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第五章
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「レーヴァン、そうね。私はいつも男装していたから、あなたの前ではこの姿の方が多かったわ」
何でもいい、彼の記憶が戻るヒントになれば。けれど、彼は記憶をたどるというよりは、私が普段おろしている髪を頭の上の方で一つに縛り、スカートではなくトラウザーズを履いていることをじっくりと見ているようだ。
「レーヴァン、今日こそは貴方から一本とるわ!」
あの頃、勝負の前はいつもこの言葉を言っていた。久しぶりにこの言葉を使う。
「クローディア……では、そちらに立ちなさい」
レーヴァンも何故かあの頃と同じように、私に立ち位置を指導した。きっと、かつての指導官としての慣れだろう。
「よろしくお願いします!」
かつてと同じように挨拶をすると、すぐに審判役のレオンが号令をかけた。
「はじめっ」
今回の一番の目的は、彼の記憶を呼び戻すことだ。私は最後に彼から一本と取ったあの勝負を再現する。
じり、じりと構えながら相手の動きを見て、私は右にゆっくりと動きながら彼の目を見る。真剣な勝負だが、まともに打ち合う力は私にはない。
「レ、レーヴァン! きゃぁぁ!」
可愛らしく叫んで私はしゃがみ込むと、驚いたレーヴァンは焦って私に近づいてきた。
「ど、どうしたっ、クローディア?」
よしっ、十分に彼が間合いに入ってきたことを指の間から確認して、立ち上がりながら私は彼に切りかかった。
「あっぶねぇ……」
私の渾身の一撃をレーヴァンはまたしてもすんでのところで避け、そして私の剣を流しながらまた後ろに下がった。私は彼が剣を構えなおすその前に、一気に攻める。ここまではあの時と同じ流れだ。
何度打ち込んでも、彼に受け止められて攻めることができない。私は一旦後ろに下がると、はぁ、はぁと息を整える。思っていた以上に体力がなくなっている。もう、次で最後にしなくては。
「クローディア、悪いがこちらから行くぞっ」
そういうと、彼は私から剣を奪うために大きく踏み込んできた。よし、今だっ!
私は足を使い、ざっと砂ぼこりを立てる。一旦剣を片手でもつと、空いた左手で私は自分のブラウスを引き裂いた。
「うげっ!」
レーヴァンは目を見開いて、私のポロリとでた片方の乳にくぎ付けとなった。この時だ!
剣を下から振り上げて、レーヴァンの喉を狙う。だが、剣先を彼の喉元に当てようとして私は握っていた剣を落としてしまった。
はぁ、はぁ、はぁ……
私の息遣いしか聞こえない。もう私には剣を握っている握力がない。私は片方のおっぱいをポロリと出したあられもない姿で両手を地面についた。
「クローディア!」
「ひゃぁっ!」
レーヴァンは、剣を投げ捨てて私の所に駆け寄ると、正面から私を覆い隠すように抱きしめてくる。懐かしい、汗が入り混じったレーヴァンの匂いがする。多少の違いはあったけれど、概ねかつての打ち合いを再現することが出来た。
私は力強く抱きしめて来るレーヴァンの顔を見ようとしても、羽交い絞めに近い形で抱きしめられていて首も動かすことが出来ない。
「なんてことを……」
そっとレーヴァンが耳元で呟く。まさか、公爵令嬢の私がおっぱいポロリをするとは思っていなかったであろう、ギャラリーにいた騎士たちもざわついている。
「もう、終わりだ、終わり!」
レオンが動かない私たち二人を残したまま、騎士団員たちに声をかけていく。レーヴァンは私を抱きしめたまま、動きもしない。
「レ、レーヴァン? その、そろそろ……動きたいのだけど」
「ダメだ」
私に命令するように話す彼の口調、それは懐かしい以前のレーヴァンを思い起こさせる。少し力を緩めた彼は、それでも私が離れていくのを許さない。
「何か、思い出すことが出来た?」
「……」
何も言ってくれない。それが答えなのだろう、私は短く息を吐くと、彼に言った。
何でもいい、彼の記憶が戻るヒントになれば。けれど、彼は記憶をたどるというよりは、私が普段おろしている髪を頭の上の方で一つに縛り、スカートではなくトラウザーズを履いていることをじっくりと見ているようだ。
「レーヴァン、今日こそは貴方から一本とるわ!」
あの頃、勝負の前はいつもこの言葉を言っていた。久しぶりにこの言葉を使う。
「クローディア……では、そちらに立ちなさい」
レーヴァンも何故かあの頃と同じように、私に立ち位置を指導した。きっと、かつての指導官としての慣れだろう。
「よろしくお願いします!」
かつてと同じように挨拶をすると、すぐに審判役のレオンが号令をかけた。
「はじめっ」
今回の一番の目的は、彼の記憶を呼び戻すことだ。私は最後に彼から一本と取ったあの勝負を再現する。
じり、じりと構えながら相手の動きを見て、私は右にゆっくりと動きながら彼の目を見る。真剣な勝負だが、まともに打ち合う力は私にはない。
「レ、レーヴァン! きゃぁぁ!」
可愛らしく叫んで私はしゃがみ込むと、驚いたレーヴァンは焦って私に近づいてきた。
「ど、どうしたっ、クローディア?」
よしっ、十分に彼が間合いに入ってきたことを指の間から確認して、立ち上がりながら私は彼に切りかかった。
「あっぶねぇ……」
私の渾身の一撃をレーヴァンはまたしてもすんでのところで避け、そして私の剣を流しながらまた後ろに下がった。私は彼が剣を構えなおすその前に、一気に攻める。ここまではあの時と同じ流れだ。
何度打ち込んでも、彼に受け止められて攻めることができない。私は一旦後ろに下がると、はぁ、はぁと息を整える。思っていた以上に体力がなくなっている。もう、次で最後にしなくては。
「クローディア、悪いがこちらから行くぞっ」
そういうと、彼は私から剣を奪うために大きく踏み込んできた。よし、今だっ!
私は足を使い、ざっと砂ぼこりを立てる。一旦剣を片手でもつと、空いた左手で私は自分のブラウスを引き裂いた。
「うげっ!」
レーヴァンは目を見開いて、私のポロリとでた片方の乳にくぎ付けとなった。この時だ!
剣を下から振り上げて、レーヴァンの喉を狙う。だが、剣先を彼の喉元に当てようとして私は握っていた剣を落としてしまった。
はぁ、はぁ、はぁ……
私の息遣いしか聞こえない。もう私には剣を握っている握力がない。私は片方のおっぱいをポロリと出したあられもない姿で両手を地面についた。
「クローディア!」
「ひゃぁっ!」
レーヴァンは、剣を投げ捨てて私の所に駆け寄ると、正面から私を覆い隠すように抱きしめてくる。懐かしい、汗が入り混じったレーヴァンの匂いがする。多少の違いはあったけれど、概ねかつての打ち合いを再現することが出来た。
私は力強く抱きしめて来るレーヴァンの顔を見ようとしても、羽交い絞めに近い形で抱きしめられていて首も動かすことが出来ない。
「なんてことを……」
そっとレーヴァンが耳元で呟く。まさか、公爵令嬢の私がおっぱいポロリをするとは思っていなかったであろう、ギャラリーにいた騎士たちもざわついている。
「もう、終わりだ、終わり!」
レオンが動かない私たち二人を残したまま、騎士団員たちに声をかけていく。レーヴァンは私を抱きしめたまま、動きもしない。
「レ、レーヴァン? その、そろそろ……動きたいのだけど」
「ダメだ」
私に命令するように話す彼の口調、それは懐かしい以前のレーヴァンを思い起こさせる。少し力を緩めた彼は、それでも私が離れていくのを許さない。
「何か、思い出すことが出来た?」
「……」
何も言ってくれない。それが答えなのだろう、私は短く息を吐くと、彼に言った。
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