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第三章
3-11
しおりを挟む小雨でしかなかった天気が、次第に雨音を強くして今は嵐のように雫を窓に打ち付けている。抱き合っている私たちの熱も、雨音に少し冷やされてきた。
「レーヴァン、お腹すいているよね」
上に覆いかぶさっているレーヴァンの広い背中を優しくたたきながら、声をかける。
「あぁ」
まだ情事の余波に浸っていたいけど、名残惜しそうにちゅっと軽くキスをした後でレーヴァンは身体を起こした。ようやく温かいけれど重い彼の身体の熱が離れ、寂しいと思いつつも身体を起こす。
「長旅から帰って来たばっかりだったよね、レーヴァン。身体は大丈夫?」
「コラ、それは俺のセリフだろう。クローディア、初めてだったろ?その……結構激しくして、悪かった」
「えっ、うん、大丈夫だよ。その、レーヴァンだから、嬉しかったし……」
少し顔が赤くなってしまう。でも、身体を繋げ、気持ちが繋がったこの幸福感に包まれていると、レーヴァンも嬉しそうに「俺も、嬉しかった」と言ってくれる。
「その、夜食を一応、お願いしておいてあるんだけど、食べる?」
「あぁ、そうだな。もう一戦したいけど、その前に腹ごしらえするか」
そう言って彼は大きく伸びをした。
「はぁ?え?レーヴァン?」
慌てる私にお構いなしに、彼はシャツと下穿きを素早く着て、呼び鈴を鳴らす。
「はぁ~、今回は飛ばしてきたから、腹減っていたんだ。だから夜食は助かるよ」
スタスタと寝室からソファーの方に移動すると、扉をノックする音がする。どうやらメイド来たようだ。
「この部屋でいいよな、夜食。二人で食べよう」
明るく話すレーヴァンにうん、と軽くうなずいて私は下着を探し、のそのそとベッドから出るのであった。
「ねぇ、レーヴァン。どうして私、あなたの膝の上に座って食べないといけないの?」
「ん?俺、これやってみたかったんだ。ほれ、アーン」
用意された豪華な夜食をテーブルいっぱいに広げ、それをどんどんと食べていくレーヴァン。私はさすがに事後のだるさもあり、ちょっとしかお腹に入らない。まだ、股の間には異物感が残っているけれど、さすがにそれを彼に伝えるのは恥ずかしい。
レーヴァンが差し出してくれたフルーツをぱくりと食べると、彼は本当に幸せそうにニコリと笑う。思わず私も微笑んでしまう。
「レーヴァンも食べてね、今日はずっと馬上だったでしょ」
「あぁ、さすがに俺でも疲れたな。最後にすっげぇ運動させられたし」
そんなことを聞いて思わずボンっと顔が赤くなる。なんだろう、遠慮がない。確かに今日は凄かったような……気がする。あんなに腰を動かして、激しく揺さぶられるとは思ってもいなかった。
「そう、だよね。今日は、泊まっていってね。お父様もそのつもりだし、後で話したいこともあるし」
もぎゅもぎゅと食べると、レーヴァンは私の頭をぽんと撫でながらニコニコとしている。
「あぁ、クローディア、もう今夜は離さないからな」
何か含みのある言い方だけど、私、大丈夫なのだろうか。今夜、眠ることできるよね、レーヴァンも疲れているよね、無理しないよね……。
私の予想は大きく外れて、お腹を満たしたレーヴァンは回復した体力を使い、また目いっぱい私を愛撫して、腰を使って私を突き上げた。
もうっ、体力バカとは思っていたけれど、ここまでするなんて。翌朝私の身体の至る所についている赤い跡を見た私は、さすがに驚いて「もうっ、やりすぎっ!」と叫んでしまった。
けれど。ここまで彼が執拗に私と身体を繋げたのは理由があったのだ。それは翌朝に判明する。
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