41 / 88
第三章
3-8*
しおりを挟む長旅で疲れているであろう彼にお茶も、夕食さえも出すことをしないで、私は再会できた喜びのまま彼に伝えた。レーヴァン、あなたに抱かれたい。
考えたくはないけれど、これが最後の機会になるかもしれない。私は、レーヴァンを失うと思った時に心の底から湧きあがる感情に自分自身が驚いた。彼を失うなんて、耐えられない。
彼を戦地に送り出したくはない。その私の結論は、彼を私に繋ぎ止めることだった。
「い、いいのか……クローディア」
「いいの、レーヴァン。あなたに私の初めてを、貰って欲しいの」
「……っ、クローディア」
戸惑うように私の名を呼ぶ彼の頬をもう一度手で挟み、そのグレーの瞳を射るように見つめる。すると、その瞳の奥に欲情の火が灯ったように、瞳の色が変わり私はぞくっとする。
私は今から、彼という獣に食べられる。
噛みつくように、私の唇にむしゃぶりつく。口を開くとヌルっとした舌が入り込み、私の口内を蹂躙し始める。お互い、獣のようだ。はっ、はっ、と息を荒くしながら唇を重ねると、吐息とも喘ぎともとれる声が漏れてくる。
「レーヴァン、愛しているの……お願い、私を貫いて!」
「あぁ、ああ! クローディア、本当に、いいんだな。もう、止められないからなっ」
ちゅ、じゅるっと音を立てて唇を重ねる。それはもう、子供だましのキスではない。お互いに舌を絡ませながら相手の口の中に唾液を入れる。ゴクン、と飲めばレーヴァンは満足したように少し顔を緩めた。
私の腰にあった手が、まさぐるように上に這ってくる。こうなることを予想していた私は、何も下着をつけていない。柔らかな布のその下にある乳房を、ゆっくりと、下から持ち上げるように触り始める。
「ディア……、柔らかいな。それに、温かい」
服の上から剣だこの出来た固い手が私の胸を撫でている。もっと激しく、直接触って欲しい。
「ベッドに行こう、ここじゃ、君が辛い」
ちゅぱっと重なっていた唇を離したレーヴァンが優しく囁く。部屋の奥にある扉を開けると、そこには寝室がある。彼に合図をするようにコクン、と頷くと彼はさっと私の膝裏と脇に手をいれて横抱きにした。
「レ、レーヴァン、歩けるよ」
「いや、いいんだ。あいつも抱いていただろう、俺の方が力はある。それに、初夜に夫はこうして妻を抱いて、新居に入ると聞いたことがある」
そう言ってスタスタと歩き始める。あいつ、というのはクレイグのことだろう、誘拐事件のあった日に私は確かに、レーヴァンの目の前でクレイグに横抱きにされていた。
「う、うん」
初夜、という言葉を聞いて思わず赤くなる。まだ結婚式も何もしていないけれど、私たちは結婚することが約束された婚約者同士だ。それに、できればすぐにでも書類を整えて結婚したい。それしか、彼を留める方法を思いつかない。
ふわり、とまるで大切な宝物を置くかのようにベッドに降ろされる。二人が寝ても十分に大きいサイズのベッドには、真新しいシーツが敷かれている。今日、レーヴァンと夜を過ごすことを決めて家令にも伝えてある。私が決心することを待っていた父も今更、反対などしない。でもさすがに今夜は、屋敷には帰ってこないと連絡があった。
「レーヴァン、脱ごうか?」
「いや、いい。俺が……脱がせたい」
少し薄暗い部屋の中で、レーヴァンは私のドレスの後ろの紐を解き始める。シュルシュルと音をたてて抜かれていくリボンが落ちていく。そして最後の一本が抜けると、後ろから腕を外してドレスを引き抜かれた。
「クローディア……きれいだ」
もう、身についているのはショーツだけで、腰のところを紐で結ってあるだけだ。雨が激しくなってきたのか、窓に打ち付ける音がする。この部屋にあるもわっとした蒸気は、雨による湿気だけではない。
さすがに胸を両腕で隠していたけれど、その腕を取り払うように広げさせられる。ベッドの上に二人で座りながら、腕を持たれるとその振動でプルンと白くまろやかな乳房が揺れる。それをレーヴァンは舐めるように凝視していた。
「その、そんなに見られると、恥ずかしいんだけど……レーヴァン」
「あ、いや……大きくなったなって。うん、知っていたが、ここまで育っていたんだな。白くてピンク色の乳首をしていて、あぁ、可愛いよ」
蕩けたような目をしたレーヴァンは、今度は私の乳房をその両手で捏ねるように揉み始めた。
「んっ、ンんっ……はぁっ……、あぁ……」
胸への刺激が、甘く私を喘がせる。既に上気した頬と同じようにピンク色をした乳輪をレーヴァンが指でなぞる。そして口に含むと、ちゅるっと音を立てるようにして乳首を吸い上げた。
「ああんっっ、んっ」
「ここ、こんなに固くなってる」
「も、もうっ……、レーヴァンだから、だよ……」
はあっと息を吐いたレーヴァンが、口に含んだ反対側の乳首を指で捏ね始めた。ピンっと弾けさせると同時に私はビクッと身体を震わせた。
「ひあっ」
情けない声が出てしまうが、それにも関わらずレーヴァンは私の乳房を揺らしながら吸い付いてくる。胸の間で彼の髪が揺れている。強く、そして優しく胸を揉んでくる彼はまだシャツを着ていた。
肌を合わせたい、だから脱いで、と私は服のボタンを触るとレーヴァンが、気がついてニコリと笑った。
「俺、まだ脱いでいなかったな。ゴメン」
上体を起こしたままちぎるようにボタンを外すと、シャツを放り投げた。細身だけれどぴっちりとついた筋肉は、少し汗ばんでいる。視線を下にすると、もう既に下穿きを突き上げるように男根が大きくなっているのがわかる。
6
お気に入りに追加
209
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
伯爵は年下の妻に振り回される 記憶喪失の奥様は今日も元気に旦那様の心を抉る
新高
恋愛
※第15回恋愛小説大賞で奨励賞をいただきました!ありがとうございます!
※※2023/10/16書籍化しますーー!!!!!応援してくださったみなさま、ありがとうございます!!
契約結婚三年目の若き伯爵夫人であるフェリシアはある日記憶喪失となってしまう。失った記憶はちょうどこの三年分。記憶は失ったものの、性格は逆に明るく快活ーーぶっちゃけ大雑把になり、軽率に契約結婚相手の伯爵の心を抉りつつ、流石に申し訳ないとお詫びの品を探し出せばそれがとんだ騒ぎとなり、結果的に契約が取れて仲睦まじい夫婦となるまでの、そんな二人のドタバタ劇。
※本編完結しました。コネタを随時更新していきます。
※R要素の話には「※」マークを付けています。
※勢いとテンション高めのコメディーなのでふわっとした感じで読んでいただけたら嬉しいです。
※他サイト様でも公開しています
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです
波月玲音
恋愛
私はディアナ・アウローラ・グンダハール。オストマルク帝国の北方を守るバーベンベルク辺境伯家の末っ子です。
母さまは女辺境伯、父さまは帝国魔導師団長。三人の兄がいて、愛情いっぱいに伸び伸び育ってるんだけど。その愛情が、ちょっと問題な人たちがいてね、、、。
いや、うれしいんだけどね、重いなんて言ってないよ。母さまだって頑張ってるんだから、私だって頑張る、、、?愛情って頑張って受けるものだっけ?
これは愛する父親がヤンデレ最凶魔導師と知ってしまった娘が、(はた迷惑な)溺愛を受けながら、それでも頑張って勉強したり恋愛したりするお話、の予定。
ヤンデレの解釈がこれで合ってるのか疑問ですが、、、。R15は保険です。
本人が主役を張る前に、大人たちが動き出してしまいましたが、一部の兄も暴走気味ですが、主役はあくまでディー、の予定です。ただ、アルとエレオノーレにも色々言いたいことがあるようなので、ひと段落ごとに、番外編を入れたいと思ってます。
7月29日、章名を『本編に関係ありません』、で投稿した番外編ですが、多少関係してくるかも、と思い、番外編に変更しました。紛らわしくて申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる