだが、グレンがそう思っているかどうか、わからない。
やはり、もっと明るい女性の方が、好まれるのかもしれない―――そう思っていたところで、思わぬ人から声がかかった。
「やぁ、メイティーラ。こんなところで会うなんて、奇遇だね」
リーバイが、友人たちと一緒にレストランに入ってきたところであった。メイティーラを見つけたリーバイは、早速彼女に声をかけたのだった。
「メイティーラ、彼は?」
「あ、彼は」
「申し遅れました。僕はリーバイ・フィルパラウと申します。はじめまして。」
そうして、リーバイは握手するために手をグレンに差し出した。
「グレン・ゴウだ。君が、リーバイ君か。話はメイティーラから聞いている。幼馴染だそうだね」
握り返したグレンの手は、節を強く握った。痛みを感じたが、リーバイは悔しいのでそれを顔に出さないようにした。
「ところでメイティーラ、今日の約束は守っているかな?」
握手が終わると、リーバイはメイティーラの近くまできて、声をかけた。
「約束って・・・ええと、そうね。守ったわ。」
もう、男性用パンツを履いているが、さっきまでは何も履いていなかったから、約束は守ったはずだ。
「じゃあ、もう一つの約束も、よろしくね。その感じだと、僕のものかな」
「ええと、それはどうかしら」
もう、グレンに渡すために用意していたパンツは、自分が履いてしまっている。渡せるわけがない。後で、どうにかして誤魔化そうと思った。
「君、私たちは今、食事中なのだが」
グレンは少し苛立った様子で、リーバイを見つめた。
「あぁ、申し訳ありません。――メイ、後でね」
そう言ってリーバイは、片手をひらひらとさせてその場を離れていった。多分、後で今日の詳細を聞いてくるのだろう。そう思うと、ちょっと気が重くなる。
「彼は、いつもあんな調子なのか?」
「リーバイですか?」
「君のことを、メイ、と呼んでいたが」
「ええ、小さな頃は、メイティーラと発音できなくて。簡単な愛称の、メイ、と今でも呼ばれています」
「そうか。・・・約束とは?」
珍しく、グレンから質問が来る。だが、正直に答えることもできない。
「あの、今日はグレン様と街歩きをするので、楽しむことを約束していました」
「・・・そうか。もう一つ、約束があると言っていたが」
「そ、それは。もう、大丈夫です。終わったことです」
「・・・そうか」
また沈黙となる。せっかく二人で食事をしているのに、楽しめる気分ではなくなってしまった。やっぱり、グレン様とはもうダメかもしれない、と、メイティーラも曇った顔になってしまった。
「食事が終わったら、君に渡したいものがある」
「え。私にですか?」
「ああ、君に。できれば、人気のないところが嬉しいが、場所に疎いので、申し訳ないが思いつかなくてね」
「今日はお祭りなので、どこも人でいっぱいかもしれませんね」
「では、我が家でもいいだろうか」
「はい、大丈夫です」
渡したいものなんて、何だろうかと思いつつ、メイティーラ達はレストランを後にした。
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