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第二章
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「レーヴァン、先ほどの男の素性はわかったのか?」
ルートザシャ公爵閣下は、俺に問いかけるように聞いてくる。騎士団からある程度の情報を得ていた俺は、クレイグを交えた三人で話を詰める。
「はい、あの屋敷の持ち主で、恐らく娘が行方不明中の父親と思われます。どうやら、最近人を攫って国外へ奴隷として売りつける人身売買組織が王都に入り込んでいるようで、騎士団も捜索しています。明日その組織に動きがあるようだ、とのことです」
「そうか、厄介だな。誘拐犯だけでなく、人身売買組織も絡んできたか」
俺は閣下に説明すると、今度はクレイグが集めてきた情報を伝える。
「どうやら一緒に攫われたルフィナ嬢が、一枚絡んでいるようですね。クローディアをおびき寄せたのは彼女です。スーレル殿下から引き離すようにして、店の中へ連れ込んだ様子でした。その後、何らかの行き違いで彼女も一緒に攫われてしまった、と」
「うーん、ルフィナ嬢も利用されただけ、ということか」
「おそらくは」
そう言ってクレイグは言葉を止めると、閣下の方を向いて口を開いた。
「明日の朝までに、あと残り九億ルータルは用意しましょう」
「アールベック殿。君の協力には本当に感謝している。もしこの金額が回収できなかった場合は、後日きちんと用意してお返しする」
「まずは、明日に備えましょう。今日、一億渡したことで先方も待つでしょう」
「だが、このルフィナ嬢の物と思われる髪飾りを渡してきたということは、もしかするとルフィナ嬢がクローディアだと勘違いされておるかもな」
「そうですね、今日のクローディアはズボンにシャツとベスト、といった男装だったと聞いています。それに比べてルフィナ嬢はワンピースを着て、いかにもお嬢様といった服装だったと聞いています」
「そうかもしれんな。明日は、クローディアではなくルフィナ嬢が現れるかもしれないな」
「多分、そうなるでしょう。ですが閣下、その時はまずはルフィナ嬢の安全を確保するためにも、ルフィナ嬢がクローディアであるフリをしてください」
「そうか、はぁ、出来るだろうか……」
「出来るだろうか、ではなくてやるのです。」
「う、うむ。そうだな」
二人の会話がひと段落したところで、クレイグは「準備をしてくる」と言ってまた外に出て行った。俺も明日の動きを確認するために、騎士団へ行こうとすると閣下から声をかけられた。
「レーヴァン、お前、大丈夫か? あのクレイグとやらに、負けているぞ」
「閣下、何を言うかと思えば。大丈夫です、これから巻き返しますよ。明日は大捕り物になりますからね、閣下も腰を痛めないように今日はゆっくり休んで、明日も自重してくださいよ」
「おっ、お前っ!」
俺もからかい過ぎたようだ。閣下は少し顔を赤らめている。
「はい、では失礼しますっ」
こんな時ではあるが、俺は少しクレイグを見直していた。ただの商人だと思っていたが、なかなか骨のあるヤツだ。情報を的確につかみ、判断も早い。ただ、明日はきっと犯人たちとの乱闘となる可能性がある。俺は自分の武器である大剣を背負い、もう一度騎士団の方へ向かっていった。
*****
ルートザシャ公爵閣下は、俺に問いかけるように聞いてくる。騎士団からある程度の情報を得ていた俺は、クレイグを交えた三人で話を詰める。
「はい、あの屋敷の持ち主で、恐らく娘が行方不明中の父親と思われます。どうやら、最近人を攫って国外へ奴隷として売りつける人身売買組織が王都に入り込んでいるようで、騎士団も捜索しています。明日その組織に動きがあるようだ、とのことです」
「そうか、厄介だな。誘拐犯だけでなく、人身売買組織も絡んできたか」
俺は閣下に説明すると、今度はクレイグが集めてきた情報を伝える。
「どうやら一緒に攫われたルフィナ嬢が、一枚絡んでいるようですね。クローディアをおびき寄せたのは彼女です。スーレル殿下から引き離すようにして、店の中へ連れ込んだ様子でした。その後、何らかの行き違いで彼女も一緒に攫われてしまった、と」
「うーん、ルフィナ嬢も利用されただけ、ということか」
「おそらくは」
そう言ってクレイグは言葉を止めると、閣下の方を向いて口を開いた。
「明日の朝までに、あと残り九億ルータルは用意しましょう」
「アールベック殿。君の協力には本当に感謝している。もしこの金額が回収できなかった場合は、後日きちんと用意してお返しする」
「まずは、明日に備えましょう。今日、一億渡したことで先方も待つでしょう」
「だが、このルフィナ嬢の物と思われる髪飾りを渡してきたということは、もしかするとルフィナ嬢がクローディアだと勘違いされておるかもな」
「そうですね、今日のクローディアはズボンにシャツとベスト、といった男装だったと聞いています。それに比べてルフィナ嬢はワンピースを着て、いかにもお嬢様といった服装だったと聞いています」
「そうかもしれんな。明日は、クローディアではなくルフィナ嬢が現れるかもしれないな」
「多分、そうなるでしょう。ですが閣下、その時はまずはルフィナ嬢の安全を確保するためにも、ルフィナ嬢がクローディアであるフリをしてください」
「そうか、はぁ、出来るだろうか……」
「出来るだろうか、ではなくてやるのです。」
「う、うむ。そうだな」
二人の会話がひと段落したところで、クレイグは「準備をしてくる」と言ってまた外に出て行った。俺も明日の動きを確認するために、騎士団へ行こうとすると閣下から声をかけられた。
「レーヴァン、お前、大丈夫か? あのクレイグとやらに、負けているぞ」
「閣下、何を言うかと思えば。大丈夫です、これから巻き返しますよ。明日は大捕り物になりますからね、閣下も腰を痛めないように今日はゆっくり休んで、明日も自重してくださいよ」
「おっ、お前っ!」
俺もからかい過ぎたようだ。閣下は少し顔を赤らめている。
「はい、では失礼しますっ」
こんな時ではあるが、俺は少しクレイグを見直していた。ただの商人だと思っていたが、なかなか骨のあるヤツだ。情報を的確につかみ、判断も早い。ただ、明日はきっと犯人たちとの乱闘となる可能性がある。俺は自分の武器である大剣を背負い、もう一度騎士団の方へ向かっていった。
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