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エピローグ
番外編:結婚式の後で2
しおりを挟む「いや……結婚したんだなぁって」
「うん?」
「玲奈が、僕に甘えてくれた」
嬉しくてたまらない――そんな顔をした哲司は、玲奈を引き寄せる。
「どうやら僕は、可愛い妻が喜んでいる姿を見るのが、好きみたいだ」
「そ、そう?」
「ああ、それも僕がしたことで喜んでもらえると、もっと嬉しい」
あまったるい声を出すとくすくすと笑いながら、哲司は玲奈の顔にかかる髪を払った。
「だから、もっと僕に甘えるように」
熱い唇が額に当たる。そういえば今日は、何度も彼のキスを額で受け止めていた。
「そんなに口づけされると、ふやけちゃいそう」
するとキスを止めて、哲司にしては珍しく下から見上げるように玲奈の瞳を覗き込んだ。
「溶かしているんだけどな」
彼の方が年上なのに、時々とても可愛らしく見える瞬間がある。今がそう。
今度は玲奈が彼の顔にかかった前髪を払い、秀でた額を露わにする。お返しとばかりに玲奈もチュッとキスをした。
「だったら私も、哲司さんを溶かしたい」
視線が絡むと、どちらからと言わず笑いが漏れ始める。二人で見つめ合い、くすくすと笑っていると幸せな気持ちでいっぱいになった。
「ふつつかな嫁ですが、よろしくお願いします」
「こちらこそ。ふつつかな夫ですが」
今さらかな、と思わなくもないけれどお互いに挨拶を交わす。夫婦となって初めての夜。玲奈は哲司の腕の中に囲われると、疲れを覚えながらも彼の愛撫を受け入れ始めた。次第に荒い息が交差する。
「玲奈、今夜は中にだすよ」
「……っ、うん」
二人で話し合って決めていた。結婚式が終わったら、いつでも子どもを迎える準備をしていこうと。
頷いた途端、嬉しそうに口角を上げた哲司は、これまでで最短ではないかと思うほどの速さで熱を放出した。いくら何も隔てずにするのが初めてといっても、早すぎるのでは?
「……」
「……」
互いに見つめ合い、またくすりと笑い合う。どうやら、考えているのは同じことのようだ。
「玲奈の中が気持ち良すぎるからだ」
「そんなこと言って……童貞じゃあるまいし」
「言ったな?」
まだ体内に残る彼の一部が、再び硬さを取り戻していく。今夜は疲れていたから、すぐに終わると思っていたけれど。……どうやら、彼のやる気スイッチを押してしまったようだ。
でも……うん。今夜はなんといっても『初夜』なので。
その後、「お風呂に入りたい」と呟いたためにバスルームに連れて行かれ、そこでも嬌声を上げることを——玲奈はまだ知らない。
(おわり)
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